【シドニー時事】オーストラリアが「禁煙国家」を目指し、スモーカーへの包囲網を狭めているたばこの箱に大きな警告表示を義務付けるプレーン・パッケージ(PP)規制を世界に先駆けて導入し、販売価格を強硬に値上げ。喫煙率低下につながった半面、たばこ密輸入の横行など弊害も出ている。

 豪政府は2012年、デザインを統一し、商標やロゴマークの使用を認めないPP規制を実施。喫煙意欲を損なわせるため、箱には喫煙で病気になった患者らの痛々しい写真が表示されている。

 抑止策のもう一つの柱が価格引き上げだ。25本入り1箱が平均25豪ドル(約2200円)と世界最高水準。段階的な税率引き上げで、20年には40豪ドル(約3500円)に達する。ターンブル首相は「税収増に加え、国民を喫煙から遠ざけるのが狙いだ」と力説。世論調査でも国民の7割がたばこ増税を支持した。

 公共スペースでの喫煙はもちろん禁止。一連の禁煙キャンペーンの効果か、1995年に25%だった喫煙率は13%前後まで下がった。

 しかし、たばこ増税は喫煙者が多い低所得層を直撃するため、「不公平な弱者いじめ」との指摘がある。また、深刻化するのが内外価格差を使って荒稼ぎする密輸業者の増加だ。豪国境警備隊は今月、たばこ密輸の疑いで中国人ら男4人を逮捕したと発表。押収量は4.5トンに達した。有罪なら最長で禁錮10年が科せられる。

 最大都市シドニーの路地裏でも、たばこ密売店が簡単に見つかる。ネット上でも入手は容易。正規品は手が出ず、割安な密売品を購入する若者は多いようだ。

 国境警備隊関係者は「犯罪組織にとってたばこの密輸や密売は魅力的。その稼ぎを別の犯罪の活動に充てている」と指摘。たばこ密輸取り締まりが国境警備上の優先課題になっている。 

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この記事を書いた時事通信の記者は、きっとスモーカーなのでしょう。あたかも、タバコの値上げのせいで密輸が増えて、オーストラリアの犯罪が増えているかのような印象を与える記事を書いています。

しかし、25%だった喫煙率がそのほぼ半分の13%になっている以上、密輸業者のメリットもそれほどでもなく、治安も悪化していないはずです。

それよりも、喫煙がもたらす健康被害が減って、医療費が大幅に削減されているでしょうから、豪政府としては現在の禁煙政策を変更しないと思われます。時事は、もう少しバランスの取れた記事を時事は書くべきです。

ともあれ、どうしてオーストラリアにできることが、日本でできないのか。まったくもって、不可思議としかいいようがありません。タバコ権益に群がる自民党内の禁煙政策抵抗勢力を潰すリーダーがいないことが原因です。

タバコを吸わないはずの安倍首相のリーダーシップ不足を嘆き、ターンブル首相をこの点では大いに評価します。