一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

149   うかれ猫失せにけり酒醒めにけり

2011年02月07日 | 

 ある冬の日、我が家にオスの猫がやって来た。犬を飼い始める前の話だ。玄関の外で、「ニャオニャオ」鳴くからドアを開けると、馴れ馴れしく入って来た。「なんだ、こいつ」私を全く怖れていない。

 

その時、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読んでいたので、ジョバンニではなく、ジョバンと名付けた。その後毎日やって来て、仕事場に入り込み、椅子に乗って寝たり、餌をもらったり、自由気ままにしていた。知り合いが「アメリカンショートヘアーの血が入っているみたい。いい猫だ」と言っていた。

 

しかし、何処かに本家があって、誰かに飼われているのかもしれない。いや、本家はないのかもしれないが、あちこちにそういう家を持つ浮気猫なのかもしれない。

 

最近は少なくなったが、この辺りは捨て猫が多く、数匹の生まれたばかりの小猫の入った段ボール箱が、道路端にしばしば置かれていた。ジョバンは、そんな中を生き抜いた逞しい猫なのかもしれない。

 

春になると、夜の屋外では、猫たちの鳴き交わす声が、よく聞こえる。あの声はジョバンかもしれない、などと思いながら酒を飲む。

 

うかれ猫とは、春に発情した猫のこと。春の猫・恋猫・猫の恋・猫の妻・猫の夫(つま)・などと使う。

 

 さて、この句、次の特徴がある。①句またがりであること。つまり、五七五になっていない。十・七である。②切れ字が二つあること。つまり、A主語+動詞、B主語+動詞の併記。

 

この句、元句は「冷めにけり」だったのだが、パソコンには、その他「醒め」「覚め」「褪め」などがあった。

 

冷めは、せいぜい一時間で夜。しかし、「醒め」は、数時間で朝。十数年後の軍配は、当然「醒め」にあがった。

 

 

 

コメント
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