「居飛車側の攻めは十人十色。しかも、調べてみるとどれも有力な戦法のようだ。四間飛車は容易に組めるというのが将棋界の通説らしいが、話が違うじゃないか。」(にわか四間飛車使いのアマ二段、2024年)
対居飛車の後手番の作戦として新型雁木はまだ二軍調整中なので([3]を読んでる途中)、実戦ではときどき四間飛車を指しています。以前に比べたらマシにはなったかな。
改めて指した感想としては、美濃囲いって言うほど固く無いですね。6一の金が攻撃を受けると大体は寄り筋ですし。だから、振飛車は中終盤に手番が回ってきたら、攻めを繋ぎ切る必要があります。
それに、振飛車は定跡を覚えるのが少なくて済むと言われますが、本当でしょうか。山田先生の時代では確かにそうだったと思います。しかし、その後の研究で居飛車側の仕掛けが創られ続けたので、現代ではそうは言えないと思います。以下に、プロ棋士の言葉を抜粋します。
「振飛車が古くからアマチュア間で最も親しまれているのは振飛車が他のいかなる戦法よりも容易に組めるからである。(中略)この相手の策戦にかまわず容易に組めるということが今度の専門棋界に於ける振飛車ブームの一因であることは論を待たない。」((故)山田九段、1959年[1])
「(インタビュワーからの質問「四間飛車の魅力はどこにあると思いますか?」に対して)まずは振り飛車側から見て定跡がすごくラクで覚えやすいということ。そして相手がどう来ても常に自分のパターンで待っていられることが魅力です。(以下略)」(鈴木九段、2016年[2])
それはさておき、今回は最近よく見る4五歩早仕掛け?に対して、振飛車側の対策を考えます。疑問符(?)を付けたのは、途中の手順が少し変わっているからです。
基本図は下記となります。居飛車の陣立の特徴としては、①▲3七桂~▲4六歩を早く決めること、②▲4七銀と立っていることが挙げられます。振飛車は「▲4七銀は4筋での反撃時に当たりがきつくなる」と考え、△4三銀を決めます。
以下、▲4五歩、△6四歩、▲4四歩、△同銀、▲4六歩が問題の局面です。折角の持ち歩を低い位置に打っちゃうんですか?
次の▲4五桂を受けるだけなら△4三飛でしょうね。なおも▲4五桂に対しては△4二角とかわせば、▲4四角~▲5三銀の強襲を防げます。
あと、Honeywaffle[4]によれば△6三金と居直っても良いみたいです。▲2四歩の突き捨ては△同角で目標の角が逃げられるので(▲2四同飛~▲4三歩~▲3二角の筋が無い)、単に▲4五桂と跳ねるぐらいでしょうか。以下、△同銀、▲同歩、△8八角成、▲同銀、△3七角、▲2九飛、△4五飛は必然の進行だと思います。
居飛車には早い攻めが無く、しかも歩切れが痛い。一方で振飛車には△1五角成~△4六歩~△2六桂の攻め筋があります。居飛車の6三銀型を咎める形になりました。あれ、思った程ではない?
ちなみに、居飛車が昔ながらの5七銀左型で▲4六歩打をするとどうなるのでしょうか?まぁこれも、△7四歩と居直るんでしょうね。以下、▲4五桂、△同銀、▲同歩、△同飛で、定跡よりも振飛車が一手得しています。
【参考文献など】
[1] 山田道美将棋著作集、第一巻、大修館書店、pp. 97、1980年
[2] 日本将棋連盟、「将棋戦型別名局集2 四間飛車名局集」、pp. 20-21、2016年
[3] 佐藤和俊、「新型雁木試論 バランスとカウンターの新体系」、マイナビ、2022年
[4] 渡辺光彦氏Webページ、https://note.com/honeywaffleshogi/n/nf5ea34e9b00b#29dc1524-1ef9-4e74-bcf3-1308018a5617、参照日2023年12月24日
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