一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

237    恐るべき君らの乳房夏来たる   三鬼

2011年05月06日 | 

 今日は立夏、暦の上では今日から夏である。立夏と言ったらこの句を思い出す。余りに有名だから載せたくない気もする。しかし、載せることにした。

 

 太平洋戦争の最中、女性たちは縞木綿や藍絣のもんぺの地味な服装だった。今のイスラムの女性たちを想像したら良かろう。

 

そして、女性たちに終戦の1年後の夏が来た。と同時に女性たちは、白の木綿のブラウスを着出したのであって、別に女性たちの乳房が変化したわけではない。

これは65年も前のことで、現在と比べたら、露出度ははるかに地味だったに違いない。しかし、三鬼は恐るべきと言っている。恐るべきは、「君ら」と「乳房」のどちらにかかっているかによって、意味が違う。私は、あえて「君ら」にかかるを取りたい。

 

 この句の主題は、「敗戦後の日本は、これからどうなっていくのだろう、という作者の想い」なのである。うら若き女たちの着衣の変貌ぶりを表現することによって、作者の危惧を表したのだ。又、君らの「ら」によって、この句が社会性を帯びていることも分かる。

 

 

 

ホソバテンナンショウ(細葉天南星)

 

 

コメント
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