桜の花模様の土人形といえば、相良人形とか花巻人形、堤人形をはじめ、全国各地の人形にみられるものなのですが、今戸でもこうした模様があったのですね。
最後の生粋の今戸人形師であった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年~昭和19年)のお作りになられた今戸焼の土人形の中にもちょこっと桜の花を描いたもの(例えば、裃雛やおかめの火入れなど)もありますし、浅草雛にも描かれていますが、画像のようにびっしりと描かれたものはあまり見たことがありません。
顔も丁寧に描かれていて、腕のある人が絵付けしたものではないかと思います。目のまわりにぼかしがしてあり、眉は薄墨で描かれています。表情に何とも仇っぽい色気を感じられませんか?手にした懐紙が金(真鍮粉)で塗られているのが不思議です。全く同じ型の人形でもっと獏連で妖艶な表情のものも存在します。
状態はよくないのですが、私にとっては、昔の今戸の形や色がわかるだけでも幸せです。
昔、ある郷土玩具のマニアの人の目の前で、割れて継ぎの入った人形を選んだことがあるのですが、「あんなものに手を出すのは、あの人くらいしかいない。」と陰口をされたことがありましたっけ。
いまどき様もお元気のご様子で安心いたしました。
このお人形何とも色っぽい立ち姿ですね。
張りと意気地の吉原…と往年の華やぎが浮かぶ様です。
マニアにはどうも勝手な事を言うタイプが多いですね笑。
愛好する者同士和気藹々となんて思っていたら…。
自分が好きな物を気ままに求めている方がよっぽど気楽だと思う様になりました。
貴重な資料をありがとうございました。
このお人形、全然関係ありませんけれど、「三千歳」とか春雨傘の「丁山」みたいな感じがしませんか?作った人がどれだけ意識して面描きしたかわかりませんけれど、衣紋坂まで山谷堀でつながっていたわけですし、近所の生活の中の実感のようなもが自ずと現れているような気がします。状態云々されると何も返す言葉がありませんが、人それぞれ好き好きですよね。