公共の屋内は、すべて完全禁煙にしてしまえばいいんです。そうすれば、喫煙室を作れるかどうかなどという議論はなくなります。どうしてこんな簡単なことができないのでしょう、日本の政治家は。
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受動喫煙対策に賛否…消費者団体「罰則導入を」、飲食業界「一律規制反対」
2020年東京五輪・パラリンピックに向け、非喫煙者がたばこの煙を吸い込むことを防ぐため、公共の場での喫煙を制限する受動喫煙対策の議論が続いている。厚生労働省が示した医療機関の敷地内や飲食店の建物内を禁煙とする案には業界団体などから賛否両論が出ており、調整は難航が予想される。
■東京五輪へ
厚労省が10月にたたき台として示した案は、ホテルのロビーや飲食店、駅、空港ビルなどで、喫煙室設置は認めるものの、原則禁煙とすることが柱だ。鉄道や船舶も原則禁煙となる。
厚労省案に対する意見は二分している。
厚労省が業界団体などを対象に行った意見聴取では、消費者団体や看護師の団体から「努力義務ではなく、罰則導入が必要」と厳しい規制を望む声が上がる一方、「厳格な規制の一律適用に断固反対」「喫煙室を設置するスペースはない」などとして、飲食業界などからは強い反対論も出た。
政府が受動喫煙防止に本腰を入れ始めたのは、東京が20年の五輪・パラリンピックの開催地に決まったことが影響している。
国際オリンピック委員会(IOC)は10年に、世界保健機関(WHO)と「たばこのない五輪」を実現することで合意した。厚労省によると、10年のバンクーバー大会以降の開催地では、学校や官公庁、飲食店などで屋内完全禁煙を義務化した。厚労省案は、近年の五輪開催地の受動喫煙防止策を調査した上で、屋内を全面禁煙とする最も規制が厳しい英国と、屋内に喫煙室設置を認めるなど、最も規制が緩やかな韓国の混合型としたものだ。
■世界最低レベル
受動喫煙防止への日本の対応について、WHOは14年末の時点で「世界最低レベル」と酷評している。03年に施行された健康増進法は学校や病院などに対し、受動喫煙防止策を講じるよう求めているが、努力義務にとどまり、違反者への罰則はない。また、従業員の受動喫煙を防止するため、喫煙室設置費用などの一部を助成する中小企業向けの制度はあるが、利用客向けの支援制度はない。
厚労省の国民健康・栄養調査によると、喫煙率は低下傾向が続く。05年は男性が39・3%、女性が11・3%だったが、15年には男性が30・1%、女性が7・9%だった。それでも、15年の調査で、1か月以内に飲食店で受動喫煙を経験した非喫煙者は41・4%に上る。
政府がこれまで受動喫煙防止の対策強化に二の足を踏んできたのは、「たばこは財源」と位置づける考え方や、葉タバコ農家が自民党の支持基盤ということがある。国会では超党派の議員連盟が規制強化のための新法制定に取り組んだが、罰則の有無などについて折り合いがつかず、法案提出を断念した。
厚労省は「(煙を吸わない権利を認める)スモークフリー社会に向け、歴史的な第一歩を踏み出さないといけない」(塩崎厚労相)として、聴取結果を踏まえた案をまとめ、与党の了承を得た上で、来年の通常国会に法案を提出する考えだ。ただ、自民党内には客離れを懸念する業界に理解を示す議員もおり、罰則や監督権限などを巡る議論の落としどころは見通せていない。
■肺がん・脳卒中の「原因」…周囲への悪影響、より明確に
たばこが、吸う本人だけでなく、周囲の人の健康にも悪影響を与えることが、研究で明確になってきた。
厚生労働省の有識者検討会は今年夏、喫煙と健康に関する国内外の約1600本の論文を分析し、周囲の人が煙を吸うなどの受動喫煙が、肺がんや脳卒中、心筋梗塞など7種類の病気、症状の要因となるのは「確実」と結論づけた。妊婦の喫煙や赤ちゃんの受動喫煙と乳幼児突然死症候群との関連も含まれる。さらに、妊婦の受動喫煙と胎児の発育の遅れなども「関連の恐れがある」と指摘された。
喫煙者本人の場合、22種類の病気、症状で関連が確実とされた。
たばこの煙には、遺伝子を変異させたり、炎症を起こして血管を傷つけたりする作用があり、がんや脳、心臓の病気につながると考えられる。
また、厚労省の研究班は、受動喫煙により国内で年間1万5000人超が肺がんや脳卒中などで死亡していると推計している。
一方、米国や英国、ニュージーランドなどでレストランや居酒屋、職場が全面禁煙となった結果、住民全体の入院リスクが規制前と比べ、ぜんそくなど呼吸器の病気で24%、脳卒中などで19%、心筋梗塞などで15%下がったと米カリフォルニア大学が分析している。
産業医科大学の大和浩教授(健康開発科学)は「たばこは、周囲の人の体を傷つける。マナーの問題だけでは済まされない。レストランや居酒屋の利用客、従業員を守るために法規制が必要だ」と訴える。
厚労省は、タバコの葉を電気で温めて蒸気を吸う「加熱たばこ」も規制対象にするか検討している。口から吐き出される蒸気は、紙巻きのたばこの煙と同じように周囲数メートルに届く。ただ、これまで研究は少なく、厚労省は調査を進めている。
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すべての飲食店が、喫煙室を設けられずに、完全禁煙化すれば、あそこには喫煙室があるからそこへ行こうという差別化がなくなるわけで、厚労省の喫煙室を許すという発想が、議論を混迷化しているのです。
有無も言わさず、イギリス方式で、全面禁煙化。どうぞ、それでよろしくお願いします。
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