JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

山田風太郎 「くノ一忍法帖」

2006-10-18 | BOOK
山田風太郎のミステリにハマっていたけど、忍法帖はまだほとんど手を付けていない。「魔界転生」をずいぶん昔に読んだっきり。
忍法帖の中でもやっぱり「くノ一」は必ず読まねばと思いつつ放置しているうちに先月「異形、妄執の人々」で先に映画「くノ一忍法」を観てしまった。

遅ればせながら読みました。噂通りあの映画はかなり原作に忠実だったのですね。
数あるくノ一物の中での正統派くノ一映画というわけですね。

映画同様、最初の忍法場面、薄墨友康の「忍法くノ一化粧」場面はぞくぞくしますなぁ。

後半、少し映画と違う場面が出てきて、ここが読み応え充分。

くノ一と伊賀忍者の勝抜き戦に長曾我部宮内少輔盛親の後家、巨漢の怪物女乞食、丸橋が登場することで俄然盛り上がる。

丸橋と七斗捨兵衛・鼓隼人との大活劇は今なら映像にすれば大迫力の絵になるでしょうね。残念ながら当時の「くノ一忍法」のセット、美術を見ると難しかったのかもしれない。

非常に性的な忍法合戦は、ありえない、超虚構なのだけれど、山田風太郎が解釈を加えていく。

例えば七斗捨兵衛の「肉鞘」では
「普通の人間の精液のうち固形成分は10%足らずだが、彼の精液には凄まじい膠着力を持つ粘素がきわめて大量にふくまれているとみえる。」オイオイ。

この解釈によって単なる願望のような忍法が裏付けられてリアル感を・・・持たないか。

千姫を守り弁慶の立ち往生状態で胎児を産み落とした丸橋。
「姫様、その子を・・・必ず若君(くノ一が産んだ秀頼の子)のよい家来に・・・」

物語のその後、2人のあかん坊の事は分らないとしながら、ふっと「慶安の変」の首謀者、由比正雪と丸橋忠弥の名を記す・・・
やっぱり山田風太郎は天才だあー!と喝采せずにはいられません。

ミステリもそうだが、なんて最後の一文が上手いんでしょう。しかも決してあざとくなく。

山田風太郎の忍法帖を読むうえで「くノ一」は必ずはずせない。大藪春彦のハードボイルド「非情の女豹」の如し。
・・・また、訳のわかんない事買いてら・・・

人気blogランキングへ 観てから読んでも充分面白い!





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