スケジュールの都合であきらめていたが、ポッカリ開いた。一度あきらめていた物だし、昔テレビで見たことのある2作品なので、止しておこうと思うものの・・・
やはり60年代の岸田今日子という誘惑に負けてしまった。
「卍」1964年 大映
思った通り岸田今日子の映画でしょう。悪魔のような妖女、若尾文子(光子)よりもその光子に翻弄される、ねぇちゃん園子の魅力全開。感情の起伏激しい関西弁も良いです。
谷崎潤一郎は大阪人の女の声の美しさを東京人との比較で東京はマンドリン、大正琴、大阪はギタアと例え女としてみると大阪人の方が色気があって魅惑的だという持論をもっていたそうだ。映画では各キャストの関西弁が見事にその魅力的効果を発しているのではないか。
また、園子の独白による作品を映画という表現で再現させ見せてくれたわけだ。
岸田今日子と夫船越英二との口喧嘩場面がまた良い。
レズビアンから夫や婚約者綿貫(川津祐介)を巻き込む怪しげな愛の形。
助演ではこれも関西弁で調子の良い川津祐介が際立っています。
無言の三津田健の谷崎先生が不気味です。
綿貫を退けてからの急展開は谷崎ー増村ならではの恐ろしさですね。
原作に忠実だったのではないでしょうか。再読したくなりました。
「刺青」1966年 大映
テレビで見たと思うのだが、記憶がほとんど無い。
こんなに面白い映画だっただろうか?
何度も映画化されている作品だが、それぞれ原作から切り離された解釈で映像化している。とても短い短編なのである解釈によって肉付けしない事には映画にならないという面もあり、監督、脚本家の腕の見せ所。
若尾文子演じる質屋のお嬢様お艶は、元々あばずれ娘。手代の新吉といい仲になっているが、お艶のほうからちょっかい出したに違いない。2人の会話はまるで「紙入れ」の年増奥様と間男の新さんのようだ。
権次の家の2階にやっかいになり愛欲の日々だ。
そんなお艶だから自分の背中に刺青を入れられた事を知っても動じません。刺青師清吉(山本学)に毒付いてみせる。
女郎蜘蛛に抱きしめられて、芸者染吉となったお艶は男達に復讐していくが、果たして蜘蛛のせいなのか。確かに新吉との愛は誠のようであり、刺青によって恐ろしい女の本性が現れたと言える。
肝が座らず、常にお艶に叱咤される新吉もどうしてどうして、いざとなると殺人マシーンになる。三太に命を狙われ返り討ちにする時など酩酊して反吐まで吐いていたのに。と言うより、これは仕損じた三太がドジ。
染吉、旗本芹沢(佐藤慶)を騙るのに失敗した時に、実に見事な啖呵を切りやがる。
一連の妖しい女の怖さを演じる若尾文子も今回ばかりの悪事ぶりは小気味良く、竹を割ったよう。婀娜な芸者っぷりはかっこいい。
「金が惜しいなら女に惚れるな」とまで言われて一度は手打ちにしようとしたものの再度百両持参して染吉に妾になれと迫る芹沢に染吉が惚れるのは類友で当然の成り行きか。
「おや、春だというのに雷様かい」
女郎蜘蛛の力で昔恋しかった新吉を刺した姿に雷光。映像美、カメラワークも楽しめます。
若尾文子の違った魅力。谷崎「刺青」とは違った魅力。脚本新藤兼人あっぱれ。
人気blogランキングへ 関西弁と江戸弁。対照的な魅力を感じさせてくれる2作品でした。
10月23日
やはり60年代の岸田今日子という誘惑に負けてしまった。
「卍」1964年 大映
思った通り岸田今日子の映画でしょう。悪魔のような妖女、若尾文子(光子)よりもその光子に翻弄される、ねぇちゃん園子の魅力全開。感情の起伏激しい関西弁も良いです。
谷崎潤一郎は大阪人の女の声の美しさを東京人との比較で東京はマンドリン、大正琴、大阪はギタアと例え女としてみると大阪人の方が色気があって魅惑的だという持論をもっていたそうだ。映画では各キャストの関西弁が見事にその魅力的効果を発しているのではないか。
また、園子の独白による作品を映画という表現で再現させ見せてくれたわけだ。
岸田今日子と夫船越英二との口喧嘩場面がまた良い。
レズビアンから夫や婚約者綿貫(川津祐介)を巻き込む怪しげな愛の形。
助演ではこれも関西弁で調子の良い川津祐介が際立っています。
無言の三津田健の谷崎先生が不気味です。
綿貫を退けてからの急展開は谷崎ー増村ならではの恐ろしさですね。
原作に忠実だったのではないでしょうか。再読したくなりました。
「刺青」1966年 大映
テレビで見たと思うのだが、記憶がほとんど無い。
こんなに面白い映画だっただろうか?
何度も映画化されている作品だが、それぞれ原作から切り離された解釈で映像化している。とても短い短編なのである解釈によって肉付けしない事には映画にならないという面もあり、監督、脚本家の腕の見せ所。
若尾文子演じる質屋のお嬢様お艶は、元々あばずれ娘。手代の新吉といい仲になっているが、お艶のほうからちょっかい出したに違いない。2人の会話はまるで「紙入れ」の年増奥様と間男の新さんのようだ。
権次の家の2階にやっかいになり愛欲の日々だ。
そんなお艶だから自分の背中に刺青を入れられた事を知っても動じません。刺青師清吉(山本学)に毒付いてみせる。
女郎蜘蛛に抱きしめられて、芸者染吉となったお艶は男達に復讐していくが、果たして蜘蛛のせいなのか。確かに新吉との愛は誠のようであり、刺青によって恐ろしい女の本性が現れたと言える。
肝が座らず、常にお艶に叱咤される新吉もどうしてどうして、いざとなると殺人マシーンになる。三太に命を狙われ返り討ちにする時など酩酊して反吐まで吐いていたのに。と言うより、これは仕損じた三太がドジ。
染吉、旗本芹沢(佐藤慶)を騙るのに失敗した時に、実に見事な啖呵を切りやがる。
一連の妖しい女の怖さを演じる若尾文子も今回ばかりの悪事ぶりは小気味良く、竹を割ったよう。婀娜な芸者っぷりはかっこいい。
「金が惜しいなら女に惚れるな」とまで言われて一度は手打ちにしようとしたものの再度百両持参して染吉に妾になれと迫る芹沢に染吉が惚れるのは類友で当然の成り行きか。
「おや、春だというのに雷様かい」
女郎蜘蛛の力で昔恋しかった新吉を刺した姿に雷光。映像美、カメラワークも楽しめます。
若尾文子の違った魅力。谷崎「刺青」とは違った魅力。脚本新藤兼人あっぱれ。
人気blogランキングへ 関西弁と江戸弁。対照的な魅力を感じさせてくれる2作品でした。
10月23日
岸田今日子さんにしてもそうですが、後年の姿(保毛尾田保毛男の母とか)しか知らないものですから、新鮮なショックがありました。
こんな強烈な監督を長い間知らずにきたのですが、今さらながら「日本映画すごい!すごい!」て感じです。
ただ、濃厚すぎて胃もたれする2本立てだったので、25日の『痴人の愛』は見送りました…
私も「痴人の愛」はテレビで見たことあるし、今回は見送りました。小沢昭一がいいんですけどねぇ。
今回、胃にもたれそうにない「最高殊勲夫人」「青空娘」といった喜劇が見たかったのだけどスケジュールが合いませんでした。
『卍』も『刺青』、どちらも大好きな作品ですね。
増村バージョンの『痴人の愛』も見てみたいですね・・。
見なくちゃいけない映画は増えるばかりです。ふぅ・・
増村「痴人の愛」今度、神保町でかかりますね。あそこはスケジュール的にキツいので思案中ですが・・・
見なくちゃいけない映画は増えるばかり・・・
同じくです。
増村「赤い天使」がお薦めですよ。とらねこさんなら大丈夫と思うけど・・・