あのー
ハイ
なんでしょう
このコーナーの質問って
ドボクそのものじゃないことでもいいですか?
あれ?
今日はえらく低姿勢やね
あら失礼な
ワタシはいつも低姿勢ですよ
ハイハイ
で
なに?
あ
スルーした
そういうところがよくないんですよ
自分の気分で塩対応をするところ
(ぷんぷん)
ハイハイ
で
なに?
もう
そんな態度とるんだったら聞いてあげませんよ
ゴメンゴメン
で
なに?
「おふだ」ってあるじゃないですか
「おふだ」って
神さまの?
御札?
そう
「おふだ」
アレって
立てる向きがあるんですか?
ありますとも
じゃあ今日は神さまの話やね
それやったら土木に関係大ありや
土木にとって神さまは切っても切りはなせんもんやキね
まず御札の向きから行こうか
家に神棚があれば
神棚におまつりするので
向きは決まっチュウよね
中央に伊勢神宮大麻
向かって右に氏神様
左には信仰する他の神社
これは3つの部屋がある神棚の場合なので
神棚がちいさい場合は
順番に御札を重ねてイチバン表に神宮大麻をまつる
問題は神棚がない場合よ
ワタシの家がそうなんですよ
で
どっち向きにした?
お父さんが来て
「神さまは太陽に正面を向けるもんやから」
って南向けに
それは正解
北向きの神社っていうのはたぶんないはず
そういう意味からいけば
御札の正面が南か東を向くようにするのが正解
お
さすが我が父
そういえば
現場でも「おふだ」を立てますよねえ
あれって
全部の工事でやってるんですか?
うん
家を建てるとき
地鎮祭ってするよね
ハイ
ワタシが家を建てるときもやりました
あれって
本来は「とこしずめのまつり」っていってね
また「地祭(ぢまつり)」という呼び名があることからもわかるけど
その土地の守り神である「産土大神(うぶすなのおおかみ)」をまつって
土地が平穏であることを祈る
イコール
工事の安全を祈願するお祭りながよ
うちの会社の場合は
地鎮祭
っていう形ではめったにやらんけど
同じ意味あいで
すべての工事で神社に祈願をしてもらってる
神官さんが御神札って書いた紙袋を持ってきてくれるやろ?
あ
あたらしい工事のやつがあります
ちょっと持ってきてみますね
中をあけてみようか
2枚の札のそれぞれに
「工事安全祈願」
「地鎮祭守護」
っていう文字が書かれてるやろ
さっき言ったように
「とこしずめ」
つまり土地を守護するために祈願をした御神符やね
ということは
この御札の表はどっちに向けたらいい?
現場に向けて
ですか?
そう
現場の中央に向けてやね
そうなんですね
よくわかりました
うん
で
ここからが重要
昔から日本人は
家を建てたり
道をつくったり
橋をかけたり
つまり今でいう土木や建築といった行為をするときには神さまとのかかわりを重要と考えてきたんやね
必要となる木材を調達するためには木を伐る
また
現場に杭を打って基礎をつくって柱とかを立てる
そのとき
木を伐るときには森の神さまをまつり
工事の現場ではその土地の神さまをまつる
神さまをまつるっていうことによって
工事のあいだの無事だけじゃなく
完成したあと将来にわたって風雨や地震に耐えることも祈る
それは自然っていうものが人間が思いどおりに制御できるものじゃないってことを
生活の中で感じてたことのあらわれでもあるとワシは思う
御札を立てる
っていうことは神さまをまつるっていうこと
ただそれを心のなかで思うだけじゃなく
神さまを敬う姿勢を形にあらわしてこそご加護を受けることができる
っていうふうにワシは思うわけ
信心深いんですね
いやー
今でこそこうやってエラそうなことを言うけど
白状するとね
ほんの10年ちょっと前までは
そんなことどうでもいい人間やったがよ
もちろん神事には付き合うけど
別になーんも考えずにただただ人のやるとおりって感じで
考えが変わったのは2011年
大きな台風で国道がズタズタになってね
その応急復旧工事をやったとき
3ヶ月にわたった工事の期間中でつごう6回も山が崩れて
一度は生き埋めになりかけた
まあ死なずに済んだけどね
そのとき思うたがよ
「あぁオレらは地球を相手に仕事をしてるんや」
「自然っていうのは人間がどうこうできるもんやないがや」
って
そう思うと
わきあがってくるもんがあってね
畏怖(いふ)
とか
畏敬(いけい)
っていう言葉があるろ?
超越した存在に圧倒され
それを
畏(おそ)れ
敬(うやま)う
それが信仰心っていうのかどうかわからんけど
それからは
キチンと神さまをまつることが大切やと思うようになった
で
それは
自分個人がどうのこうのじゃなく
現場ではたらいてる皆んなや
その工事が無事完成したあと
できるモノによって利益を受ける多くのひとたちのために
祈る
そんな人たちの顔を思い浮かべて
祈る
最近は
やれ
ICTだとか
i-Constructionだとか
建設DXだとか
いろいろやかましいけど
ってワシもそのなかのひとりやけど
そんなもんですべてが解決するって考えるのはそりゃチトちがう
ワシに言わせりゃ
そんなんは人間の思いあがりやね
土木のしごとにおいては特にね
そんな時代
科学技術がどんどん進歩していく今だからこそ
神さまを敬う心っていうのが
なおさら大切になってくるがやないやろか
あのー
ん?
なんか変なこと言った?
いや
そうじゃなくて・・
みやうちさんって
お坊さんだとばかり思ってたんで
ちょっと意外で
ちょっと待てい
ワシャそもそも
坊さんでもないし
神主さんでもないわーい
え?
ワタシてっきりお坊さんだとばかり・・・
なんでやねん!
土木屋じゃ!!
そらアタマは坊さんより坊さんらしいけど
いや
じゅうぶんイケると思います
じゅ・う・しょ・く
で
そ
そうか?
そしたらこれからその線でいくわ
なんでやねん
もーええわ
(笑)
でも
今日はホントに考えさせられました
ありがとうございました
そうか
じゃあ次の質問
期待しチュウきね
ヨロシク
ハイ!!
参考サイト:
参考図書:
『月刊土木技術2021.11号 特集「信仰と土木」~建築の祭祀について』(岡市仁志)
ぼくらと一緒に働きませんか?
↑↑ 採用情報
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます