JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

グレアム・グリーン 「第三の男」

2006-10-23 | BOOK
「第三の男」といえばあまりにも有名な映画だけれど、私は観ていません。また、その内容のかけらも知りません。
それでも、あの、軽妙なテーマ音楽は良く知っています。近所のスーパーでも頻繁にBGMとして使われていますし。音楽だけは良く知ってますよと言う人は私だけではないでしょう。それほどまでにも有名な曲ですよね。
音楽の良い事は好きな映画のかなり重要な要素。一度「第三の男」は観たいと思っておりました。

グレアム・グリーンは純文学からスパイ小説、エンターテイメントと扱う作家で私も若い頃、ハヤカワ書房の「グレアム・グリーン全集」にチャレンジしようとした事があります。ハードカバーの全集に手を出そうなんて、珍しい事。案の定1冊買っただけで中断してしまう相変わらずのテイタラク。

今はそのグレアム・グリーンの作品がかなりハヤカワepi文庫として手に入れる事ができる。
このシリーズはボリス・ヴィアン、アゴタ・クリストフ、カート・ヴォネガット・ジュニアなど魅力的な作家がラインアップされていて嬉しい。

「第三の男」は読んでもらうためににではなく、見てもらうために書いたもの。
通常のように原作があって映画化されたのではなく、最初に映画の企画があって映画化を前提に書かれたものだそうだ。グリーンの場合はいきなり脚本を書く事は不可能、やはり詳細の設定、描写を書き込む小説を作らなければならないという。素人から見るとなるほどと思いますね。いきなり脚本という場合の脚本家の一般的な創作プロセスっていうのも興味ありです。

そのような過程で書かれたにも関わらず、映画と小説ではいくつかの違う点があるそうだ。キャロル・リードとの合意のうえで変更がなされたという。序文でグリーンがキャロル・リードに対して脱帽しているところが面白い。

第2次世界大戦終結直後、戦争に敗れ荒廃した維納(ウィーン)が舞台。
キャロウェイ大佐(警察官)の視点で語られるが、主人公は作家ロロ・マーティンズ。
プラター公園の大観覧車でのマーティンズとハリー・ライムの駆け引き。ハリーが逃亡する地下水道。未見の映画をいやが上にも想像してしまいます。

観覧車という風景を使うのはとても好きなパターン。どうしても筒井康隆の「点景論」を思い出して苦笑しちゃうけど・・・最近では辺見庸が観覧車に拘ってルポしているのが興味深かった。

早く映画の方も観たい。

読んでから見るか、見てから読むか・・・
通常通り前者を選んだ私ですが、小説の成立状況からみて、今回は見てから読む方が良かったのか?・・・それは映画を見てからのお楽しみ・・・ですね。
なんと、「第三の男」ワンコインでDVDが買えるのだ。嬉しいような・・・複雑な気持ち・・・早速書店で購入する事にしましょう。

人気blogランキングへ epi文庫活字が大きい(大きすぎない)のもGood!



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