一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

竜王戦第1局(2日目)

2016-10-16 20:43:35 | 男性棋戦
第29期竜王戦七番勝負第1局、渡辺明竜王VS丸山忠久九段戦は、14時51分、68手までで渡辺竜王の勝ち。渡辺竜王は幸先いいスタートを切った。
本局、1日目にはだいぶ進んで、指し掛けの時は後手有利とされていた。だが私レヴェルの棋客が指せば、後手有利どころか優勢で、十中八九後手が勝つ。プロは慎重だから形勢は断定的に言わないけれど、内心は後手必勝ぐらいに考えていたのではなかろうか。
私が2日目の局面を見たのは昼休時。渡辺竜王は自然な手を積み重ね、優位を拡げていた。ここまでくれば素人目にもはっきりして、後手勝勢だった。
次に見た時は、もう終わっていた、というわけである。4年前の渡辺―丸山戦を見るような、何ともアッサリした終局だった。
ひるがえって、1日目29手目の▲2四同飛に△4二角が、5三の地点に利かしつつ△4四歩を見せて、勝着になったのではないか。
この△4二角、控室の千田翔太五段が指摘していたというが、これはプロなら一目なのか、見えにくい手なのかは不明。ただ何となく、ここに大駒を手放すのは指しがたいと思った。
これを丸山九段も読んでいたならば、▲3四飛から飛車切りも読み筋になるが、その先が意外に続かなかったから、その読み筋にも疑問符がつく。
とすれば△4二角を見落としていたことになるが、中盤の手が狭い局面で、そんなことがあるだろうか。
対して渡辺竜王は、確実にこの将棋を研究していた。何しろ三浦弘行九段戦は、いいところなく敗れたのである。研究、とまで堅苦しくなくとも、おのが敗局を並べ、敗因を徹底的に分析したはずである。
そこで△4二角を発見し、以降はラクな戦いだったと思われる。人間同士の戦いだからもちろん一山は覚悟していたろうが、正確に指せば自分が勝つ、の信念で、考えていても楽しかったはずだ。
とすればさらに戻り、その前の▲4五桂が指しすぎになるわけだが、それを言ったらミもフタもない。まあ、「桂馬の高跳び歩の餌食」を再確認した、ということである。
何だか全然盛り上がらなかった開幕局だが、現地では室谷由紀女流二段が八面六臂の活躍をしたそうである。
重たい雰囲気の漂う中、室谷女流二段の存在だけが、一服の清涼剤であった。

開幕前は丸山九段が気楽に指せると考えたが、第1局を見る限り、あまり気合が乗っていないようである。
対して渡辺竜王は研究がバッチリはまった形で、労せずして1勝のアドバンテージを得た。これで防衛したも同然、とフンでいるのではなかろうか。
丸山九段、次は絶対に勝たねばならない。
第2局は27、28日。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする