中休みで気楽なテーマを一つ。松坂投手がボストン・レッドソックスに入団すると、来年から彼を見にボストン旅行するファンが増えると期待されている。私の経験から言うと日本からボストンに行く場合トラブルに巻き込まれる確率が高いので要注意だ。
90年代までは日本発のボストン直行便はなく乗継が必要だった(多分今もそのまま)。ボストンの場合、乗継のフライトに間に合うかどうか状況によってリスクがかなりある。例えば乗継がシカゴやデンバー場合の冬は低温や強風が半端じゃなく、到着や出発が遅れ乗継に間に合わなかった経験が何度かある。事前に季節ごとの天候や天気予報をチェックしたほうがいい。
ボストンの郊外は雪が深いが、海岸にあるローガン空港は最も雪の影響を受けやすい空港の一つだ。乗り継ぎをシカゴから天候の影響の少ないニューアークにしたことがあるが、肝心のローガン空港が閉鎖されると解除されるまで乗継空港から飛ばない。西海岸のほうがもっと問題、飛行時間が長い分時間の無駄だがしょうがない。そうなるとボストン到着は深夜になる。ボストンは3月末でも大雪になり空港が閉鎖されたこともある。
ニューヨーク経由の場合、国内線への乗継が成田と羽田みたいにJFKとラガーディアに分かれると中々大変だ。乗継の空港によって入国審査の早さが異なるのも遅れの原因となる。当時中米などのラテン系の入国が多い空港は入国審査が厳しく時間がかかった。一方サンフランシスコは観光客が多いので通関が容易だといわれていた。今は何処でも厳しいといわれているがどうだろうか。感謝祭の前後もお盆と正月が同時にやってきたような混雑で窓口処理が遅れる可能性がある。
90年代半ば新製品発売の為日本から派遣されてきた生産技術者10人余がノービザで入国しようとしシアトル空港に足止めされた事がある。急遽弁護士が交渉に当たったが強制送還された。その後暫くは日本からのノービザ出張は万が一の為シアトル直行便を避けサンフランシスコ経由にしたことがある。空港によって入国審査の厳しさにかなりの差があるということだ。
理由如何にかかわらず入国が遅れた場合、乗継のフライトが同じ航空会社だと乗り換えのプロセスを優先して手早く済むよう配慮してくれた。違う会社への乗り継ぎに遅れると有り体に言えば空港に放り出される。何処にクレームすればはっきりしないし、代替フライトの会社のゲートは巨大な空港の中をバスやタクシーで移動しなければならず、うかうかしているとそれも逃してしまう。
天候不順で閉鎖されていた場合、突然閉鎖が解除され代替のフライトが用意されたとか、出発直前の前のフライトの空席を先着順で受け付けるとかいう放送が流れたときが厄介だ。指定窓口に乗客が急いで並ぶが、英語をよく聞き取れなかった私などは列の後ろに並び恩恵にあずかれることは先ずない。このフライトに乗れれば何とか日本に戻れたのに、という経験も一度ならずある。
このパターンは本当に悔しいがそこで呆然としているわけには行かない。往路なら次のフライトの予約をしそれが翌日なら空港近辺のホテルを予約して一泊しなければいけない。空港のベンチに寝るのは惨めで嫌だ。航空会社の窓口で交渉するとこういうケースに備えているホテル(私はマリオットなどを利用した)にディスカウント付で泊まることができる。
同時に本来宿泊予定だったホテルに電話して遅れるとかキャンセルの連絡を入れてないと新たなトラブルが生じる。遅れてチェックインすると予約がキャンセルされている場合もありうる。クレジットカード予約の場合は大丈夫だと当時説明を受けたことがある。逆にキャンセル料をチャージされる場合もある。連絡するのに越したことはない。
復路の場合は日本行きの便に乗り遅れる事態になる。ボストンの郊外のホテルに泊まり雪が降ると空港に到達するだけでも厄介だ。ボストンの町は迷路みたいでレンタカーの運転も大変。何とか飛行機に乗っても乗継の日本行きフライトは少なく、間に合わないと空港周辺のホテル宿泊は避けられない。天候だけでなく田舎の空港だとマシン・トラブルなど他の理由でもこういうことは起こる。海外旅行では不測の事態は起こるものと考えておくとパニックにならず次の手を素早く打てる。
そういう意味では、旅行会社のパック旅行はより安全で気楽だ。仮にそうでなくても同じ航空会社のフライトに乗り継ぐようにすればリスクは減らせる。ところが、9.11で事態は変わったかもしれない。1年後の2002年夏にユナイテッド航空関係会社がフライト・ホテル・ガイドを全てアレンジしたカナダ旅行をした。
ところが、サンフランシスコ空港の入国審査が酷く厳重で乗り換えのゲートに着いた時にはカルガリー行きのフライトが出発した後だった。他社も含め夕方まで次のフライトがなく、午後と翌日のツアーをキャンセルし空港からピックアップのリスケジュールを依頼せざるを得なくなった。怒り狂ってサービス担当の係りに噛み付き、マネージャまで引っ張り出したが後の祭り。経験では昔はこういう場合粘るとフリーチケットくれたものだが、9.11後このようなケースは日常茶飯事だったらしくいちいち相手にしてられないということだったようだ。現在はどうなのだろうか。
ということでボストン旅行を来春予定されている方々を散々脅かしたが、勿論トラブルがしょっちゅう起こるわけではない。最悪こうなるということだ。4月以降天候ファクターはそれほど大きくない、今はむしろセキュリティのほうが大変かも知れないが、それは旅行会社に確認したほうが良い。
余談だが、上記の強制送還で頭にきた私はその後某商事支店長の紹介でシアトル商工会議所に入会、少しでも状況を改善できないかと事情を説明し会議所の働きかけを期待したが、同情を得ただけで経費の無駄使いに終ったかもしれない。その後も状況が変わったとは思えないことが起こった。
観光で友人がシアトルに遊びに来た時、その一人が滞在先の私との関係を聞かれ意味を理解しないでボーイフレンドといって入国審査で引っかかり別室に連れて行かれ長時間尋問された。開放されて到着ゲートに出てきて迎えの私を見つけると泣きっ面で抱きついてきた。若い女性(当時です)にこんなに強く抱きしめられたことはその後一度もない。
その後タコマ商工会議所主催の会議で地元のアラスカ航空がフライトの定刻発着改善報告を聞いたことがあるが、この会社のフライトの遅れやキャンセルは続きそのお陰で会議に間に合わなかった経験があり米国人上司の不興をかった。お陰で何でもありというリスク感覚が養われた。■
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