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♪映画「母の身終い」
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最近「そして父になる」とか、家族ものが続いているが、これもその流れで観たかった作品。
仙台では公開の予定がなく、銀座シネスイッチでしかやっていないので、この前の「日帰り弾丸上京(詳細はFBで)」で、朝一番で観てきた。
麻薬の運び屋手を出して逮捕・服役していた中年の息子は、出所後に職もなく、ソリの合わない母親の元に転がり込む。口うるさい母親とは毎日口喧嘩ばかり繰り返す。
そんな時、母親の癌が脳に転移し余命幾ばくもないことが分かる。そのうち身体にも思考も障害が発生し意識がなくなるという医者の説明に、母は息子に内緒でスイスの施設での尊厳死を選択した。それを知って母を説得する息子、迷惑を掛けたくないので自分の寿命は自分で決めるという母親。結局母親は施設と契約を結んでしまう。
いよいよその日が来た。施設まで母親を送る息子。明るく清潔なベッドルームで、薬を飲み死を待つ母親と見守る息子。最後はお互いに抱き合い「愛しているよ!」今まで素直に言えなかった言葉を口にし号泣する…。
狭い映画館のそこここ鼻を啜る音が聞こえた。僕もさすがに最後はウルウル。なんとも辛いテーマの作品だった。
前に観た「そして父になる」も「もうひとりの息子」も赤ん坊取り違えという暗くて辛いテーマだったが、まだ未来に希望があった。
でも母が自ら死を選ぶ、自分の身終いは自分で決めるという重い話だ。
唯一の救いは、最後にお互いに許し合い、親子愛を確認できたことか。
この映画については観たいと思った後に、新聞に短評が載っていて「重いテーマにしては掘り下げ不足」のような評価だった。
確かに、尊厳死を選んだ母親になぜもっと思い留まるよう説得しなかったのか、最後に母親に付き添っている時にそんなに淡々としていられるものか、ラストシーンで息子は何を思っていたのかなど、疑問やツッコミ不足があったことは否めない。
でも観終わった後には、絶対に親孝行しよう、最後まで母の面倒を見ようと思わずにはいられない作品でありました。