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実はスギと違う?「ヒノキ花粉症」への漢方的対処 202204

2022-04-17 22:51:00 | 健康関連

実はスギと違う?「ヒノキ花粉症」への漢方的対処
 東洋経済 onlain より 220417平地 治美:薬剤師,鍼灸師。和光鍼灸治療院•漢方薬局代表


 強烈な目のかゆみ。それ、もしかしたらヒノキ花粉症かも?
花粉症といえば、多くの人はスギ花粉を思い浮かべるかと思います。しかし、今からゴールデンウィークぐらいにかけては、ヒノキ花粉による花粉症の患者さんが増えてきます。

 スギ花粉が2~4月ぐらいに飛散するのに対し、ヒノキ花粉はそこから約1カ月程度遅れて3月末~5月のゴールデンウィーク過ぎぐらいまで飛散します。ですから、今の時期に症状が出ている方の場合は、ヒノキ花粉症を患っている可能性が高いです。

 ちなみに、スギ花粉症の方はヒノキ花粉にも反応する"交差反応性"を示すことも少なくありません。実際、スギ花粉症患者さんの70%がヒノキ花粉でも症状が表れるといいます。

⚫︎ヒノキ花粉症で表れやすい症状とは?
 どちらの花粉症でも症状の表れ方には個人差があるため、症状だけでスギ花粉症かヒノキ花粉症かを見分けることはそう簡単ではありません。それでも、スギとヒノキでは花粉の構造が違うことから、症状が異なる部分もあります。

 例えば、スギ花粉症は「鼻の症状」が、ヒノキ花粉症は「目やのど、粘膜の炎症症状」が強く出やすいようです。特にヒノキ花粉症は、少量の花粉でも強い咽頭症状が生じるように思います。鼻から入り込んで喉に到達することでのどのかゆみや痛みを覚えたり、咳が出たりします。

 花粉症は現代病の1つなので、1000年以上の歴史がある漢方の古典には花粉症という病名の記載はありません。ただ、病名の記載はなくても、花粉症と思われる症状は古典にも多く載っています。例えば、以下のようなものです。
・鼻鼽(びきゅう) くしゃみ、鼻づまりを伴い、鼻水が出る
・鼻淵(びえん) 水のような鼻水が滝のようにあふれ出る
・膿漏(のうろう) 黄色いドロドロした鼻水が出る

 ここに目のかゆみや皮膚の症状も入れると、花粉症の症状に当てはまる表現はもっと多く、それを私たちのように漢方を学んでいる人は、花粉症の治療に応用しているというわけです。

 花粉症は花粉という異物を追い出すために、体に過剰な防衛反応が起こっている状態ですが、漢方の医学理論について書かれている医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』には、「春の病気の原因は冬に作られる」とあります。花粉症はまさにその代表例といえます。

 この「花粉症は冬に作られる」とはどういうことでしょうか。それを解くカギになるのが、漢方治療の治療方針です。

 花粉症に限らず、漢方治療には大きく2つの治療方針があります。1つは今まさに出ている症状を抑える「標治(ひょうち)」で、西洋医学の対症療法に近い考え方になります。そしてもう1つは、症状が出やすい体質を改善して病気になりにくい体を作る「本治(ほんち)」です。こちらはまさに漢方の得意とするところでしょう。

 花粉症の場合でみると、鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどを治すのが標治、アレルギー体質を改善して花粉症そのものを軽くしていくのが本治になります。

 理想をいえば、花粉症の症状が表れる数カ月前から本治で体調を整えて、症状の出にくい体づくりをし、いざシーズンになったら標治で症状を抑えていきたいところですが、今はすでに花粉症シーズン真っ只中で本治のフェーズではないため、標治を中心に行うことになります。

 では、その標治ではどんな治療をするのでしょう。

 漢方では花粉症の症状である鼻水やくしゃみ、皮膚や目のかゆみは、すべて五臓六腑の1つ「肺」に属する病によって起こると捉えます。肺は胃腸との働きと深い関係があるので、症状の原因が冷えによるものであれば温め、熱であれば冷やす治療を用います。例外はありますが、傾向としてスギ花粉は「冷」、ヒノキ花粉は「熱」による症状が多いようです。

 ヒノキ花粉症で多い「熱がこもっているタイプ」の代表的な症状は次の通りで、炎症症状が強く出るのが特徴です。

<熱による症状>
・熱感やほてり、炎症症状が強い
・黄色く濃い痰や鼻水、目やにが出る
・温めると悪化する
・のど、目のかゆみ、耳のかゆみが強い
・のどの奥がイガイガする

 これを見ると、目のかゆみや皮膚の乾燥とかゆみ、喉などの粘膜の炎症が目立ちます。

 話は逸れますが、過去にみた患者さんに尿道の粘膜に花粉症の症状が出て、膀胱炎を起こしていた方がいました。この方は膀胱炎の薬を飲んでも一向に治らなかったのですが、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)という花粉症に効く漢方薬が功を奏し、膀胱炎が治ったのです。

 この方は例外ですが、一般的に熱がこもっているタイプにはこもった熱を冷ます漢方薬を使います。例えば、目のかゆみやむくみには越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)がよく、余分な水分と熱を取ることで目のかゆみをはじめとする炎症症状の改善が期待できます。

⚫︎トウガラシやニンニクなどは控えめに
 養生では、熱による炎症を悪化させる香辛料(トウガラシやニンニクなど)の摂りすぎには気をつけましょう。揚げものや肉、甘いものや味が濃いものも控えたほうがよいです。飲酒も体に熱をこもらせるので控えめに。反対におすすめしたいのは、さっぱりした味付けのもの、春の魚などを中心にした献立です。

 睡眠不足や過労も、熱による炎症症状を悪化させるので注意しましょう。睡眠をしっかりとり、疲れをとるために、ミントのハーブティやアロマオイルを入浴剤として使うのもすすめられます。

⚫︎本治でも標治でも使える点鼻薬の作り方を紹介します。

・点鼻薬の作り方
(材料)
太白ごま油(スーパーなどで売っている透明で無臭のもの) 100ml
ターメリック(ウコン) 小さじ1
(作り方)
①ごま油をなべに入れて弱火にかけ、100度以上になったら火を止めターメリックを混ぜる。
②冷ましてからふきん、またはキッチンペーパーで濾す。
(使い方)
あおむけに寝て左右の鼻にスポイトやストローで5~10滴程度たらし、5~10分浸み込ませる。
のどに降りてきたオイルは飲み込まず口にためておき、最後に吐き出す。
終わったら鼻をかみ、うがいをする。出てきた痰や鼻水は飲み込まないよう注意。
最後に、冷えが原因となるスギ花粉の漢方治療についてもご紹介します。
一般的に冷えが原因の場合、次のような症状が出ます。

<冷えによる症状>
・薄くて量が多い鼻水
・体、手足などの冷え(寒い日に悪化する)
・むくみ

⚫︎スギ花粉症では「水毒」が生じやすい
 漢方で薄い鼻水は、体内の水分バランスが崩れた結果で生じる「水毒(すいどく)」によるものと捉えています。水毒とは処理しきれない水が体の特定の部分に溜まった状態をいい、行き場を失った水が鼻水や痰となるのです。鼻づまりも鼻の粘膜に水が溜まって膨張した結果、起こります。

 春は冬には凍っていた病が溶けてあふれ出す季節です。花粉症で顔や足がむくむ人も多く、これらの症状はまさに水毒の表れです。

 水毒に対しては、水分の偏りを解消して水分バランスを整える利水作用のある漢方薬を用います。西洋医学にも利尿剤がありますが、漢方の利水剤のように水の偏在を正す働きをする薬剤はありません。

 利尿作用のある代表的な漢方薬が、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)です。小青竜湯は、体力が中等度またはやや虚弱で、水のような痰を伴う咳や鼻水を訴える人に使われます。体力がなく冷えが強い人には、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)が使用されます。

 水毒を作らないような養生も大切です。水分を摂りすぎれば新たに水毒ができるため、せっかくの利水剤の効果も薄くなります。このほかにも、砂糖入りの甘いものや冷たいもの、果物の摂りすぎも体に水を溜め込むので、控えたほうがよいでしょう。

 これまで見てきたように、漢方では「花粉症」という病名だけで同じ処方を出すことはありません。同じ花粉症でも、正反対の働きで起こっている場合があるためです。熱がこもったヒノキ花粉症の患者さんが、温める作用のある小青竜湯を服用すれば、逆に症状が悪化してしまいかねません。実際、そのような理由で相談に来られる患者さんもいます。

 スギとヒノキ。同じ花粉症でも漢方では違うものと捉えること、ぜひ覚えておいて、これからの治療、来年の治療に役立ててもらいたいものです。

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