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「The World News- 9」『就業力のトリック』竹田茂夫(Professor Shigeo Takeda at the Hosei University)

2014年04月04日 | The World News
――「2014.4.3東京新聞」


 “就業力とは「雇いやすさ」に相当する英語からの翻訳で、企業に雇われるための能力を意味する。リーマン・ショックで新卒の就職率が急落したのを受けて、文部科学省は二〇〇九年度の白書で初めて就業力を取り上げ、

   (Sirota81 註) 『文部科学省白書2009 p.195』 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab200901/1295628_016.pdf

 翌年各大学に「就業力育成支援事業」を促した。
 英語では雇う側の企業が意味上の主語だが、訳語では学生が主語になる。


   (Sirota81 註)

    【employable】【employability】 雇用できる(人),雇用条件にかなった(人). 『リーダーズ英和辞典』

    〔使用例〕 https://www.kent.ac.uk/careers/sk/top-ten-skills.htm


 自己啓発セミナーでさらに就業力は内面化して就活の心構えに近くなる。己を見極めて市場の求める能力を開発すべきで、就職できないのは自己責任という訳だ。だが、肝心の中身があいまいで、就業力とは素直な性格だという解説に驚いたことがある。
 自己革新で時代の要請に応えるべきだとするこの道徳律は、勤労者向けの企業家精神だ。キャリア形成は、人的資本を高めて栄達を追求する個人事業となる。文科省や就職産業は新道徳を学生に吹き込むが、かれらも受け身で洗脳されるだけではない。多くの学生は就活のつらい経験の中で就業力のトリックに気が付いていく。架空のボランティア体験を面接でアピールする強者もいる。困るのは自己啓発を真に受ける学生だ。
 市場と企業がなければ現代社会は維持できない。だが、市場や企業に追い立てられるよりもっと意味のある人生があるはずだ。(法政大学教授)”








≪参考記事≫「The Catholic Roots of Obama’s Activism」By JASON HOROWITZ MARCH 22, 2014 『The New York Times』


     http://www.nytimes.com/2014/03/23/us/the-catholic-roots-of-obamas-activism.html?_r=0




















                                                      『The Washington Monument on the Potomac River 1935』 Hasui Kawase

                                                      『華盛頓記念塔 昭和10年』 川瀬巴水(1883-1957)



















 

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