4. 海洋大循環
エントロピーの法則は、無秩序な状態に向かい元に戻るすなわち循環することはない。 この海洋大循環は、海水の密度の変化により駆動される地球規模の海洋循環である。
表層水がグリーンランド沖と南極近くのウェッデル海で、冷やされて流氷を作るとき、真水部分のみ凍らせることによって、塩分は残され、塩分濃度の高い海水が比重が大きいため、深海に沈み込み、グリーンランド沖で形成された深層水は大西洋を南極まで南下し、南極起源の深層水と合流した後、南極大陸の周りを通って、インド洋と太平洋の中に流れ込み、北太平洋で上昇して、表層に戻ります。この表層水は表層海洋を運ばれて、再びグリーンランド沖に戻っていきます。
この海洋大循環は、グリーンランド沖と南極沖の冷却された塩分濃度による海水の密度変化により、深海への沈み込みをエントロピー逆走エンジンとしている。この海洋大循環の周期は1~2千年といわれている。
この熱塩循環と風成循環(表層数百m)によって、深海(4千m)のミネラル分を含んだ海水が表層近くに上昇する北太平洋は、プランクトンの大発生により大漁場となる。
この海洋大循環は、海洋全体に膨大な量の水や熱、ミネラルを移送するシステムを形成しているため気候変動をコントロールする重要な要素の1つである。リンなどのミネラル分は、比重が大きいため一般に陸から海、表層から深層へと沈み込む。
この深海(4千m前後)のミネラル分を多く含む海水が表層に於いて、プランクトンの栄養となり、そのプランクトンをニシンやイワシが食べ生長し、それを大型魚類、海洋動物、海鳥が食べ、サケや海鳥によって陸上へも運ばれ、ミネラル分の大循環にもなっている。北極の流氷が消える時、海洋大循環が止まり、地球上の気候は大きく変動する可能性がある。(第6回)
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