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空想歴史ドラマ 貧乏太閤記54 信長転戦

2022年11月05日 17時56分31秒 | 貧乏太閤記
朝倉、浅井を攻め滅ぼした信長は9月初めに岐阜に戻り、2週間ほどようやく骨休めをしたが、その間に秀吉の相談を受けたりしていたが、すぐに新たな火種が発生した。
「お屋形様も休まる時がないのう、今度は長島が騒ぎ始めたぞ、柴田様が大将になって大軍を引き連れていくから治まるであろう」
伊勢長島の一向一揆が主導して北伊勢一帯の門徒土豪が反乱を起こした
秀吉にも出陣命令が下った
この長島門徒は、長島願証寺をよりどころとしている、その願証寺は当然ながら石山本願寺の系列であるから本願寺顕如の指示で動いたのは間違いない。
2年前にも不穏な動きをしたので信長は柴田勝家を大将にして5万の大軍で長島に送り込んだが副将の氏家卜全(うじいえぼくぜん)が討ち死にするなど敗北してしまった

伊勢長島は今と同様に木曽川、揖斐川に囲まれた長い洲の島(ゆえに長島)である、当時は更に細かく小さな川が長島の土地を縦横に流れて、小さな洲がいくつもあり、そこに門徒も一般農民も一緒の集落を作って武家からの治外法権区域になっている
そのうちの20ほどには小城や砦が築かれていて、外部からの武装侵入に対処している。
水路でつながっているため、徒歩で攻め寄せることはほぼ不可能で、小舟に乗って攻め寄せるしかない、しかも水路は狭く左右には山もあれば林もあって見通しも悪い、ここの地理を知り尽くしている長島の住人が圧倒的に有利である。


本隊は4万の兵で向かった、伊勢からも北畠、神戸の信長の息子たちが参戦、総勢5万は下らない、滝川も船を準備するなどして参戦している。
桑名に集結した織田軍に近隣の敵は次々と降参した、残るは長島の一揆のみだが、前回同様攻めあぐねた、それでも凡そ一か月戦いは続いた
結局、長島を落すことはできずに引き上げとなったが、またしても氏家卜全が戦死した場所で、織田家筆頭家老の林家の息、林新二郎が鉄砲で狙い撃ちされて絶命した、伊賀の狙撃手の手によるものだった
これで伊賀もまた本願寺に呼応していることがわかった。
結局、信長は滝川一益を長島を監視できる城に封じておくことしかできなかった、またしても織田軍の敗北であった、10月下旬いったん岐阜に戻った

信長は一休みすると11月には今度は足利義昭に味方する畿内の敵に向かった、
そして義昭が頼っていた和泉の若江城を攻撃して三好義継を殺した、義昭は危機を察知してすでにここにはいなかった。
三好にしろ松永にしろみな一時は織田家に従っていた者たちばかりである、それも一国を任されるほどの実力者であった
佐久間の軍勢は大和にむかい多聞山城(たもんやま)松永久秀を攻撃した、松永は信貴山城と財宝を差し出して降伏したので、信長は久秀を許した。
此度の戦で和泉、河内、山城、摂津から足利義昭派をほぼ駆逐した信長は、これらの守護を配下の武将や味方の国人、土豪で固めた、ようやく信長が畿内を実質支配することができたのである。
ただし唯一巨大な敵「本願寺」は摂津石山に堂々と構えている。

「此度の畿内、大坂の仕置きにはこの儂も驚いた、お屋形様はもっと広い視野で次を見据えておられるのだと人事を見て思った」
「ほほう、いったいどのようになったのでございますかな」
半兵衛が秀吉に聞いた
「もっとも驚いたのは山城よ、馬廻り衆の塙殿に北山城を与えて山城守護となされて武家、寺社の許認可を任された、そして明智殿、細川殿など4人の大名で山城の統治をおこなう」
「なるほど、小身の中から才能を見出して大きく育てるのは、お屋形様の天才的な才能でございます、おそらく塙殿もいずれは優れた司令官になるでありましょう」
「摂津も、一武将にすぎなかった荒木村重(むらしげ)と申す土豪にすべてを任せたようである、
荒木は元は足利将軍家の重臣池田勝正の与力だった男だが、池田を追い払い足利に敵対を鮮明にしたことでお屋形様の信頼を得たようだ、なかなかの器らしい。
摂津は国人、土豪が複雑に絡みあうゆえ織田家中の武将では難しい土地じゃ
荒木とやらに任せるのは賢明なことだろう」
「なるほど、石山本願寺もありますしよほどの才覚がなければ、お屋形様も取り立てることはありますまい、かなりの力を持った方とおもわれますな」
「驚いたと言えば、謀反を企て前将軍に味方した松永弾正を殺すどころか、追放もせず城を取り上げたのみで支城の信貴山城(しぎさん)はそのまま松永の居城としたのじゃ」
「松永は朝倉攻めで浅井裏切りの時、朽木氏を説得して味方にした大功績がありますからなあ」
「そうじゃった、あれでお屋形様も儂も命拾いしたのじゃった、今度のことで帳消しになった、次はあるまい」
「松永様ならば次があっても不思議はありませぬがな」
「ははは、松永殿には一度だけ会ったことがある、とぼけた煮ても焼いても食えぬ狸であったわ
この儂を見て『そなたのうわさは聞いておる、なかなかの女子好きだとか、度を過ぎると家中、家内、お体にもさわり、ゆくゆくは出世にもさわりが出ますぞ
この道については儂は60年学んできて戦よりもこちらで飯が食えるほどになった、命のやり取りをする武将よりもよほど面白い
そなたにも女子を自由に操る秘伝を伝授してやろう、儂が書いた秘伝読本を求めればたちまちその道の達人になれるぞよ、お家繁栄も出世も間違いなしじゃたったの1両じゃいかがかな』などと儂をからかいおった、だが不思議と憎めない男よ
奈良の大仏殿を焼いたとか、将軍足利義輝を弑逆したとか言われるが、とてもそうは見えない、じゃがああいう腹を見せぬ男こそ本当は恐ろしい野心を秘めているのであろうよ」
「で、殿はそれを求められたのか?」
「ははは、1両で買うと言ったら後日、家臣に届けさせてきたわ、代金は不要と言うからその家臣に3両持たせてやった、マムシでも買って精をつけるようにと申し添えてな、松永殿はすでに齢60を超えているはずじゃが、いかにも精力みなぎっており、顔など赤みを帯び皴もなくテカっておった、声にも張りがあるし全身からほとばしる何であろう?、時代が生んだ化け物の一人よ
たっしゃよのう、未だに30も年下の妾を囲っているとか」









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