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♪「終末のフール」伊坂幸太郎著 集英社
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伊坂幸太郎は「ラッシュ・ライフ」以来2冊目。「ラッシュ・ライフ」が結構シュールで、村上春樹っぽいところがあり、次の作品を読むのをためらっていたところがあった。村上ワールドは、父さんは未だについて行けないところがある。でも伊坂幸太郎の最近の作品は方向性が変わってきたと聞いたし、彼が父さんの出身地仙台在住で、小説の舞台も仙台であるため読んでみようと思った。
なかなか良かったよ。3年後に小惑星が地球に衝突し人類は滅亡する。5年前に発表され世の中はパニックになり暴動や略奪が横行するが、最近はその混乱も落ち着いてきた。8組の老若男女は残された人生をどのように過ごすのか…。
実際にこんなシチュエーションに遭遇したら、自分は登場人物のような落ち着いた、達観した態度でいられるか自信がない。多くの人たちのように騒乱に巻き込まれて命を落とすか、もしくは悲観的になって自ら命を絶ってしまうかもしれないな。まあそこを乗り越えたからこそ、この8組はそれぞれの苦悩や問題を抱えながらも、前向きに「最後の時」を迎えようとしているのだろう。連作短編で登場人物は異なるが、物語が進むにつれていろいろ絡みが出てくる。伊坂お得意のパターン?
人類滅亡を前に登場人物は、家族とは?親子とは?友人とは?と自ら問い、最後の時間の過ごし方を模索する。みんなそれぞれ方向性を見出して穏やかな終末を迎えようとしているように思えるが、もし人類滅亡がなければそのまま模索したり悩んだりのままで人生を終えてしまうんだろうか。それもまた寂しい気がするね。
個人的には「太陽のシール」「演劇のオール」「深海のポール」が印象深かった。重松清の作品に通ずるところもあり、とても心に残る作品でありました。Maririnちゃん、読むかい?
発売直後に図書館に予約したけど、すでに130人待ちでした・・・。
よろしくお願いします!
今、「嫌われ松子の一生」を読み始めました。面白いですよ。