決勝戦が始まるまで、しばしの休憩である。
なお指導対局は、中座真七段の8面指し、上川香織女流二段の5面指しだった。
私は物品コーナーで、中座七段の新刊「相掛かりの新常識」(マイナビ・税別1,500円)を買う。これからの将棋は、相掛かりである。サービスの揮毫は何種類かあったが、私は「道心」を選んだ。
決勝戦は、「手数当てクイズ」もある。これは先後で手数が変わってくるので、その確認が必要だ。
近くに中倉宏美女流二段がいたので、挨拶する。
「先生、残念でした。私、宏美先生を優勝予想したんですよ」
「ああ…」
「だって今年は愛ちゃんがいないじゃないですか。チャンスだったのに」
「えっ」
「でも宏美先生が優勝しちゃったら、けやきカップがなくなっちゃうらしいですもんね。だからいいですか…」
「えっ」
ほっとくとどんどん宏美女流二段を貶めそうなので、ここらでやめておく。
傍らでは決勝戦の振り駒が行われ、島井咲緒里女流二段の先番になった。相手の堀彩乃女流2級は急戦派なので、私は「103手」と書いて投函した。
キッズ詰将棋の解答発表も終わり、いよいよ決勝戦の開始である。解説は宏美女流二段と大庭美樹女流初段。
宏美女流二段「(ふたりは)詰将棋と実戦で鍛え上げた感じです」
将棋は先手・島井女流二段の四間飛車穴熊に、堀女流2級の銀冠になった。
島井女流二段のそれは予想されたところだが、堀女流2級の銀冠は意外。相手が穴熊といえども、急戦で挑むと思っていたからだ。ともあれこれでは長期戦は必至で、絶対に「103手」では終わらない。優勝者当てクイズに続き、手数クイズも外したようだ。
島井女流二段は▲4七金と上がり、前局と同じ攻める穴熊である。早指し戦では、自分の得意形に進めるのがいい。指しなれているから、時間を使わずに済む。
宏美女流二段「むかしソフトで研究をやっている時は罪悪感とか違和感がありましたけど、今はそういうことはなくなりました」
会場には、階上で大会を終えた子供たちが入場し、やや騒がしくなっている。室内後方に「習甦」があり、それをプレイしているらしい。すぐ近くでは女流棋士の真剣勝負が行われているのだが、彼らに静粛を求めるのは無理というものか。
堀女流2級は△2四角から△4四銀と上がり、堂々とした布陣。たしかに、大山康晴十五世名人が指しているみたいだ。
堀女流2級はここらで勲章がほしいところ。
「優勝か準優勝かでだいぶ違いますもんね」
と、宏美女流二段。
解説が大庭女流初段から中座真七段に交替した。
局面は島井女流二段が快調に進めている。▲5七飛と馬にぶつけ、堀女流2級は△3六馬と逃げた。これはつらい。
以後も島井女流二段がノビノビと指し、素人目にも島井女流二段の優位が見えてきた。
島井女流二段▲5五角!(図)と放った。何だか、コロンブスの卵のような手があった。
ここ、私のような凡人は、▲7七角をなんとか▲5五角としたいと考える。だがそれは実現しづらいわけで、それならもう1枚の角で▲5五角を打てばよい、という考えだ。
堀女流2級やむを得ない△3三歩に、▲同歩成△同銀▲3四歩もニクイ。私ならすぐに▲8二角成と飛車を取って満足するところ。プロは貪欲なのだ。
▲3四歩以下は△3二歩▲3三歩成と銀得し、そこからゆうゆうと飛車を取った。これは大勢決すの感がある。
島井女流二段は今日優勝すれば、1dayトーナメント10回目の優勝だという。「永世1day?」という冗談も聞かれるほどで、かくも島井女流二段の早指し戦は強い。
△2六歩には▲3八金寄。万が一のトン死の筋を消した。中座七段が「勝負の厳しさを教えましたね」と嘆息した。
以下、117手までで堀女流2級が投了した。
表彰式。島井女流二段にトロフィーと副賞が贈られた。
この後は、お楽しみ抽選コーナーである。今年は大人詰将棋が休止になったうえ、優勝者予想クイズも手数クイズも外してしまった。なお手数クイズは、近似値でLPSAファン氏が賞品を獲得した。さすがLPSAファン氏、いい読みだった。
残すはアンケート回答投稿者の抽選である。
早くも何人か呼ばれ、今年は諦めたその瞬間、私の名前が呼ばれた。何かしらを持って帰る。私の妙な勝負強さが、今回も発揮された。
島井女流二段挨拶。
「この棋戦は相性がよかったです。グリーンプラザも今月で閉館とのことで、今日は朝から雪が降っていたり、忘れられない1日になりました」
中倉彰子女流二段によると、来年は3月17日(日)、「府中芸術の森」で行われるとのこと。今から来年のことを考えると恐ろしいが、また元気にお邪魔できればうれしい。
なお指導対局は、中座真七段の8面指し、上川香織女流二段の5面指しだった。
私は物品コーナーで、中座七段の新刊「相掛かりの新常識」(マイナビ・税別1,500円)を買う。これからの将棋は、相掛かりである。サービスの揮毫は何種類かあったが、私は「道心」を選んだ。
決勝戦は、「手数当てクイズ」もある。これは先後で手数が変わってくるので、その確認が必要だ。
近くに中倉宏美女流二段がいたので、挨拶する。
「先生、残念でした。私、宏美先生を優勝予想したんですよ」
「ああ…」
「だって今年は愛ちゃんがいないじゃないですか。チャンスだったのに」
「えっ」
「でも宏美先生が優勝しちゃったら、けやきカップがなくなっちゃうらしいですもんね。だからいいですか…」
「えっ」
ほっとくとどんどん宏美女流二段を貶めそうなので、ここらでやめておく。
傍らでは決勝戦の振り駒が行われ、島井咲緒里女流二段の先番になった。相手の堀彩乃女流2級は急戦派なので、私は「103手」と書いて投函した。
キッズ詰将棋の解答発表も終わり、いよいよ決勝戦の開始である。解説は宏美女流二段と大庭美樹女流初段。
宏美女流二段「(ふたりは)詰将棋と実戦で鍛え上げた感じです」
将棋は先手・島井女流二段の四間飛車穴熊に、堀女流2級の銀冠になった。
島井女流二段のそれは予想されたところだが、堀女流2級の銀冠は意外。相手が穴熊といえども、急戦で挑むと思っていたからだ。ともあれこれでは長期戦は必至で、絶対に「103手」では終わらない。優勝者当てクイズに続き、手数クイズも外したようだ。
島井女流二段は▲4七金と上がり、前局と同じ攻める穴熊である。早指し戦では、自分の得意形に進めるのがいい。指しなれているから、時間を使わずに済む。
宏美女流二段「むかしソフトで研究をやっている時は罪悪感とか違和感がありましたけど、今はそういうことはなくなりました」
会場には、階上で大会を終えた子供たちが入場し、やや騒がしくなっている。室内後方に「習甦」があり、それをプレイしているらしい。すぐ近くでは女流棋士の真剣勝負が行われているのだが、彼らに静粛を求めるのは無理というものか。
堀女流2級は△2四角から△4四銀と上がり、堂々とした布陣。たしかに、大山康晴十五世名人が指しているみたいだ。
堀女流2級はここらで勲章がほしいところ。
「優勝か準優勝かでだいぶ違いますもんね」
と、宏美女流二段。
解説が大庭女流初段から中座真七段に交替した。
局面は島井女流二段が快調に進めている。▲5七飛と馬にぶつけ、堀女流2級は△3六馬と逃げた。これはつらい。
以後も島井女流二段がノビノビと指し、素人目にも島井女流二段の優位が見えてきた。
島井女流二段▲5五角!(図)と放った。何だか、コロンブスの卵のような手があった。
ここ、私のような凡人は、▲7七角をなんとか▲5五角としたいと考える。だがそれは実現しづらいわけで、それならもう1枚の角で▲5五角を打てばよい、という考えだ。
堀女流2級やむを得ない△3三歩に、▲同歩成△同銀▲3四歩もニクイ。私ならすぐに▲8二角成と飛車を取って満足するところ。プロは貪欲なのだ。
▲3四歩以下は△3二歩▲3三歩成と銀得し、そこからゆうゆうと飛車を取った。これは大勢決すの感がある。
島井女流二段は今日優勝すれば、1dayトーナメント10回目の優勝だという。「永世1day?」という冗談も聞かれるほどで、かくも島井女流二段の早指し戦は強い。
△2六歩には▲3八金寄。万が一のトン死の筋を消した。中座七段が「勝負の厳しさを教えましたね」と嘆息した。
以下、117手までで堀女流2級が投了した。
表彰式。島井女流二段にトロフィーと副賞が贈られた。
この後は、お楽しみ抽選コーナーである。今年は大人詰将棋が休止になったうえ、優勝者予想クイズも手数クイズも外してしまった。なお手数クイズは、近似値でLPSAファン氏が賞品を獲得した。さすがLPSAファン氏、いい読みだった。
残すはアンケート回答投稿者の抽選である。
早くも何人か呼ばれ、今年は諦めたその瞬間、私の名前が呼ばれた。何かしらを持って帰る。私の妙な勝負強さが、今回も発揮された。
島井女流二段挨拶。
「この棋戦は相性がよかったです。グリーンプラザも今月で閉館とのことで、今日は朝から雪が降っていたり、忘れられない1日になりました」
中倉彰子女流二段によると、来年は3月17日(日)、「府中芸術の森」で行われるとのこと。今から来年のことを考えると恐ろしいが、また元気にお邪魔できればうれしい。