先週、山口へ向かっていたころ、福岡市議会はクライマックスを迎えていた。福岡市が予算案に計上していたロープウエ―の検討費を削除する修正案が13日本会議で賛成多数で可決され、あとは高島市長がこれを不服とし、再議を発動するのかどうかに注目が集まっていた。ところが、高島市長が出した答えは、再議どころか、「もうロープウエーは議論もしない」と意表を突くものだった。市長選で公約にまで掲げたロープウエ―構想は、まるでなかったかのように消え去った。背後にあったのは、間近に迫った市議選だった。
福岡市は、2019年度の当初予算案にロープウエーの導入を検討する費用として5000万円を盛り込んだ。同時に、市の広報誌「市政だより」に、ロープウエ―の導入が決まったかのような記事を掲載。これに議会が反発した。議会で議論がされていない中で、このようなものが出されたのだから当然だろう。自民党は検討費を削除し、予備費にする修正案を提出、12日の条例予算特別委員会で可決された。13日本会議では、自民党、市民クラブ、共産党などが「議論が不十分で、ロープウエーに絞った検討は時期尚早だ」、「市民の多くはロープウエーを必要としていない」と主張したのに対し、公明党、みらい・無所属の会、自民党新福岡は「まずは検討費で判断材料を集めて議論すべきだ」と市長側に付いた。結果は、特別委員会同様、賛成39、反対20の賛成多数で修正案は可決された。
この結果を受け、高島市長は市の幹部会議を開いて、今後の対策を協議をすると、公明党、みらい・無所属の会、自民党新福岡とも懇談。その後、これら3会派の代表とともに断念表明をした。山口に居たため、記者会見をリアルタイムで見れなかったが、何と異常な光景か。これほど首長に寄り添う議員の姿を見たことがない。本来、首長と議員は一定の緊張感を保つものだが、ここまで露骨に親密さをアピールするのは、市議選で自らに近い議員を当選させ、議会を自分の思い通りに動かすために他ならない。つまり、ロープウエーより今後の議会運営を選んだということ。市長側近は「負けて勝つ。戦略的撤退だ」と息巻いているが、議会で正々堂々と議論できないだけだろう。
高島市長、自ら立ち上げた検証委員会(これがかなり怪しいものだった)が新交通システムを検討している最中に、いきなりロープウエ―構想を公約に掲げ、自分に不利だと思うやいなや、決断は早いほうがいいからと、なかったものにした。そこに公約の重みはなく、最初から最後まで自分本位だった。(ロープウエ―には反対だが)本当に夢であるなら、純粋に市民に語ればよい。それもせずに、偉そうなことは言えないだろう。ところが、これを英断だという人がいるから驚く。まさに衆愚政治だ。絶望的な気分になるが、何はともあれ、一先ず博多のまちは守られた。今頃、胸を撫でおろしている市民も少なくないのではないだろうか。あとは4月7日の市議選で、信頼できる議員が誕生すること願うばかりだが、、
ロープウエー構想、復活の可能性もある!?(2019.3.22更新)
喜ぶのはまだ早かった。議会に精通した人の情報によると、ロープウエー構想は白紙になったものの、復活する可能性は十分あるという。何故なら、高島市長は、ロープウエーの議論はしないと言っているが、導入しないとは言っていない。しかも、自民党はロープウエー構想には反対していない。自民党は、高島市長が手柄を独り占めしようと急いで事を進めていたことが面白くなかったようで、今回は修正案という形で反発した(市民から反対の声が多かったこともあり選挙対応とも考えられる)が、ロープウエーは、JR九州など地元経済界から期待の声も大きいため、復活する可能性は十分あるという。それがいつになるかはわからないが。いずれにせよ、今度の市議選が要になるのは間違いない。やれやれ、一難去ってまた一難。高島市政が続く限り、安心していられない。
【福岡市政インサイダー情報】ロープウエーは死んだのか?~ゾンビとなって甦る悪夢( NETIB-NEWS 2019.3.20)
断念表明をする高島市長にぴったり寄り添うシンパの皆さん(写真:西日本新聞より)
左から国分議員(みらい・無所属の会)、黒子議員(公明党)、飯盛議員(自民新福岡)
こちらが問題の市政だより3月1日号 ※これを読んで、ロープウエー導入決定と思った市民は多い
市政だよりに載ったロープウエーの耐風速の数字はデタラメだった(かみや氏)
《関連記事》
・目玉公約あっさり撤回 福岡市長ロープウエー構想 市議選争点化避ける(西日本新聞 2019.3.14)
・「市民の幸せにつながらない」 ロープウエー構想断念 高島市長一問一答(西日本新聞 2019.3.14)
・理解と戸惑い交錯 福岡市議会 市長のロープウエー構想撤回(西日本新聞 2019.3.14)
・木下敏之氏ブログ『ロープウエイ断念にみる衆愚政治』(2019.3.15)
あの様子だけを見た人は、「いい市長さんだ」と勘違いすることでしょう。
そして最近では、県知事候補武内氏支援。
まるで「あの市長さんが支援する県知事だったら、応援しよう」と、印象付けるためのシナリオのようにしか思えません。
もともと麻生グループの一員だった武内氏が当選することだけは、避けることを願ってます。
パフォーマンスだけは長けた人ですから、多くの市民が騙されているのでしょうね。困ったものです。
そういえば、高島市長は、昨夜更新したブログで武内氏をベタ褒め、小川知事を痛烈に批判していました。
>武内氏が当選することだけは、避けることを願ってます。
同感です。