昨日、千駄木にある日医大病院に行き娘が診察を受ける間の子守を引き受けた。末の息子が学生だった頃に何度か通った記憶があるが、娘が以前不妊治療を受けた大学病院がこの近くにあるとは知らなかった。東大正門前のお店に飛び込んで道を聞き、聞いた通りに道順を辿らず最近人気の下町「谷根千」を歩くと迷路のような路地道に迷い込み約束の時間に遅れた。何度か道を聞いてやっと辿り着くと娘と孫が受付で待っていた。
もうすぐ二歳になる孫はおっとりした性格で私の顔を覚えていてくれ、院内を駆けまわったりむずがり大騒ぎして他人に迷惑をかけたりしないので楽な子守だった。暫く待っていると娘が広いロビーに戻って来て、待ち時間が長くなりそうだと言い、娘の勧めで孫をベビーカーに乗せて近くの神社に行った。
病院の斜め向かいに神社があった。歩き始めた時は小さな無名の神社かと思いきや、ここがあの有名な根津神社でかつて漱石が近所に住み今は重文に指定されているという。ゴツゴツした石畳の上をベビーカーで歩くのは手間取ったが、前方に車椅子の老婆につきそう老夫人が意外に無理なく進んでいた。
気を取り直して車椅子の軌跡を追って歩いて行くと、本堂に通じる門には高い段差がありそこに車椅子を待たせて老婦人だけ本堂に向かって行った。私はベビーカーを車椅子の真横に停め老婆に声をかけた。彼女は私の母と同じくらいの年恰好で、喜んで話をしてくれた。意外にしっかりした声だった。
いいお日和だとか月並みな会話を交わしたが、孫は恥ずかしがって押し黙っていた。そのうち老婦人が返ってきて挨拶の後、「お手伝いするから、お婆ちゃんを本堂まで連れて行きますか」と聞くと、「今日はここまでにしておきます」とちゃきちゃきの若々しい声で返事が返ってきた。きっと昔は下町美人だったに違いないと思った。
病院に戻るにはまだ時間が十分余っていた。小さな池の淵に行き鯉を見せて孫と大騒ぎした後、近くのベンチに赤ちゃんと座っている親子を見かけた。今度は現役の美人だ。ベビーカーをベンチの横につけ声をかけた。9ヶ月だという女の子は睫毛が長く白い肌の可愛い子だった。
「お母さんに似て睫毛が長いね、絶対美人になるよ」と言われて、嬉しくない母親などいない。加えて、彼女自身が中々の美人だった。尤も、最近私は齢をとったせいか若い女性は誰でも美人に見える。彼女は流行りの抱っこ紐をしていたので、台所仕事等をする時は背中の方が楽だとか無難な質問から始めて打ち解けた。後から娘に話すと、驚いた様子もなく又かという感じで「もう、お父さんはーッ」と一言。
残念ながらここでタイムアップ、急ぎ病院に戻るとまだ娘は診察を待っていた。それから小一時間でやっと診察が終わり別フロアで採血し、受付に戻り支払を済ませてやっと全ての予定を終えた。病院を出て千駄木の路地道を行ったり来たりしてベビーカーの孫を眠らせた後、遅い昼食を済ませ自宅に戻っると2時を過ぎていた。孫と楽しい時間を過し、新旧の下町美人と話せたのでまず良い一日だった。■
もうすぐ二歳になる孫はおっとりした性格で私の顔を覚えていてくれ、院内を駆けまわったりむずがり大騒ぎして他人に迷惑をかけたりしないので楽な子守だった。暫く待っていると娘が広いロビーに戻って来て、待ち時間が長くなりそうだと言い、娘の勧めで孫をベビーカーに乗せて近くの神社に行った。
病院の斜め向かいに神社があった。歩き始めた時は小さな無名の神社かと思いきや、ここがあの有名な根津神社でかつて漱石が近所に住み今は重文に指定されているという。ゴツゴツした石畳の上をベビーカーで歩くのは手間取ったが、前方に車椅子の老婆につきそう老夫人が意外に無理なく進んでいた。
気を取り直して車椅子の軌跡を追って歩いて行くと、本堂に通じる門には高い段差がありそこに車椅子を待たせて老婦人だけ本堂に向かって行った。私はベビーカーを車椅子の真横に停め老婆に声をかけた。彼女は私の母と同じくらいの年恰好で、喜んで話をしてくれた。意外にしっかりした声だった。
いいお日和だとか月並みな会話を交わしたが、孫は恥ずかしがって押し黙っていた。そのうち老婦人が返ってきて挨拶の後、「お手伝いするから、お婆ちゃんを本堂まで連れて行きますか」と聞くと、「今日はここまでにしておきます」とちゃきちゃきの若々しい声で返事が返ってきた。きっと昔は下町美人だったに違いないと思った。
病院に戻るにはまだ時間が十分余っていた。小さな池の淵に行き鯉を見せて孫と大騒ぎした後、近くのベンチに赤ちゃんと座っている親子を見かけた。今度は現役の美人だ。ベビーカーをベンチの横につけ声をかけた。9ヶ月だという女の子は睫毛が長く白い肌の可愛い子だった。
「お母さんに似て睫毛が長いね、絶対美人になるよ」と言われて、嬉しくない母親などいない。加えて、彼女自身が中々の美人だった。尤も、最近私は齢をとったせいか若い女性は誰でも美人に見える。彼女は流行りの抱っこ紐をしていたので、台所仕事等をする時は背中の方が楽だとか無難な質問から始めて打ち解けた。後から娘に話すと、驚いた様子もなく又かという感じで「もう、お父さんはーッ」と一言。
残念ながらここでタイムアップ、急ぎ病院に戻るとまだ娘は診察を待っていた。それから小一時間でやっと診察が終わり別フロアで採血し、受付に戻り支払を済ませてやっと全ての予定を終えた。病院を出て千駄木の路地道を行ったり来たりしてベビーカーの孫を眠らせた後、遅い昼食を済ませ自宅に戻っると2時を過ぎていた。孫と楽しい時間を過し、新旧の下町美人と話せたのでまず良い一日だった。■
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