福田内閣の新布陣は安倍内閣の15人の閣僚が再任又は横滑りするという、ある意味「何も変わらない」というサプライズであった。人事のメッセージは空白国会に対する緊急対応と、テロ特措法一点集中布陣との様に思われる。
海外のメディアをざっと見ると、福田氏をモデレート(中庸の人)もしくはコンプロマイザー(妥協の人)と呼び、改革がスローダウンすると見ている。欧米の見方は小泉時代を基準に改革が進むか否かを見て評価し、福田政権が内向きになると見ている。
国内では中曽根氏らの理念型リーダーに対し、福田氏を調整型の人と評価している。政策的には安倍内閣の成長路線に対し、財政規律の回復と格差問題の解消が福田内閣のアジェンダだと見做している。
しかし、新内閣布陣を見ると福田氏の優先順位設定はリーダーに相応しい状況認識と判断の健全さを感じる。注意すべきは国民の信頼が回復する前に極端にポピュリズム化したメディアの対応を誤らないことであろう。スタートは地味だけど決して悪くない。■