政治家を表す英語にはpoliticianとstatesmanの二つの言葉があります。違いをご存知でしょうか。
小学館『プログレッシブ英和中辞典』第2版によれば、前者は「私利・党利を目的とする『政治屋』を意味することが多い」として、訳語に「(政党)政治家、政治屋、策士」を充てます。それに対して、後者には「よい意味で用いる」と注をつけた上で「政治家」という訳語だけを載せています。偉そうな言い方ですが、実に的確な説明だと納得するしかないゴウ先生です。
(英和中辞典では、小学館『プログレッシブ英和中辞典』を最高のものだと判断し、INDECでは推薦辞書にしています。その実力は、いまでは第4版まで版を伸ばしていることでうかがい知られることでしょう。しかも各版ごとにそれぞれの特長をもっており、ゴウ先生は全部の版を保有しています。その中でも、ゴウ先生は第2版を最上のものだと考え、いまでも一番利用しています。文法説明も懇切丁寧ですし、訳語説明も上記のようにしっかりしています。断然おすすめです。古本屋で見たら、買いだと思ってください、絶対に。)
この解説を踏まえて、ゴウ先生は、politicianを「政治屋」、statesmanを「国士」(『大辞林 第二版』では「身命をなげうって、国事を憂え奔走する人物」)と訳しております。
そうなると、いまの政治家はどちらだと問いたくなるのが人情というものです。そんな時にめぐりあうと色々な意味で触発を受ける本が今回の推薦図書です。
著者は、松下幸之助が私財を投じて作った松下政経塾の始まりから今日に至るまでの道のりを、外部者として客観的にクールに語ります。その意味では、『週刊新潮』的独断的偏見から微妙に離れた、実に真っ当なルポルタージュです。
皮肉なことに、著者の見方が塾に対して故意に意地悪なものではないだけに、この本のページを素直にめくっていくと、崇高な塾の創立目的を謳いあげた幸之助が果たして「政治屋」を作りたかったのか「国士」を作りたかったのか、分からなくなってくるのです。根底にある著者の「政治家は本当に育てられるのか」という疑問がそこかしこに垣間見られるからでしょう。
そして、現在の政経塾の胡散臭い遺伝子は、ひょっとすると幸之助のDNAによるものではないかと思うようになってしまうのです。(すべての塾生・塾卒業生が胡散臭いと言っているわけではないので、お間違いなく。)
アメリカでもケネディスクールを初めとした政治家育成機関はありますが、民間企業の紐付きのものはありません。政経塾が「松下」という冠をかぶっている限り、どうしても政治屋育成機関にならざるを得ないのではないかと思わされるのも、あながちうがった見方と非難されることはないのかもしれません。
その上で、生々しい権力闘争も『週刊新潮』的に提示してある部分も散見します。たとえば、第四章の中の「中田宏の“出世街道”とは」。中田宏現横浜市長の恩知らずな「政治屋」根性を赤裸々に暴露した箇所です。傍から見ていると、この論調で全編統一されていたらもっと面白い本になったのにと思いますが、そうもいかないのでしょう。
ともあれ、メディア・リテラシーを高めて、マスコミの発言に用心せよと訴え続けるゴウ先生ではありますが、こうした政治権力者に対抗する正確なルポルタージュを書くジャーナリストには一目もニ目も置きます。
ゴウ先生ランキング:B+
政治屋と国士を見分けるために、皮肉な話ですが、まずはどのように政治屋が生まれてきたかをこの本で学んでください。
(この記事を書くために、松下政経塾のホームページを閲覧しましたが、ゴウ先生、現理事長に関する文章を読んで新興宗教のホームページかと思いました。)
小学館『プログレッシブ英和中辞典』第2版によれば、前者は「私利・党利を目的とする『政治屋』を意味することが多い」として、訳語に「(政党)政治家、政治屋、策士」を充てます。それに対して、後者には「よい意味で用いる」と注をつけた上で「政治家」という訳語だけを載せています。偉そうな言い方ですが、実に的確な説明だと納得するしかないゴウ先生です。
(英和中辞典では、小学館『プログレッシブ英和中辞典』を最高のものだと判断し、INDECでは推薦辞書にしています。その実力は、いまでは第4版まで版を伸ばしていることでうかがい知られることでしょう。しかも各版ごとにそれぞれの特長をもっており、ゴウ先生は全部の版を保有しています。その中でも、ゴウ先生は第2版を最上のものだと考え、いまでも一番利用しています。文法説明も懇切丁寧ですし、訳語説明も上記のようにしっかりしています。断然おすすめです。古本屋で見たら、買いだと思ってください、絶対に。)
この解説を踏まえて、ゴウ先生は、politicianを「政治屋」、statesmanを「国士」(『大辞林 第二版』では「身命をなげうって、国事を憂え奔走する人物」)と訳しております。
そうなると、いまの政治家はどちらだと問いたくなるのが人情というものです。そんな時にめぐりあうと色々な意味で触発を受ける本が今回の推薦図書です。
松下政経塾とは何か新潮社このアイテムの詳細を見る |
著者は、松下幸之助が私財を投じて作った松下政経塾の始まりから今日に至るまでの道のりを、外部者として客観的にクールに語ります。その意味では、『週刊新潮』的独断的偏見から微妙に離れた、実に真っ当なルポルタージュです。
皮肉なことに、著者の見方が塾に対して故意に意地悪なものではないだけに、この本のページを素直にめくっていくと、崇高な塾の創立目的を謳いあげた幸之助が果たして「政治屋」を作りたかったのか「国士」を作りたかったのか、分からなくなってくるのです。根底にある著者の「政治家は本当に育てられるのか」という疑問がそこかしこに垣間見られるからでしょう。
そして、現在の政経塾の胡散臭い遺伝子は、ひょっとすると幸之助のDNAによるものではないかと思うようになってしまうのです。(すべての塾生・塾卒業生が胡散臭いと言っているわけではないので、お間違いなく。)
アメリカでもケネディスクールを初めとした政治家育成機関はありますが、民間企業の紐付きのものはありません。政経塾が「松下」という冠をかぶっている限り、どうしても政治屋育成機関にならざるを得ないのではないかと思わされるのも、あながちうがった見方と非難されることはないのかもしれません。
その上で、生々しい権力闘争も『週刊新潮』的に提示してある部分も散見します。たとえば、第四章の中の「中田宏の“出世街道”とは」。中田宏現横浜市長の恩知らずな「政治屋」根性を赤裸々に暴露した箇所です。傍から見ていると、この論調で全編統一されていたらもっと面白い本になったのにと思いますが、そうもいかないのでしょう。
ともあれ、メディア・リテラシーを高めて、マスコミの発言に用心せよと訴え続けるゴウ先生ではありますが、こうした政治権力者に対抗する正確なルポルタージュを書くジャーナリストには一目もニ目も置きます。
ゴウ先生ランキング:B+
政治屋と国士を見分けるために、皮肉な話ですが、まずはどのように政治屋が生まれてきたかをこの本で学んでください。
(この記事を書くために、松下政経塾のホームページを閲覧しましたが、ゴウ先生、現理事長に関する文章を読んで新興宗教のホームページかと思いました。)
なるほどと思ってしまいます。
政治屋がどのように生まれてきたかを勉強します。