41. 理三合格への道 (小橋哲之著 2011年2月)
最初にお断りをしますが、私(このブログの筆者)がこの本を選んだのは、東大の理三をこれから受験するために選択したのではありません。私はすでに前期高齢者でありますが、様々にこれからの自分の生活に役立てたいと考え選びました。
私が目指すのは、少しでも賢くなる方法、少しでも生活に役立つ知識、少しでも子供たちの能力を発揮させるための教育のメソッドがあるのだろうか。
現在の日本の小、中、高、大学の学問形態はベストなのだろうか。若者が自分の歩くべき道を切り開くための教育がなされているのだろうか。
と日々考える中で、ほんの一握りの優秀な受験生だけの読み物にするのではなく、一般の大多数の劣等生または、私のような旧劣等生にこそ知恵として、活用すべきと考えこの本を選択しました。
『 難関大学が本当に求めるものは、東大の過去問を分析すると、次の三つの能力が試されていることに気づきます。
「知識」 「情報処理能力」 「ひらめき」の三つです。
第一の「知識」は、「事実」と「関連性」に大別できます。「事実」とは、1足す1は2であり、2次方程式は、解の公式により必ず得られ、「山滴る」は夏の季語であり、銀は電気伝導性が高く、ダイヤモンドはこの世で一番傷を付けにくい物質であるというものです。
「関連性」とは、それら個々の事実の間に存在する何らかの関係を把握するという形態での知識です。断片的な事実が様々なストーリーで連結され、有機的なネットワークとして頭脳に格納される時の、ストーリーそのものを指します。
本当の知識は整理不可能なほど絡み合っているはずです。断片的な事実としての知識を整理して保有することではなく、ネットワークの中から必要な事実を検索する能力こそ重要です。
私はこれを「脳内グーグル先生」と呼んでます。この先生を使えば使うほど賢くなれる。そして、「ひらめき」はこの「脳内グーグル先生」から生み出されます。
したがって、賢い人は、「事実」と「事実」の間には、常に何らかの関わりがあるということを認識しており、知らず知らずにそれを見抜こうとする習慣が出来上がってます。
第二の「情報処理能力」とは、与えられた条件、情報を把握し、何が論点かを見抜き、なすべきことを正確に粛々とこなす、能力です。国語力、計算力や速読力などがこれにあたります。
第三の「ひらめき」は、薄々その価値の大きさに気付かれつつも、対策が分からず放置されがちなのが「ひらめき」です。
一見複雑に絡み合った問題も、臆せずに分析すれば重要な手掛かりに気付き、「あ、こうすればいいのか」と見抜き、一気に解法へ辿り着く、そういう「気付き」をもたらす能力です。 』
『 「この問題を解くにあたり、使うべき道具(知識)は何か。」
「解ける者はどうしてその道具の使用をひらめいたのか。」
「自分が再び同様の問題にあたったとき、何を思い出すべきか。」
さらに、「自分がどこでつまずくか」自分の頭脳のクセを良く知ることです。
問題を分析する眼力を養えば、英語を解いても物理を解いても、「この問題のキモはここにある」「この一行が全てを好転させるミソだ」と見抜けます。 』
『 初歩と基礎を混同している人がいますが、初歩を primary とすれば、基礎は fundamental 。初歩的なことを幾ら繰り返していても学力は伸びませんが、基礎を疎かにするとどんなに背伸びしたって絶対に転びます。
英語の基礎は文法であり、数学の基礎は定理になります。英語の成績を伸ばしたければ、文法・語法に強くなることです。
数学の教科書は、全ての定理が一連の流れの中で上手に登場し、解説されています。定理を活用できるように把握することが、基礎である。 』
『 耳から入る情報は、目から入る文字情報と異なり、一瞬で過ぎ去りますが、たった一度の感覚刺激から頭脳を活性化させ、豊かなイメージを抱かせ、それを抽象化して頭脳に刻み込むという、非常に集中力を要する作業です。
既に、「議論せよ」と述べましたが、相手の言葉を瞬時に把握して反駁するためにもこの力は必要です。受動的な生徒はこの「耳で学習する」ことが大変苦手だということです。
能動的な生徒は、英文読解で使われる長文を、小学生が教科書を音読するように、繰り返し読み返しながら脳に刻み込んでいるのです。 』
『 化学は決して、「科学的センス」だけで得意になれる科目ではありません。四則演算の嵐なのに電卓を持ち込めない、そして分数ではなく少数で数値を答えなければならないことが、単純な計算力の差が明暗を大きく左右します。
導いた方程式がいくら正しくても、最後の最後で計算ミスを犯せば零点です。さらに言えば化学ほど「時間が足りない」のも化学です。 』
『 成績の伸びる生徒ほど「すぐに調べる」「疑問を翌日に持ち越さない」という特性が見られます。「すぐに調べる」動作は、既に疑問点を明確に掴んでいることを意味します。
講義していると即座に電子辞書を開く者もいれば、図説を開く者もいます。その一方で、ぽけーっとしている者もいます。今後の伸びの違いは明らかです。
頭の中に浮かんだ疑問符のタマゴを見逃すなということです。英語の成績は辞書を引く回数に比例すると言われています。
例えば分からない言葉、失念した言葉をすぐ調べ、脳内に浮かんだ疑問のタマゴを見逃すことなく、この疑問のタマゴを解決することによって、さらに理解を深くします。 』
『 学習とは未知の知識とその運用法を「型」として習得し、様々な問題に対処する技術を鍛えていく、手順に他ならない。
学習の要は復習にあり、まだ十分に覚えている時期に復習せよ、すなわちその日の内に復習せよ。
5分間の価値を知って、優秀の者ほど小さな時間を大切にし、僅かな成果を蓄積します。復習は短時間で完了されます。
成績の良い生徒ほど字を書くのが早く、彼らは、手元を見ずにメモしていく。すなわち講師の話しと黒板に集中しながら、手元を見ずにメモします。 』
『 奥田猛先生の数学の授業は、その日のテーマとなる問題を十五分前後で生徒に解かせ、それを先生が教室中を歩きながら観察し、解説に移る。
奥田先生は生徒の指摘する解法を「渋い!」「面白い!」などと言いながら次々に黒板に完成させていくのです。
良い問題を自分の力で、一から解ける問題を一つでも多くすることである。人生に於いてもより多くの成功体験を持つことが人生を豊かにする。』(第42回)
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