かねてよりこちらのHPや当ブログ上で不備だと思っていましたが、丸〆猫(まるしめのねこ)の現在までのレパートリーを一括してご紹介できている画像がなく、「丸〆猫が欲しいのですが、、」というメールやお手紙でのお問い合わせに対して「丸〆猫はいろいろありますが、どれをご希望でしょうか?」というご確認をいただくまでに大変ご不便をおかけしておりました。作ってもすぐ発送してしまったりで、手元に画像を揃えていませんでしたので、今回やっとのことで現在までの「丸〆猫」(まるしめのねこ)の名前と観た様子をご紹介させていただきます。これらの種類全て、かつて戦前以前に作られていた風に再現しているつもりです。
まずは正面からの画像で合計8種類あります。向って左から右への順、後列から前列の順でご紹介いたします。
①丸〆猫(昭和戦前風型・朱色) 戦前からの郷土玩具関係の文献上で最も紹介されているパターンだと思います。「うなゐの友」に描かれている図にも 似ています。 高さ 約10.5㎝。
②丸〆猫(昭和戦前風型・緑) 調布市立博物館所蔵「故・加藤文成 氏コレクション」の配色を再現してみたもの。最後の生粋の今戸人形の作者であった 尾張屋・金沢春吉翁(明治元年~昭和19年)の作ではないかと思っています。眼の描き方に春吉翁の作に共通するものが見られるからです。耳を桃色で塗ってあるのが特徴的です。 高さ 約10.5㎝。
③丸〆猫(昭和戦前風型・青) 我が家にあるものを手本に塗りました。 作っている本人が言うのも変ですが、昭和戦前風型の中でこれまでのところ、このパターンを希望される方が最も多いのが意外に感じています。画像の猫の目の描き方にについて申し上げておきたいのは、画像のは折衷式の眼でして、我が家にある実物の眼は上瞼のない、ポツンとした瞳で、②の眼をこちらの折衷したものです。また、背面の丸〆の部分は実際には群青で描かれているものを赤に置き換えてあります。 高さ 約10.5㎝。
以上①から③は形は同じで異なった彩色パターンを再現しました。
④丸〆猫(嘉永安政風) 都内の近世遺跡から出土した色のとれた素焼きの丸〆猫のモデリングを手本に再現したもので配色は江戸後期作と思われる伝世品の今戸の「座猫」の彩色パターンをもとに塗っています。よだれかけ縁の黄色は植物の煮出し汁のひとつ「きはだ」(黄柏)を煮出した汁を重ね塗りして発色させています。 よだれかけを「紫土べんがら」で塗るパターンもやっています。高さ 約10.4㎝。
⑤本丸〆猫 やはり都内の近世遺跡から出土した色のとれた遺物の背面の片割れを手本にモデリングしてあります。配色に関しては木版画に描かれている配色を手本に塗り分けを参考にしています。背面に「本丸〆」の陽刻があり、嘉永5年以降浅草寺境内三社権現鳥居前にて鬻がれ大流行した中で、複数販売者が本家争いの様相を示していた名残だと思います。 グレープカルピスの包装紙みたいなよだれかけの縁は④同様、植物の煮出しのひとつ「きはだ」(黄柏)の煮出し汁を重ね塗りして発色させています。 高さ 約10㎝。
前列左より
⑥丸〆小判猫 今戸人形最後の生粋の人形師であった 尾張屋・金沢春吉翁による作をお手本として再現しました。 高さ 約5.5㎝。
⑦丸〆猫(小・臥) 今戸人形最後の生粋の人形師であった 尾張屋・金沢春吉翁による作をお手本として再現しました。 高さ 約3.5㎝。
⑧丸〆猫(小・座) 今戸人形最後の生粋の人形師であった 尾張屋・金沢春吉翁による作をお手本として再現しました。 高さ 約4.4㎝。
※⑦と⑧については本来2体で対であったと記されています。また配色は幾通りかのパターンを確認していますが、おおまかによだれかけが緑のものと「紫土べんがら」風のものとに塗っています。
以上これまで手がけているところの丸〆猫の紹介でした。
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ありがとうございます。一番最初に昭和戦前風の型を起こしたのは30代はじめだったのでもう20年以上になると思います、その後修正を施したりで3回くらい抜き出していますから自然最初のバージョンよりも小さめになっています。③と④残りあれば連絡しますね。
コメントありがとうございます。忙しくしていたので遅くなりましてすみません。仰るとおり以前はあちらのお店にお納めしていた時期がありましたが、他の方が拙作のを写してお作りになっているようなので、以降はお納めしていません。ほぼ全体的に拙作のをコピーされていますが、一点、招く右手を高くデフォルメされているのはご主人のお好みだと思います。私も以前ご主人から「手を高く招くのが江戸前だからそうして欲しい」と仰せつかったことはあるのですが、これまでの見聞で必要以上に高く手を招いた姿の伝世品や出土の招き猫を観たことがないので確認できないことはできないので昭和戦前型の丸〆猫は伝世品のお手本のとおり招く高さは耳の高さのままにしています。今戸ではないよその地方の招き猫を今戸風に作ってほしいとも仰せつかったこともあるのですが、今戸っぽくないことをするのには抵抗があってやっていませんでした。