先日、京都・嵐山の福田美術館と嵯峨嵐山文華館が合同で開催している「ゼロからわかる江戸絵画」を楽しんだ。福田美術館はギャラリー1と2で江戸時代に京都で活躍した円山応挙や伊藤若冲、そして今回の展覧会の目玉となる52年ぶりに再発見された『大黒天図』を描いた長沢芦雪など、自由奔放に描いた彼らのオリジナリティあふれる絵が展示されていた。2階のギャラリー2では、狩野派や琳派による美しい屏風絵などが並んでいた。
同美術館のギャラリー1、2に展示されていた絵を撮影し、解説もすべて絵と一緒に掲示されていたものをほぼそのまま転載し紹介する。今回は、円山応挙の4作品。
巖頭飛雁図 1767年 ―応挙の「写生」が花開く―
この絵は風によって波しぶきをあげる水面に、今まさに着水しようとする雁と、それにつづき2羽を描いています。羽を大きく上げて躍動感あふれる雁は、応挙が得意とした「写生」の成果のひとつです。応挙35歳の時の作品。
竹に狗子図 1779年 ―笑みがこぼれるコロコロわんこ―
竹と犬を描いた作品は、漢字の「竹」と「犬」を組み合わせると「笑」という漢字に似ていることから「一笑図」と呼ばれます。応挙の描く仔犬は、先端が垂れた耳や背中側に曲がる尻尾といった特徴から、紀州犬を写したといわれます。応挙47歳の時の作品。
龍図 1788年 ―弟子の家の小襖代は約10万円―
激しい風の中で身を躍らせる龍。雲に隠れるように描かれるのが一般的ですが、この龍は尻尾以外の全身を見せています。墨の濃淡を絶妙に変化させることで、湿気を多く含んだ真っ黒な雨雲と波しぶきを見事に表現しています。応挙56歳の時の作品。
陶淵明図屏風 1778年 ―さも見てきたかのよう―
全面に金箔が貼られた画面に、中国風の服を着た人物が描かれています。一番左に長いひげを生やし、頭巾をかぶって、手を後ろに組んでいるのが中国の文学者、陶淵明(とうえんめい)です。描かれた人物は全員、理想化された端正な顔立ちをしています。応挙46歳の時の作品。
写真/ 渡邊雄二
解説/ 福田美術館
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