先日、学内で開催されたダイバーシティ推進室フォーラム「ワーク・ライフ・バランスを実現するための『新たな働き方』とは?」に参加した。
いつかも書いたことがあるが、ワーク・ライフ・バランス(以下WLBという。)という言葉が今ほどポピュラーでなかった頃から、私にとってこのトピックはとても大きい。そのため、この冠がついている講演会の類にはついつい触手を動かされて、気付けばフラフラと参加してしまう。
“大学の女性研究者の研究活動支援には、WLBを実現するための柔軟な勤務制度の構築が求められます。そこでWLB経営の理念と業務改善の事例、家庭生活と先端科学技術研究・教育活動の両立をめざす他大学の取組みについて学びます。ぜひ多くの方にご参加いただき、本学にふさわしい勤務制度のありかたについて議論を深めたいと思います。”という案内。
が、いまさら言うまでもなく、WLBは決して女性のために限った問題ではなく、働く人全ての問題なのだ。
プログラムは、冒頭小一時間の講演「ワークライフバランス経営の理念と実際 ~職場における業務改善~」を、厚生労働省の政策評価に関する有識者会議委員である渥美由喜氏(東レ経営研究所 ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長)が、続いて30分間「ワークとライフの上手なつなげ方 ~奈良先端大の取組み~」を、奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授 井上美智子氏が話された後、後半の1時間はパネル・ディスカッション「本学の勤務環境改善に向けて」と称して、講演者2人に加え文系・理系の教授がパネリストを、ダイバーシティ推進室長がコーディネーターを務められた。
中でも前半・渥美氏の講演は圧巻。一時間弱でこの情報量は凄いと舌を巻いた。氏は奥様と共働きで6歳、3歳の育児中。2回育休を取得されている今を時めくイクメンである。さらに、実のお父様が認知症・統合失調症のため要介護、下の坊ちゃんが1歳半で脳腫瘍の大手術を経、現在も要介護という大変な毎日を送っておられる。
強調されたのは「WLBは余裕がある人がやればよい、というものではない。ライフ面ではリスクマネジメントの問題であり、ワーク面では生産性向上の切り札である」と。要は、ダラダラ残業をするのではなく、きちんと働いて定時迄で仕事を片付けられるように業務改善をする、ということだ。
だからこそ、企業、社員ともにメリットがあり(WIN-WIN)、価値観や取り組むか否かという選択の問題ではない。社会システムの転換に先んじて対応するか、後回しにするかという問題であり、選択の余地はない、と。そう、今後の人口減少社会は「総力戦」であり、労働者は非労働者の世話をしながら働かなければならない社会なのだ。
これも以前書いたけれど、良い仕事をするには良いプライベートバックグラウンドがなければならないと思う。ワークの土台がライフなのだ。このワークとライフの相乗効果はストレス相殺効果があるという部分に大きく頷いた。質の高い生活―健康に気を遣い、きちんと休養をとり、子育て・介護に参画し、自己啓発も趣味も楽しみ、家庭や地域に根差す生活―をしていれば、メリハリのある仕事は決して苦しいだけのものではなく生活の余裕につながるものだ。
WLBの本質は「帰宅時間が早い」や「休暇が多い」ではない。これらは結果であり、本質ではない。本質は「メンバーのやる気を出しつつ業務体制を見直すことによる個人とチームの生産性向上」であり、誰にでもどの年代でもかかわることなのだという。
一人息子を育てながら“育児は育自”だと何度思わされたかわからない。今回、“介護は介互”と教えて頂いた。そう、育児も介護もライフ面のチャレンジであり、働き方の見直しはワーク面のチャレンジなのだが、大抵は育児と介護に直面して慌てて働き方の見直しをすることになる。当然間に合わないし両方は出来ない。だからまずワーク面のチャレンジをしてからライフ面のチャレンジをする、という順序が望まれるわけだ。
最後にWLBは“幸せ”への道しるべ、と結ばれた。「幸せ」とは不幸が起きないことではない。不幸から逃げずに誰かに押し付けずに協力して乗り越えること。辛いという字に横一本引けば幸いになる。ワかちあい、ラくあり、くあり、バトンリレーがWLBの頭文字なのだ、と。
こんなにいいお話だったのに参加者が少なく、本当にもったいないことだった。何より講演者お二人とも持ち時間最大限使ってパンクチュアルに終わった。これぞWLBの真髄だろう、と思った。翻って日々何と長時間の会議が多いことか。今日からもっと意識的にWLB!である(ごまめの歯ぎしりかもしれないけれど・・・)。
今日は東京都心で30度を記録し、観測史上最も遅い真夏日になったという。実に98年ぶりの更新だそうだ。
本当に暑かった。お昼休み、日傘をさしながらちょっと学内を歩くだけで汗ばんだほど。今日は関東地方で一番暑かったのが私の住む市で31.5度だったというからさもありなん。この暑さは明日まで続くというが、日曜日以降はようやく秋らしい陽気だという。楽しみである。
いつかも書いたことがあるが、ワーク・ライフ・バランス(以下WLBという。)という言葉が今ほどポピュラーでなかった頃から、私にとってこのトピックはとても大きい。そのため、この冠がついている講演会の類にはついつい触手を動かされて、気付けばフラフラと参加してしまう。
“大学の女性研究者の研究活動支援には、WLBを実現するための柔軟な勤務制度の構築が求められます。そこでWLB経営の理念と業務改善の事例、家庭生活と先端科学技術研究・教育活動の両立をめざす他大学の取組みについて学びます。ぜひ多くの方にご参加いただき、本学にふさわしい勤務制度のありかたについて議論を深めたいと思います。”という案内。
が、いまさら言うまでもなく、WLBは決して女性のために限った問題ではなく、働く人全ての問題なのだ。
プログラムは、冒頭小一時間の講演「ワークライフバランス経営の理念と実際 ~職場における業務改善~」を、厚生労働省の政策評価に関する有識者会議委員である渥美由喜氏(東レ経営研究所 ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長)が、続いて30分間「ワークとライフの上手なつなげ方 ~奈良先端大の取組み~」を、奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授 井上美智子氏が話された後、後半の1時間はパネル・ディスカッション「本学の勤務環境改善に向けて」と称して、講演者2人に加え文系・理系の教授がパネリストを、ダイバーシティ推進室長がコーディネーターを務められた。
中でも前半・渥美氏の講演は圧巻。一時間弱でこの情報量は凄いと舌を巻いた。氏は奥様と共働きで6歳、3歳の育児中。2回育休を取得されている今を時めくイクメンである。さらに、実のお父様が認知症・統合失調症のため要介護、下の坊ちゃんが1歳半で脳腫瘍の大手術を経、現在も要介護という大変な毎日を送っておられる。
強調されたのは「WLBは余裕がある人がやればよい、というものではない。ライフ面ではリスクマネジメントの問題であり、ワーク面では生産性向上の切り札である」と。要は、ダラダラ残業をするのではなく、きちんと働いて定時迄で仕事を片付けられるように業務改善をする、ということだ。
だからこそ、企業、社員ともにメリットがあり(WIN-WIN)、価値観や取り組むか否かという選択の問題ではない。社会システムの転換に先んじて対応するか、後回しにするかという問題であり、選択の余地はない、と。そう、今後の人口減少社会は「総力戦」であり、労働者は非労働者の世話をしながら働かなければならない社会なのだ。
これも以前書いたけれど、良い仕事をするには良いプライベートバックグラウンドがなければならないと思う。ワークの土台がライフなのだ。このワークとライフの相乗効果はストレス相殺効果があるという部分に大きく頷いた。質の高い生活―健康に気を遣い、きちんと休養をとり、子育て・介護に参画し、自己啓発も趣味も楽しみ、家庭や地域に根差す生活―をしていれば、メリハリのある仕事は決して苦しいだけのものではなく生活の余裕につながるものだ。
WLBの本質は「帰宅時間が早い」や「休暇が多い」ではない。これらは結果であり、本質ではない。本質は「メンバーのやる気を出しつつ業務体制を見直すことによる個人とチームの生産性向上」であり、誰にでもどの年代でもかかわることなのだという。
一人息子を育てながら“育児は育自”だと何度思わされたかわからない。今回、“介護は介互”と教えて頂いた。そう、育児も介護もライフ面のチャレンジであり、働き方の見直しはワーク面のチャレンジなのだが、大抵は育児と介護に直面して慌てて働き方の見直しをすることになる。当然間に合わないし両方は出来ない。だからまずワーク面のチャレンジをしてからライフ面のチャレンジをする、という順序が望まれるわけだ。
最後にWLBは“幸せ”への道しるべ、と結ばれた。「幸せ」とは不幸が起きないことではない。不幸から逃げずに誰かに押し付けずに協力して乗り越えること。辛いという字に横一本引けば幸いになる。ワかちあい、ラくあり、くあり、バトンリレーがWLBの頭文字なのだ、と。
こんなにいいお話だったのに参加者が少なく、本当にもったいないことだった。何より講演者お二人とも持ち時間最大限使ってパンクチュアルに終わった。これぞWLBの真髄だろう、と思った。翻って日々何と長時間の会議が多いことか。今日からもっと意識的にWLB!である(ごまめの歯ぎしりかもしれないけれど・・・)。
今日は東京都心で30度を記録し、観測史上最も遅い真夏日になったという。実に98年ぶりの更新だそうだ。
本当に暑かった。お昼休み、日傘をさしながらちょっと学内を歩くだけで汗ばんだほど。今日は関東地方で一番暑かったのが私の住む市で31.5度だったというからさもありなん。この暑さは明日まで続くというが、日曜日以降はようやく秋らしい陽気だという。楽しみである。