一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第37期竜王戦第6局(前編)

2024-12-12 02:16:02 | 男性棋戦
11日、12日は第37期竜王戦第6局である(主催:読売新聞社、日本将棋連盟)。ここまで藤井聡太竜王3勝、佐々木勇気八段2勝。七番勝負終盤の大一番だ。
対局場は鹿児島県「指宿白水館」。2017年、羽生善治九段が永世七冠を達成した宿で、いまや「陣屋」に並ぶ、タイトル戦温泉宿の聖地といってよい。
ちなみに佐々木八段は指宿市の観光大使に任命されたそうだが、私も指宿市は何度も旅行記に書き、好きな観光地のひとつである。ただ、私の認知度がまったくないので、指宿市からは何のアクションもない。
さて11日はバイトがあったので、休み時間の合間にABEMAを見た。こうして中継をしてくれるABEMAには、改めて御礼を申し上げたい。
将棋は佐々木八段の先手。第2局、第4局の先手番はいずれも完勝だったので、カド番とはいえ、佐々木八段は自信を持って本局に臨んだと思う。
私が初めて本局を見たのは、10時50分ごろだったか。なんと、盤上で馬と飛が取りになっていた。開始3時間足らずで、なんでこんな局面になっているのか。
そこで、読売オンラインで記譜を確認してみると、相掛かりで始まった本局、藤井竜王が18手目に右金を玉の上に上げたのが、私的には奇異だった。
現在の将棋界では、「△6二金―△8一飛」の形が大流行で、相居飛車戦においては、すべての戦型で通用する。藤井竜王も好きな形のはずだが、それを序盤で放棄したことにビックリしたのだ。
しかも先に仕掛けたのは藤井竜王のほうだった。どうも定跡っぽいらしいのだが、こんな手が定跡になっているのか。
そこからバタバタと手が進み、現在の局面になった。そこで藤井竜王は金で飛車を取った。佐々木八段も当然馬を取る。そしてこの形勢がほぼ互角だったことに驚いた。
いやいやいやいや、これは飛車を取った後手の金の形がひどすぎて、後手には肩入れできない。いまは互角でも、手が進むにつれて、この金のポンコツぶりが必ず露呈される。さすがのAIもそこまでは読めないのだ。この将棋は佐々木八段が勝つと思った。
次に見た局面は、佐々木八段が中央に馬を作り、藤井竜王が長考に沈んでいるところだった。
やっと未知の局面に入ったか、という気もするが、イメージ的にはもう終盤戦である。だが後手が攻め合いで勝てそうな局面ではないから、受けに回るのだろうか。しかしここで守ったら、形勢に差が開くのではないだろうか。
結局2時間14分の大長考で指された手は、玉の懐を拡げる手だった。
指されてみれば当然の手だが、それをこれだけ考えるということは、その先の変化に成算が持てなかったということだ。考えれば考えるほど自身が悪くなるので、指すに指せなかったのではあるまいか。
佐々木八段、熟考で桂を打つ。ABEMAの形勢バーはこの時点で、「佐々木65:35藤井」だった。やはりそうであろう。1筋にあんな遊び金があって、後手がいい道理がない。
藤井竜王は「ガクッ」と首を垂れる。藤井竜王は、形勢がいいときも難しい顔をしているが、悪いときはそれがさらに顕著になり、明らかに態度に出る。今回の「ガクッ」は、非勢を認めたものである。これは佐々木八段、タイに持ち込んだか。
ところがここからしばらく経ち、スマホで確認すると、形勢バーが「佐々木44:56藤井」になっていたから驚いた。だってさっきの局面から何手も進んでないだろう。いったい、何があったのだ!?
(つづく)
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