一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

金曜サロン・山下カズ子女流五段③

2010-07-01 00:57:29 | LPSA金曜サロン
29日(火)の夜は、さすがの私もW杯サッカーを観たので、30日は寝不足だった。午後になると眠くて眠くて仕事にならず、ヘンな品物を作ってしまったのではないかと、気がかりだ。

4月16日のLPSA金曜サロン、1部(午後2時~6時)は山下カズ子女流五段、2部(午後4時30分~8時30分)は島井咲緒里女流初段の担当だった。
山下女流五段は、同期の蛸島彰子女流五段と比べると、成績の翳りは否めないが、先日行われた日レスカップ女流棋士トーナメントでは、この日担当の島井女流初段に快勝し、力のあるところを見せた。まだもうひと花咲かせてもらいたい女流棋士である。
指導対局に入る。昨年11月以来、久しぶりに教えていただく。山下女流五段は昭和49年の女流棋士デビューだから、今年で現役女流棋士生活36年目。私が子供のころから活躍されていたわけで、そのご本人とこうして盤を挟めるのも、将棋ならではの光景といえよう。
☗7六歩☖3四歩☗2六歩に、山下女流五段は☖4四歩。山下女流五段は居飛車と振り飛車の両刀遣いだが、相振り飛車は指さない。まずは順当なでだしである。
以下、定跡書に載っているような手順を経て、下の将棋になった。

下手・一公:1七歩、1九香、2九桂、3三馬、3八飛、4七歩、4八銀、5六歩、5八金、6七歩、6九金、7六歩、7八玉、8七歩、8九桂、9七歩、9九香 持駒:飛、歩
上手・山下女流五段:1一香、1三歩、2一桂、2四歩、3四銀、4六歩、5二金、5三歩、6一金、6四歩、7二銀、7三歩、8一桂、8二王、8三歩、9一香、9三歩 持駒:角、銀、歩2

☗3三角成まで。定跡通の方は、以下の符号を見ただけで、図面を作らなくても分かると思う。本譜は、☖3三同桂☗3四飛と進んだ。ここで☖4三金なら☗2四飛と回れるから、下手有利。
このとき山下女流五段が、
「あ…☖3七歩だった」
とつぶやいた。☖3三同桂では☖3七歩と叩くべきだった、と言っているのだ。
ちなみに定跡書には☖3七歩以下、☗同飛☖3六歩☗同飛☖4五銀☗3五飛☖3三桂☗同飛成☖5六銀で振り飛車指しやすい、とある。
これは労せずして私が優位に立ったか?といえばそうではなく、☗3四飛以下☖4七歩成☗同銀☖4六歩☗同銀☖2八角☗3七歩☖1九角成☗3三飛成☖2九馬…と、いつの間にか振り飛車も捌けた形になり、私は首を傾げてしまった。
このあとも山下女流五段の緩急自在の指し回しに翻弄され、私の攻め手もキレを欠いてきた。
金頭を叩いた☗5三歩に、女性会員のAさんが
「強い人は歩をうまく使いますね」
と、傍らの植山悦行手合い係に話しかけていたが、ここでは相当下手が忙しくなっており、☗5三歩では香を打ちたいくらいだった。つまりそのくらい、容易ならざる形勢だったのである。
最後は☖8六桂☗同歩とこじ開けられ、ここで☖8七角☗同玉☖6九飛成とでも指されたら、ほぼ投了だった。
ところが山下女流五段は「そうか…しまった…」とつぶやき、☖9五桂。しかしこれでは☗6一とが回って、こちらの勝ちだ。山下女流五段は、一枚渡すと自玉が詰むと勘違いしたのだが、その手順は、最後に☖9二王と寄って詰まない。詰将棋の名手・山下女流五段にしては、珍しい見落としだった。
勝ちはしたものの、「拾わせていただいた」という表現がピッタリで、山下女流五段の懐の深さに感銘を受けた一局だった。
なおこのあとの島井女流初段との指導対局は、私まで順番が回ってこなかった。早指しで鳴る島井女流初段が、最後まで捌けなかったのは珍しい。島井女流初段、まだ本調子ではないと思った。
コメント (3)
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