《大手町-丸の内界隈》のイチョウ
■ 毎月いち日(以上)、筑波山麓の《death valley》から、常磐線に乗って、《大手町-丸の内界隈》に出向かねばならない。《death valley》における《金儲け》への進捗状況を、つまりは、G⇒G+ΔG、のΔGの進捗具合を、《参謀本部》へ《上奏》しにいかねばならないからだ。最前線の《尖兵》が、《参謀》さまに御説明に上がるのだ。そして、 「おまい!、どないなっとんのや!」と、すほんか(資本家)さまからド突かれるのである。極めて慇懃に、そして静かに恫喝されるのである。つらいずんせいである。かれこれ15年ほど前、おいらが学位をとった頃、いわゆる"ポスドク1万人計画"が始まった。当時、このポスドクは一部の偉いセンセイからは、「日本科学の近代化の尖兵」とも認識されていた(らしい)。おいらは当時はそういう尖兵認識は知らなかった。ただ、おいらより業績の少ないパーマネントの研究者さまがあまたいる状況でおいらのポスドクの任期は切れたのだ。敗北した《尖兵》![1](詳細愚記事;失業者になったのは2001年3月末でポスドクの任期が切れたからである)。その後、麻薬中毒者がシャブ抜きの断末魔に苦しまないと正常人になれないように、おいらもシャブ抜きのため、バイトでがんばった。バイトは、《death valley》での業務だ。何のことはない、《資本》の《尖兵》に他ならない。いつだって、おいらは、《尖兵》だ。ぬっぽんすほん(日本資本)の手先として、《尖兵》のおいらは、あるときは、インドまで行った(愚記事;草莽微賎の地球化(グローバリリゼイション))。
■そんな《尖兵》のおいらは、今月も《大手町-丸の内界隈》に行く日となった。朝9時から夕方まで一日中、《参謀》さまへの御説明と質疑応答、そして昼飯の帰りエレベータでばったり遭遇した《いとやむごとなきお方》への1分間エレベータピッチ(爆)など、大変だ。その前日、電話があった。《教育参謀》からだ。何事だろう? 《大手町-丸の内界隈》的慇懃な声で、「明日9時から会議だと思いますが、その前の1時間ほど、お時間をつくっていただけますか?」。ますか?っていわれても、「嫌です」とは言えない。そして、その冷徹な《大手町-丸の内界隈》的慇懃な声に、おいらは、嫌な感じ、もっと言えば、恐怖を感じた。ただごとではない。声でわかる。8時に約束をした。何事だろうと考えた。思い当たることはある。おいらの《所業》である。というか、おいらの行儀の悪さだ。ブラック・ベンチャー出身のおいらがこの《大手町-丸の内界隈》的典型的ぬっぽんメーカーの《行儀作法》になじんでいないことはわかっていた。もちろん、典型的ぬっぽんメーカーの《行儀作法》、すなわち、"冬には、受付が見える場所に来る前にコートを脱ぐし、面接室では立ったまま、面接担当官が来るのを待って"いるとかそういう御《行儀》を実践するマインドを、おいらは、さらさら持ち合わせていない。でも、コートの扱いや面接での不手際では、朝8時に《教育参謀》殿にはよばれるはずがない。もっと野蛮なおいらの所業が議題だろなと想像がついた。確認のためメールした。「何か、準備する資料はありますか?」。普通、《参謀》さまが来いということは、おいらのツラをみせることではなく、資料を持ってきて、説明せよ!ということなのだ。つまりは、ΔGに関する資料と説明なのだ。 しかし、《参謀》さまからの返事、 「ない」。 お~!決まった。これは絶対、おいらの行儀の悪さだ。
(なお、この会社[=《木村摂津》]との馴れ初めはここに書いてある: かりそめにも自分から進んで行きたいという言うのであるから、実はあっちでも妙なやつだ、幸いというくらいなことであったろうと思う。すぐに許されて私はお供をすることになった。 )
■朝、行っただよ、《大手町-丸の内界隈》 8:00AM。慇懃な《参謀》さまからの御下問。「いか@さんは、《山麓》研究所で《ジュニア・パートナー》さんに大声でどやしつけたりしていると、よその研究室より通報がありました。これは、本当ですか?」。「本当です」。あっさり認めたので、慇懃な《参謀》が不意を突かれたのを少し顔に出したのを、おいらは見た。"大声でどやしつける"って、すごそうに聞こえますが、ブラック・ベンチャーで普通でした。ただ、「何やってんだょ!、おまい」と声を荒げる程度です。でも、「バカヤロー!」、は言いません。いいたいですけどね。しかし、これは、典型的ぬっぽんメーカーの《行儀作法》コードからは激しく逸脱するようです。でも、学びました。典型的ぬっぽんメーカーってホントは怖いって。極めて慇懃に、そして静かに恫喝するのです。大きな声を出すような荒くれ者のおいらを資本は慇懃に指導してくださるのです。そして、極めて慇懃に、そして静かに恫喝する《尖兵》になるように。 ありがとう!、資本の文明化作用!
[1] 思い浮かべてほしい映像。刑に「うたれる」、広能昌三 [菅原文太]と武田明 [小林旭](彼ら尖兵たち!)、そして、生き残って!笑う!!山守義雄 [金子信夫] (おいらより業績の少ないパーマネントの研究者さま)。