今回は「「空気」の構造」(池田信夫)と「チャイナ・ナイン」(遠藤誉)の2冊の読書をお勧めしたい。
「「空気」の構造」は近年のKY(空気読めない)という女子高生の間で流行った言葉「空気」を日本人論にまで展開した書。農耕民族か狩猟民族とかいった薄っぺらい日本人論から踏み込んで、組織全体を率いるリーダーが弱い日本型デモクラシーの特徴を描いた佳作だ。それがどの時代でも機能しないという訳ではなく、戦後の繫栄をもたらした一方で現代のグローバリゼーションではうまく働かないと、戦後の著名な知識人等の著作を引用しながら説得力のある理論を展開して中々面白い。
次に紹介したいのが中国権力構造を説いた「チャイナ・ナイン」で、既によく取り上げられ詳しく紹介するまでもない。共産党の政治局常務委員会の9人(最近は2人減ってチャイナ・セブンといわれる)の序列・経歴と力関係について詳しく解説したものだ。中国共産党政府が今後どのような動きをするのか理論的な背景を理解する上で参考になる。個人的には、テレビに頻繁に出演する遠藤誉さんがどういう人なのか伺い知ることが出来た。
(2.5+)L 「空気」の構造 池田信夫 2013 白水社 副題が「日本人はなぜ決められないか」の通り優れた日本人論である。山本七平・丸山眞男や名著「失敗の本質」等を参照しながら、「日本はタコツボ的な中間集団の自立性が強く、全体的なリーダーが弱い日本型デモクラシー」と説く。戦後長く平和と繁栄をもたらしたが、この「一国平和主義」はグローバル化の挑戦を受け機能してない。難解な参照が多くよく理解したか自信が無いが、少なくとも著者の主張する考えに共感する。
(2.5)2 チャイナ・ナイン 遠藤誉 2012 朝日新聞出版 著者は最近TVでよく見かける帰国子女の中国事情通の大学教授で、中国の権力構造の実態と今後の展開を予測したもの。中国政権中枢部の考え方と力関係を解き明かし、共産党一党独裁というステレオタイプの見方からトップ人脈の経歴と人間関係を描いたもの。彼等権力者とその一族が信じられないくらいの巨額の富を築くプロセスと共産党の理念との関係、もしくは中国人特有の何かがあるのか解明され無かったのが残念。
(2.0)2 池上彰のこれが「世界のルール」だ! 池上彰 2015 文芸春秋 週刊文春の連載コラムを纏めたもので、ISIS・朝日新聞の掲載拒否・中国ウクライナ北朝鮮事情・EPA/FTAなど貿易協定等の時事ネタについて分かり易く解説したもの。最後のDOWANGO社長のインタビューが型破りな発想で面白い。分かり易い半面どうしても内容が表面的で浅いが、短時間で概要を理解するには便利、知らないよりはましな情報を与えてくれる“一口知識”といったところか。
(2.0+)2 グローバル・エリートの時代 倉本由香利 2012 講談社 グローバル化を3つの波(販売・生産・組織)に分け、現在は3つ目の波「グローバル組織」にあたり、必要な人材としてグローバル・エリートに必要な7つのスキルを紹介したもの。当たり前みたいだが第2の波(海外生産)を経験した私にも説得力のある内容だ。当然のことながら、著者のいう「ローカル・サポーター」を主力とする世界的ポピュリズムの反乱が本書のような綺麗事では済まされない事態までは予測していない。
凡例:
(0):読む価値なし (1)読んで益は無い (2):読んで損は無い
(3):お勧め、得るもの多い (4):名著です (5):人生観が変わった
0.5:中間の評価、例えば1.5は<暇なら読んだら良い>と<読んで損はない>の中間
-/+:数値で表した評価より「やや低い」、又は「やや高い」評価です。
2: 古本屋で手に入れた本
L: 図書館で借りた本
新: 「定価」で買った本
「「空気」の構造」は近年のKY(空気読めない)という女子高生の間で流行った言葉「空気」を日本人論にまで展開した書。農耕民族か狩猟民族とかいった薄っぺらい日本人論から踏み込んで、組織全体を率いるリーダーが弱い日本型デモクラシーの特徴を描いた佳作だ。それがどの時代でも機能しないという訳ではなく、戦後の繫栄をもたらした一方で現代のグローバリゼーションではうまく働かないと、戦後の著名な知識人等の著作を引用しながら説得力のある理論を展開して中々面白い。
次に紹介したいのが中国権力構造を説いた「チャイナ・ナイン」で、既によく取り上げられ詳しく紹介するまでもない。共産党の政治局常務委員会の9人(最近は2人減ってチャイナ・セブンといわれる)の序列・経歴と力関係について詳しく解説したものだ。中国共産党政府が今後どのような動きをするのか理論的な背景を理解する上で参考になる。個人的には、テレビに頻繁に出演する遠藤誉さんがどういう人なのか伺い知ることが出来た。
(2.5+)L 「空気」の構造 池田信夫 2013 白水社 副題が「日本人はなぜ決められないか」の通り優れた日本人論である。山本七平・丸山眞男や名著「失敗の本質」等を参照しながら、「日本はタコツボ的な中間集団の自立性が強く、全体的なリーダーが弱い日本型デモクラシー」と説く。戦後長く平和と繁栄をもたらしたが、この「一国平和主義」はグローバル化の挑戦を受け機能してない。難解な参照が多くよく理解したか自信が無いが、少なくとも著者の主張する考えに共感する。
(2.5)2 チャイナ・ナイン 遠藤誉 2012 朝日新聞出版 著者は最近TVでよく見かける帰国子女の中国事情通の大学教授で、中国の権力構造の実態と今後の展開を予測したもの。中国政権中枢部の考え方と力関係を解き明かし、共産党一党独裁というステレオタイプの見方からトップ人脈の経歴と人間関係を描いたもの。彼等権力者とその一族が信じられないくらいの巨額の富を築くプロセスと共産党の理念との関係、もしくは中国人特有の何かがあるのか解明され無かったのが残念。
(2.0)2 池上彰のこれが「世界のルール」だ! 池上彰 2015 文芸春秋 週刊文春の連載コラムを纏めたもので、ISIS・朝日新聞の掲載拒否・中国ウクライナ北朝鮮事情・EPA/FTAなど貿易協定等の時事ネタについて分かり易く解説したもの。最後のDOWANGO社長のインタビューが型破りな発想で面白い。分かり易い半面どうしても内容が表面的で浅いが、短時間で概要を理解するには便利、知らないよりはましな情報を与えてくれる“一口知識”といったところか。
(2.0+)2 グローバル・エリートの時代 倉本由香利 2012 講談社 グローバル化を3つの波(販売・生産・組織)に分け、現在は3つ目の波「グローバル組織」にあたり、必要な人材としてグローバル・エリートに必要な7つのスキルを紹介したもの。当たり前みたいだが第2の波(海外生産)を経験した私にも説得力のある内容だ。当然のことながら、著者のいう「ローカル・サポーター」を主力とする世界的ポピュリズムの反乱が本書のような綺麗事では済まされない事態までは予測していない。
凡例:
(0):読む価値なし (1)読んで益は無い (2):読んで損は無い
(3):お勧め、得るもの多い (4):名著です (5):人生観が変わった
0.5:中間の評価、例えば1.5は<暇なら読んだら良い>と<読んで損はない>の中間
-/+:数値で表した評価より「やや低い」、又は「やや高い」評価です。
2: 古本屋で手に入れた本
L: 図書館で借りた本
新: 「定価」で買った本
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