飼い猫の遠吠え

とにかく気持ちは前向きに寝る間を惜しんでほふく前進・・・

「シリウスの道」読みました

2006-01-12 01:11:50 | 読書・映画のたしなみ
なんなんでしょうか、この余韻は・・・。
泣けるわけでも無く、スカッとするわけでも無く、おそらく感動してるんだろうなぁ、という感覚。

「はぁ~」っと、またため息。


藤原 伊織「シリウスの道」(文藝春秋・1714円+税)

広告代理店に勤める辰村には、25年前から隠し続ける、友との秘密があった。それが今…。広告業界を舞台に展開する長篇ミステリー。


辰村に対してか、戸塚に対してか、真摯に仕事、いや生き方にかける人間の凄さを感じました。今まで接してきたのと違う分野でのハードボイルド性。登場人物の魅力が満載で、かっこいいです。

昨年の「このミス」にも選ばれてますが、ミステリーや謎解きというよりは、その人間性ドラマの方が楽しめます。江戸川乱歩賞&直木賞のW受賞となった「テロリストのパラソル」の衝撃が強すぎて、その後その作品が素晴らし過ぎていろいろ大変(癌を患ったこともありますが)だったようですが、今回の作品には、頭が下がるばかりです。作中に、その「テロリストのパラソル」の世界をちょこっと覗かせているのも、それだけの作品だったからでしょうかね。

導入部分で専門用語が多すぎてとっつき難いとか、広告業界の説明が長くて分かり辛いとか、過去の話が上手く活かされていないとか、ミステリーとしては進展が無い(そもそもミステリーではない)とか、推理小説というより人間ドラマだとか、書き方や進展が消化不良なものを感じるとか、脅迫状の展開の中途半端さとか、「浅井って誰?」とか、多く批評はあるでしょう(あり過ぎか・・・)。自分としても、ミステリーや推理小説の観点から見れば、あまりオススメできる内容とは言えません。

世間的にも評価が真っ二つのこの作品。読書慣れしている方には、物足りないかもしれませんが、それでも、社会人なら読んで損無し、とオススメさせてもらいます。

<おまけ>
主人公辰村は当然として、後半の面白さは、戸塚の人間性の魅力によるものだと思います。その反面、勝哉、明子に魅力を感じないのは・・・なぜ?

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4 コメント

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Unknown (ささき)
2006-01-20 02:00:31
広告代理店・・わりと近い存在です。なのでちょっと興味あります。リアルだったり、逆に「ない、ない、こんなの」っていうのを楽しむという、ストーリーと別の楽しみ方もあったり? ハードカバーは重いし高いしであんまり買わないんですけど、読んでみようかな~という気になりました。
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だから遅いんですか? (かいねこ)
2006-01-21 00:48:11
>ささきさん

先ほどのコメントのタイトルと中身が変だったのは、書こうとしていたものを忘れてしまったからでして。最近創刊されている文庫モノには、良作が多くていいですよね。読んでいない人にとっては、ハードカバーと違って、軽いですから通勤時にももってこいと。自分は、例の作品で直木賞作家となった、東野圭吾を漁ってます。



ささきさんは、広告代理店系(?)ですか。・・・自分より遅い方もなかなかいないので気になっておりましたが、そういうことですか? 以前、仕事をしたことがありますが、仕事の運び方が全く異なる次元で進んでいることが非常に印象に残っています。この方は電通出身ですからそのあたりは、リアルかもしれませんね。
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もともと夜型なんですけどね (ささき)
2006-01-21 01:05:05
業界自体、夜型です。

広告代理店にコキ使われる側です。

某D社とはほとんど仕事したことはありませんが。。
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やっぱり夜型ですか (かいねこ)
2006-01-22 19:51:43
>ささきさん

使われる側ですか、自分らも別業界でそんな感じですが、夜型中心とは大変ですね。某D社の社屋を先日見ましたが、いやはや大きい・・・あっ、関係ないですね。

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