一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

6月13日のLPSA麹町サロンin DIS・上川女流二段戦編(前編)

2024-07-16 20:31:49 | LPSA麹町サロンin DIS
6月13日のLPSA麹町サロンin DISに、上川香織女流二段の回のキャンセルが出た。その日私はヒマな日だったので、申し込みをした。私は上川女流二段のファンではあるが、事前に予約をするほど熱心ではない。キャンセルと私の予定が合致したときのみ、申し込みをするのである。
当日、銀座のOKスーパーに行くべく有楽町で降りたら、テレビのアンケートに捕まった。オリンピックで印象に残った名場面はというお題で、私は地元のヒーローを答えておいた。放送日は7月18日で、「ニンチドショー」というタイトルだった。
麹町サロンに行くと、先客が2名いた。1名は常連っぽく、もう1名は初参戦っぽい。
常連氏は平手、初参戦氏は四枚落ち。私も平手だが、振駒になった。上川女流二段に振っていただき、私の先手となった。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△5四歩▲4八銀△5二飛▲5六歩△6二玉▲6六歩△5五歩▲同歩(第1図)

私の居飛車明示に、上川女流二段は△5四歩。ゴキゲン中飛車の予定だが、「大沢さん急戦上手だからな」とつぶやく。いや私はそんなに急戦はうまくない。適当に指しているだけである。
ここで▲4八銀が工夫で、ここ▲2五歩だと、△5二飛▲4八銀に△5五歩と位を取られて面白くない。中飛車に5筋の位を取らせるのは居飛車の大損だと思う。
本譜△5二飛に▲5六歩とし、5筋の均衡を保った。
△6二玉に▲6六歩も消極的だが作戦で、上手に△8八角成から捌かれるのを防ぐ意味である。
上川女流二段は5筋の歩交換にきた。

第1図以下の指し手。△5五同角▲6八玉△3三角▲5八金右△4二銀▲7八玉△7二玉▲6八銀△6四歩▲6七銀△8二玉▲5七銀△5三銀(第2図)

上川女流二段は△5五同角と、角で取った。ここはもちろん飛車もある。角で取ったのは△3三角と引いて1手得する意味。これで済んだらこちらも面白くないので、5筋の歩はなるべく打ちたくない。粛々と駒組を進めるが、角道を止めて▲6七銀―▲5七銀の形はいかにもダサい。これを払拭する意味で、次の手は絶対である。

第2図以下の指し手。▲7五歩△7二銀▲7六銀△5四銀▲6七金△9四歩▲9六歩△4四歩▲8六歩△4五歩▲7七角(第3図)

▲7五歩は当然。もちろん玉頭位取りの意味ではあるが、この手で金銀4枚がのびのびできる。▲7六銀と立って、容易に負けない形。「(指し手が)本格的よね」と上川女流二段が唸った。私はふつうに指しているだけだが、さっきから妙にホメられるので、どうも指しにくい。
以下▲7七角までと進んで、次の手が注目された。

第3図以下の指し手。△5五歩▲2五歩△3五歩▲8八玉△3二飛▲7八金△5二金左▲1六歩△6三金▲8五歩△5一角▲2六飛△3四飛▲1五歩△6二角▲6八銀△3三桂▲8六角△4四角▲7七銀(第4図)

開始から30分くらい経って、4人目の客が現れた。満席になるのはいいことである。
上川女流二段は「弱気ですかね」とつぶやいて△5五歩と打った。確かに、飛角銀の進出路を自ら塞いでので、良し悪し。私は若干ほっとした。
上川女流二段は△3二飛と振り直し、高美濃囲いを構築した。「何かキレイな形になった」と、△5一角と引いた。
私の▲7七角は、この筋にいても活躍できそうにないので、8六に上がって新たな活躍の場を求めた。
△4四角に▲7七銀と上がり、金銀4枚ガチガチの形。私としては、珍しい指し方である。だが上川女流二段は「固いわネ」とウンザリしたふうだった。

第4図以下の指し手。△1四歩▲同歩△同香▲1五歩△3六歩▲同飛△同飛▲同歩△3九飛▲3四飛△4三銀▲1四飛△2九飛成(第5図)

どこから戦端が開かれるのかと見ていると、上川女流二段は△1四歩とした。▲同歩△同香▲1五歩に、上川女流二段は切り札の△3六歩を決行した。
しかし私は▲1五歩に△同香は▲同香でなく▲1六歩を予定していたので、こう指せば1歩違っていた。
△3九飛に、▲3四飛が疑問。ここはたんに▲1四歩と香を補充しておくべきで、取りになっている香を取るのに飛車を投入する必要はなかった。
△2九飛成に、次の手は。

第5図以下の指し手。▲7四歩△同歩▲7五歩△1九竜▲7四歩△6二桂▲7五香△7四桂▲同香△同金▲7五歩△7三金▲7四桂△同金▲同歩△6二香(第6図)

私の▲7四歩は待望の一手で、こう指さないと玉頭位取りをした意味がない。△同歩に▲7五歩の継ぎ歩が継続の攻めで、△同歩なら▲同銀△7四歩▲6四銀△同銀▲同角△7三桂に▲4二角成(参考図)を見て、まずまずだと思った。

上川女流二段は、相手にしては面倒と見て△1九竜と香を補充したが、私は一本△7五同歩と取られるのがイヤだった。仮に参考図まで進んだとしても、上手は△7五桂の反撃もあり、それなりに難しい戦いだった。
本譜▲7四歩に上川女流二段は△6二桂と必死の防戦だが、私は7△の位を譲らない。
しかし次の手はしくじった。

第6図以下の指し手。▲5四金△同銀▲4四飛△6三銀引▲4一飛成△1八竜▲4三角△5一金打▲6一角成△同金(第7図)

私は▲5四金と打ったが、いかにもダサかった。上川女流二段は「うん」と納得したふうに△5四同銀と取ったが、ここは△1三歩もあったと思う。以下▲4四金△1四歩▲4三金で1枚得するが、△2九飛と下ろされたら自陣に1枚入れねばならない。意外と大変だったと思う。
本譜、上川女流二段は△6三銀引と引き締めて満足のようだったが、私も▲4一飛成として、前途に希望を持った。
そこで上川女流二段は△5六歩と指しかけたが、「あッ……!!」と王手竜の筋を気にし、△1八竜と1回休んだ。
だがここは、やはり△5六歩と伸ばされるイヤだった。
私は▲4三角と打ったが、△5一金打の強防をうっかりした。だがここは、△5二香で下手の指し手も難しかったと思う。
本譜はいきおい▲6一角成と切り、△同金(△4一金は▲6二馬)。さて、次の手は。

第7図以下の指し手。▲5四歩△5二銀▲4二竜△7五歩▲同銀△6九角▲6八金打△4七角成▲5三歩成△同銀▲同竜△6三香打(第8図)

私は▲5四歩と打った。これに△同銀ならそこで▲5二歩と打つ。よって上川女流二段は△5二銀と引いたが、私は▲4二竜と張り付き、▲5三歩成を確定した。
上川女流二段は△6九角と待望の反撃。私は惜しげなく▲6八金と打つ。銀の入手が見込まれているので、ここではケチらない。
対して上川女流二段は「切りたくないですね。切る気満々で打ってるんですけど」と、△4七角成とした。しかしここは、△7八角成と1枚剥がされるのがイヤだった。
上川女流二段の△6三香打に、私の次の手は、もうお分かりであろう。

(つづく)
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麗しき上川香織女流二段との指導対局(後編)

2024-03-27 15:28:37 | LPSA麹町サロンin DIS

第6図以下の指し手。▲2二歩△4二飛▲4六竜△4五歩▲同桂△4四金▲3三桂成△同歩▲4四銀△4五歩▲3五竜△3四歩▲同竜△2二飛▲2三歩△4二飛and△8四桂???(第7図)

上川香織女流二段は、「私が勝手に選ぶ女流棋士ランキング」の2位である。むかしはもっと低かったが、渡部愛女流三段のフェードアウトがあったりして、いつの間にか2位に浮上した。
かつてHon氏が「大沢さんって、ティーンが好きですよね」と言った。それは否定しないが、熟女系も嫌いでないことが分かる。
きょうの上川女流二段もちょっとくたびれた感じで、麗しい。
第6図で私は▲2二歩と打った。何も指す手がないのでこうやって手を渡し、上川女流二段に動いてもらおうの意図だ。
△4二飛には、構わず▲4六竜と寄った。これには△5六歩があるがよろこんで▲同歩と取り、竜馬交換ならこちらも望むところである。
上川女流二段は「そうか……」とつぶやき△4五歩。これにも堂々と▲同桂と取り、△4四金には▲3三桂成から▲4四銀と捌いた。
「あれ? 私駒損してる?」
まあそういうことになるが、まだ難しい。
以下数手進んで第7図になるが、実はこの直前の「△2二飛▲2三歩△4二飛」が記譜用紙から抜けていた。
これだと上手が1手多く指す計算になるのだが、それに代わる下手の1手がどうにも分からないのである。
△2二飛に▲2三歩と指した記憶はあるのだが、記譜用紙には華麗にスルーされている。
実はこの日、私は風邪の治りかけで、咳がまだ少し出ていた。コロナの抗原検査を受けて陰性だったから心配はないが、上川女流二段に不快な思いはさせたくない。とはいえ咳をすれば痰が絡んできそうで、私は腹に力を入れて咳を我慢していた。私はこのあたり、対局や記譜記入どころではなかったのである。

第7図以下の指し手。▲7五金△6三馬▲5五銀△同銀▲同角△5二飛▲1一角成△5四飛▲3五竜△5三馬▲4五竜△4四歩▲3五竜(第8図)

第7図では俗に▲4三金もあるか。だが重たくて、ほとんど考えなかった。
上川女流二段はこちらを見るが、私は指せない。いつもはチャッチャッチャッと指すのだが、本局は慎重に駒を進める。
私は▲7五金と打った。2月7日・8日に行われた第73期王将戦第4局で、藤井聡太王将が馬取りに▲7五金と打っているが、それを拝借した。
上川女流二段はうんざりした声を出したあと、△6三馬と引く。私は▲5五銀と捌き、この銀まで駒台に載っては、この将棋は負けられないと思った。
「大沢さんって、急戦がうまいわよねえ」
と上川女流二段が言う。私は返事をしたいが、前述の理由で、声が出せない。意味なく微笑むのみである。
そして△5二飛に▲1一角成。最初に記譜を再現したとき、ここで▲2二歩があったから、▲1一角成とできなかった。それでプレイバックし、第7図の前、「△2二飛▲2三歩△4二飛?」の3手?が抜けていることが判明したのである。
本譜に戻り、▲4五竜に上川女流二段は△4四歩としたが、ここは何はともあれ△2四飛とし、飛成を見せたほうがよかったと思う。
▲3五竜の第8図で、次の手が問題だった。

第8図以下の指し手。△6三桂▲6五金△4三馬▲5四金△同馬(途中図)
▲7七銀△7四歩▲4四馬△同馬▲同竜(第9図)

△6三桂が疑問だったと思う。私は幸便に▲6五金と寄り、これで飛車が死んでいる。
上川女流二段は△7七歩と指しかけて△4三馬と寄ったが、▲5四金で1手損になった。上手は劣勢のときに痛いミスだが、代わる手も難しかった。

途中図では▲4四馬△同馬▲同竜とするのが簡明だったが、気が付かなかった。
それより自玉の周りがスース―するので、憂いを解消すべく、▲7七銀と入れた。そこでまた上川女流二段が唸った。
上手は△7四歩くらいしかないが、そこで▲4四馬を発見した。
「大沢さんって、急戦がうまいわよね」
と、また上川女流二段が言った。

第9図以下の指し手。△7五歩▲同歩△7六歩▲8八銀△5五角▲同竜△同桂▲6四角△7三銀打▲5五角(投了図)
まで、124手で一公の勝ち。

右の将棋は2局目が終わり、今度は男性氏が勝った。急戦の将棋で、お互い早指しが止まらなかったようである。
本譜は▲6四角で桂得が約束され、これから長くなっても、負けはないと思った。

▲5五角で上川女流二段投了。以下は△6五金でも、▲7四桂△9二玉▲9三香△同玉▲8二角△9二玉▲7三角行成△同銀▲同角成(参考A図)まで、上手玉は受けなしとなる。

感想戦は短く行われ、第4図から5手後の△5五歩のとき、銀取りに構わず▲3四歩(参考B図)がよかったとされた。

残り15分になったので、私はこれで失礼する。だが右の男性氏は「次回に指し掛けでもいいので」と、3局目を始めた。
「第1部は3時ですから。次は間違わないように」
と、上川女流二段のありがたい注意を聞き、私は麹町サロンを後にした。
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麗しき上川香織女流二段との指導対局(前編)

2024-03-26 23:11:49 | LPSA麹町サロンin DIS
14日のLPSA麹町サロンin DIS第2部は島井咲緒里女流二段担当で、私は事前に予約をしていた。
ところが前日に急遽14日の予定が入り、島井女流二段の回をキャンセルすることになった。前日なので、キャンセル料が発生し、2,500円となる。以前も同様の案件でキャンセルしたことがあったが、そのときも島井女流二段だった気がする。私は島井ちゃんとは縁がないのか。
そして21日の第1部は上川香織女流二段の担当で、こちらもほぼ同じ時期に申し込んでいた。こちらは順当に指導対局を受けられ、当日は早めに家を出たが、多慶屋やOKスーパーに寄るなどして、時間調整をした。
小諸そばには寄らず、麹町のサロンに入ったのは午後3時25分だった。先客は2名いたが、将棋盤はなぜか中盤戦になっていた。
「遅かったですね」と上川女流二段が言う。
「?」私は怪訝に思ったが、よく考えたら、第1部は15時から17時までだった。私は勘違いして、30分遅れで入ったのだ。
「大沢さんが来るのがあんまり遅いから、本部に連絡を入れようと思ったのよ」
と上川女流二段。「2部が18時30分からだから、それと間違えたんじゃないの?」
まさにその通りで、完全に勘違いしていた。
私は気を取り直し、上川女流二段に7.000円を渡す。指導料4,500円(ファンクラブ料金)に、キャンセル料2,500円である。前も上川女流二段にこの額を渡した気がする。
「なにこれ?」
「いや先週キャンセルしちゃったから、そのキャンセル料込みです」
「ああ、そうなんだ。私へのお小遣いかと思った」
「ちげーよ」
「プッ、大沢さんもそんなこと言うのね」
ということで、早速指導対局である。上川女流二段は平手でも下手先手でなく、振り駒を望む。私は上位の上川女流二段に振っていただき、歩が4枚出たので、私が後手になった。マジか……。
ともあれ対局開始である。

初手からの指し手。△3四歩▲7六歩△4四歩▲2六歩△3二飛▲4八銀△6二玉▲6八玉△7二玉▲7八玉△4二銀▲6八銀△5二金左▲2五歩△3三角▲5六歩△8二玉(第1図)

上川女流二段は振り飛車党なのでどこに振るかと見ていたら、三間に振った。「マイブームなのよね」と上川女流二段がつぶやく。先々週の中倉彰子女流二段と同じく、後手番でも三間飛車か……と思ったが、今回上川女流二段は先手だった。なお記譜表記は、あくまでも上手の上川女流二段を「△」とする。
私は上川女流二段の石田流を望み、▲2五歩や▲5六歩、右金の動きを保留していたが、上川女流二段は石田流派ではない。それで、▲2五歩を決めた。
△8二玉と寄りながら、「急戦らしいですね」と上川女流二段がつぶやく。私はまだ▲3六歩を指していないが、これでは期待通り、急戦策を採らざるを得なくなってしまった。

第1図以下の指し手。▲5八金右△7二銀▲3六歩△5四歩▲4六歩△9四歩▲5七銀左△6四歩▲3七桂△2二飛(第2図)

きょうは3面指し。私が予約した時点で満席になったから、一席キャンセルが出た模様だ。
対局者のひとりは上川女流二段の振り飛車に力戦居飛車で挑み、勝勢になっている。彼はスマホに記譜を記録させている。……あれ? 彰子女流二段のときにいたひとにも見えるが、平日にそんな簡単に出席できるものだろうか。という自分も平日にお邪魔しているわけだが。
いまひとりはよく見る常連氏で、たぶん角落ちで挑んでいるのだろう。ともあれこうしてみると、麹町サロンも常連が多いのが分かる。
▲5八金右△7二銀のあと、私は▲3六歩。やはり急戦策を採った。
△9四歩には▲9六歩と受けず、▲5七銀左と態度を明確にする。これで先後逆になった理屈で、このあとの仕掛けで私が有利になる変化も多い。
「すごい昭和の将棋ですね。端歩も受けないし」
いろいろ言葉を挟むのが上川流である。
私は着々と戦闘態勢を整え、次の手は定跡。

第2図以下の指し手。▲5五歩△同歩▲4五歩△4三銀▲4六銀△5六歩▲4四歩△同銀▲4五歩△5三銀▲3三角成△同桂▲8八角(第3図)

私は▲5五歩から開戦。対三間飛車の急戦戦法は、これしか知らないのだ。
△5五同歩以下▲4六銀のとき、△5四銀もある。以下▲5五銀△同銀▲同角に△4三金で、これはこれですこぶる難しい。
上川女流二段は△5六歩と突き、「定跡書(の進行)みたい」とつぶやく。実際そうで、▲8八角にはどうするか。

第3図以下の指し手。△4三金▲4七銀△3九角▲2六飛△8四角成▲3五歩△同歩▲5六銀(第4図)

第3図では本譜の△4三金のほかに、△4二金や、勝浦新手の△4二銀がある。
△4三金に▲3五歩△同歩▲同銀△3四歩に▲4四歩は、中原誠名人著「中原の振り飛車退治」(池田書店)でも紹介されているが、実戦はこうはならず、難しい。黙って▲4七銀がいいと思う。
▲3五歩△同歩に▲5六銀と出て、次の▲3五銀を目指した。

第4図以下の指し手。△5二飛▲3五銀△7四馬▲5七歩△5五歩▲同角△5四銀▲8八角△5五歩▲4七銀△4五桂▲同桂△同銀▲4四歩△4二金(第5図)

右の男性氏は勝勢だったが、終盤でうっちゃり、上川女流二段の勝ち。感想戦もそこそこに、すぐさま第2局が始まった。
上川女流二段は△5二飛と転戦する。いかにも振り飛車らしい動きで、こうやって居飛車は騙されていくのだ。
△7四馬に私は▲5七歩と銀を支えたが、マズかった。ここは▲3四歩と打ち、桂得を確定するべきだった。
なお私に▲9六歩が突いてあると、△7四馬の手で△9五歩▲同歩△9七歩▲同香△9六歩▲同香△7四馬があった。
本譜は△5五歩以下私の▲5六銀が撤退し、△4五桂から、取れそうな桂を捌かれてしまった。
▲4四歩△4二金は利かしたが、つまらぬ展開にしたと思った。

第5図以下の指し手。▲3七桂△5四銀▲2四歩△同歩▲同飛△6五歩▲2三飛成△6四馬▲2六竜△5三金▲3四歩△3二歩(第6図)

▲3七桂は気が利かないが、しょうがない。
▲2四同飛に△6五歩はちょっと意外で、馬はこの筋に利かされているほうがイヤだった。もっとも上川女流二段の読みは別で、馬は6四の筋で働かせたかったようだ。
▲3四歩△3二歩を利かせて、次の手は。

(つづく)
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美しき中倉彰子女流二段との指導対局(後編)

2024-03-23 22:53:19 | LPSA麹町サロンin DIS
第4図以下の指し手。△4五飛▲6六馬△6四桂▲4七香△同銀不成▲同金(途中図)
△6五香▲同馬△7九角成▲同金△6五飛(第5図)

きょうは4面指しで、私は一番手前にいる。ナナメ向かいの男性は平手で、中倉彰子女流二段の振り飛車に、力戦居飛車で対抗している。記譜はスマホの将棋盤の駒を動かすことで、自動的に記録されるらしい。私はアナログ派なので、記譜は紙に記録している。
第4図から彰子女流二段は△4五飛と浮いた。いかにも振り飛車らしい動きで、とても現役を引退したひとの手ではない。まったく、彰子女流二段が現役を引退したのは残念だった。
その△4五飛、私は何はともあれ、△4七歩と叩かれるのがイヤだった。▲同銀は△7九角成▲同金△4七飛成で勝負あり。彰子女流二段は▲5九銀△3七角成に▲4四香を気にしたのだろうが、ごちゃごちゃやって負ける気がした。
本譜に戻り、私は▲6六馬と引くくらいだが、△6四桂がまた、よさそうな手。
私の▲4七香では▲4七歩で収めたいのだが、あいにく歩切れ。本局の私は駒台に歩が載らず、慢性的につらかった。
本譜△同銀不成に▲同銀は△3七角成で、次の△4六歩や△4七馬を気にした。

途中図で彰子女流二段は△6五香と打ったが、ここはたんに△7九角成とし、▲同金に△3八銀(参考図)もあったと思う。

参考図で▲4六歩がないから▲5六銀となりふり構わず受けるが、△同桂▲同馬に△4七飛成か、△2九銀不成か……。
本譜に戻り、△6五香に▲4六金が利けばいいが、△6六香▲4五金△6七香成(△4五同飛は▲5七馬)▲同玉に△5六角が王手飛車金取りで、悪いと思った。……が、この順をもっと掘り下げるべきだった。
本譜の岐れはどうなのだろう。

第5図以下の指し手。▲5八銀△3八銀▲6九飛△4七銀成▲同銀直△4六歩▲同銀△4八金▲5九歩△2五飛(第6図)

この局面でも△3八銀があるが、ヘンな受けだとまた自陣の駒を剥がされる。それで、▲5八銀と一枚入れた。△3八銀はあるが、仕方ない。
彰子女流二段はやはり△3八銀と打ち、金を入手し、返す刀で△4六歩。指がしなっていた。
△4八金に▲5九歩は、飛車の横利きが消え△2五飛が生じるが、やむを得なかった。

第6図以下の指し手。▲3七銀打△5八金▲同歩△3八角▲4八金△7四角成▲2八香△8五飛(指し掛け図)
まで、70手で指し掛け。

▲3七銀打で△5八金を強要し、▲同歩で飛車の横利きが通った。これに△2七飛成なら、▲2八香△3八竜に▲4八金と、強引に飛車を入手してどうか。
彰子女流二段は△3八角と打ったが、これは意味不明だった。▲4八金には△6五に成りかけて△7四角成。実はもう指導対局終了時間が迫っていた。
バカバカしい▲2八香は、指し掛けを提案するための粘りの手。△8五飛としたところで残り5分になったので、私は次の手を指さず、指し掛けを提案した。もちろん、了承された。

指し掛け図以降は、▲7七桂△8四飛▲6六桂△5六馬▲5七歩で馬が死んでいるが、それはそれで、むずかしいところもある。
ナナメ前の男性のも指し掛け。2時間の指導対局で決着がつかないのはどうかと思うが、私も彰子女流二段もこんこんと考えたのだから、それでいい。
また、彰子女流二段にお手合わせ願えればうれしい。
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美しき中倉彰子女流二段との指導対局(前編)

2024-03-22 22:35:55 | LPSA麹町サロンin DIS
今月7日のLPSA麹町サロンin DISは、第1部に中倉彰子女流二段、第2部に中倉宏美女流二段がシフトされていた。人気姉妹だからどちらも満席が予想されたが、彰子女流二段に1席空いており、たまたま7日はヒマだったので、6日に予約を入れた。
彰子女流二段の誕生日は、福間香奈女流五冠と同じ3月2日である。昨年はその日に彰子女流二段の指導対局があり、私も参加し、ささやかながら誕生日プレゼントを購入した。今年は5日違いだが、やはり買わねばならないだろう。そして今年は、宏美女流二段にも買いたい。宏美女流二段の誕生日は今年もう過ぎてしまったが、私の気持ち次第なので、構わない。
さて、7日当日である。とりあえず東京駅で下車した。地下街に土産物屋があるが、ふらふらしていたら、大丸の地下街に入ってしまった。ちょっとイメージが違うが、面倒なので、ここで調達することにする。
お菓子類を2種類買い、宏美女流二段にも同等のものを買った。
ここからJRで四ッ谷に向かい、下車。迷ったが、小諸そばに入った、二枚もりをたぐる。420円は小さくない出費だが、それに見合った満足感はある。きょうの二枚もりも、美味かった。
麹町のサロンに入ると、すでに3人が入室していた。私はプレゼントを渡し、早速駒を並べる。私の先手で、対局開始となった。

初手からの指し手。▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△9四歩▲5六歩△9五歩▲5八金右△3二飛(第1図)

大野教室スタッフのW氏情報によると、彰子女流二段は自身の指導対局の記譜公開を望まないという。だけどそれを私は彰子女流二段から直接聞いていないし、何より彰子女流二段の将棋が素晴らしいので、今回も勝手に公開させていただく。なお、当人および関係者から削除要請があれば、すぐに応じるつもりである。
私の▲2六歩でスタート。6手目△9四歩に挨拶しないのが私流で、以前それをやってコテンパンに負かされ、どなたかに「やっぱり端歩は受けないとダメなのよ」とたしなめられた記憶がある。
それでも端歩を受けない私は、成長していないのだ。
▲5六歩に、彰子女流二段は△9五歩。ここは意地でも突き越したいところだろう。
▲5八金右に、彰子女流二段は意外な三間飛車だった。

第1図以下の指し手。▲6八玉△6二玉▲7八玉△7二銀▲2五歩△3三角▲4六歩△4二銀▲4五歩(第2図)

きょうも彰子女流二段は綺麗である。もうけっこうな年齢になっているが、みずみずしさはみじんも喪われていない。中座真七段も休場から無事復帰し、憂いもなくなったというところ。
対して私はここ数ヶ月でさらに抜け毛が進行し、頭は無残な状態になっている。さっきも駒を並べる際、彰子女流二段が私の頭に一瞬目を止め、「あれ? 大沢さんのアタマ、こんなにハゲていたっけ?」という顔をした。
私は▲6八玉から玉の整備にかかる。しかしここでは若干の誤算があった。彰子女流二段が三間飛車に振るなら、石田流に組ませて▲5六銀左戦法があるのだが、私は早々に▲5六歩を突いてしまった。しかも▲5八金右まで指してしまったので、棒金戦法もできない。私は作戦に窮してしまった。
私は▲2五歩△3三角を決めて▲4六歩。上手が早めに△7二銀と上がったので、9一の香が浮いている、よって8二に角を打てれば下手が優位に立てるのではないか?
私は▲4五歩と仕掛けた。

第2図以下の指し手。△4五同歩▲2四歩△同歩▲3三角成△同銀▲3六歩△7一玉▲4三角△2二飛▲3七桂△5二金左▲6五角成△4四銀(第3図)

第2図から△4五同歩は、角交換から▲8二角がある。よって△4三銀か。以下▲4四歩△同銀▲4五歩△同銀▲3三角成△同桂に▲8二角or▲2四歩……あたりを読んでいたら、彰子女流二段は堂々と△4五同歩。そういうものか……と私は唸った。
予定の▲3三角成△同桂▲8二角は、△9三香or△9四香となる。その後私は▲7七桂~▲8五桂とするが、いざその局面の権利を得てみると、その攻めがまだるっこしく思えてきた。
とりあえず私は▲2四歩と突き捨てたが、早まった、というのも、次の▲3三角成を△同銀と取られ、予定の▲4三角は△2二飛で、次の△2五歩~△2六歩が早く、下手敗勢となる。
それで▲3六歩としたが、リズムがおかしい。
そこで彰子女流二段は△7一玉としたが、ここは△4二飛や△4二金で、馬作りを消されるほうがイヤだった。
▲4三角△2二飛に、私は△2五歩に備えて▲3七桂。一本取ったつもりが苦労の連続で、こんなことなら、▲4六歩で▲3六歩だった。

第3図以下の指し手。▲4五桂△4六角▲2九飛△4五銀▲2三歩△4二飛▲2一馬△5六銀▲1一馬(第4図)

彰子女流二段はまとめて指さない。ふつうは2手、多くても4手で隣に移る。それだけ時間がかかるが、下手もそれだけじっくり考えられるので、それでいいと思う。
私の▲4五桂は非常手段。彰子女流二段は、たんに△同銀でもいいが、△4六角で▲2四飛を防ぎ、△4五銀とした。
▲2三歩は継続手。△4二飛に▲2一馬で駒損は回復したが、歩切れが痛い。
彰子女流二段は△5六銀と進出して好調。私は▲1一馬くらいしかないが、この展開では私の負けだと思った。

(つづく)
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