中共の領土拡張の動きは、帝国主義そのものではないか。日本人にとって中国は、学ぶべき師であり、憧れの的であった。だからこそ、昭和維新の歌に登場するのは、屈原であり、「汨羅の淵に波騒ぎ」で始まるのである。日本人は中国の故事から多くのことを学んだのである。しかし、共産中国の誕生によって、孔子や孟子を生んだ精神的な土壌が否定されてしまったのだった。魯迅は「もちろん、われわれも現在に不満だ。だが振り返る必要はない。前方にも道路があるからだ。そして、この中国歴史上かつてなかった第三の時代を創造することこそ、現代の青年の使命である」(「燈火漫筆」)と書いているが、新しい道がどんなものであったかが、まさしく今問われているのではなかろうか。竹内好の著書を通じて魯迅を知っただけに、どれだけ理解しているかは心もとない。しかし、言論の自由が奪われている体制下において、「前方にも道路がある」というのを、どうして人々に知らせることができるのだろうか。竹内もまた、日本浪漫派の一員であったのだと思う。中共を一つのイデーとして思い描いたのではなかったか。領土問題で軍事力をチラつかせるなどというのは、そうした淡い期待を裏切ることである。もし竹内が存命であれば、どのようなコメントをしただろう。落胆のあまり、中共について、共産主義とは無縁な「帝国主義国家」と定義したのではないか。
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