旧友の握手握手や花吹雪 歩智
翁媼ら終活ばなし桜狩
アルプスのアンモナイトや春の海 炎火
菜の花やシーラカンスの解剖図
佐保姫の裳裾に触れて山笑う 侠心
同じ道今年も逢えて濃菫
夜桜の湿りを秘めし香かな 洋子
朝焼けに全身染まり種を蒔く
佐保姫やけさ機嫌よき膝頭 章子
われ生きる箱根連山花ざかり
独り居の媼温める夫婦雛 豊春
佐保姫は潮風に乗り通りけり
暖かいのが好きだったのよね貴方 遊石
タンポポの好きな女の一人言
鶯を復音と聞く馬返し 鼓夢
花冷えや厚手のシャツの綾模様
LED淫靡に光る萬愚節 薪
春愁や白粉ブラシ円を描く
匂い立つなべの潮目の新若布 正太
沈丁の香にモノクロの風孕む
今時はマスクにメガネ鳥打帽 空白
男体山囲む麓の黄色くも
佐保姫の木々に優しき小糠雨 稱子
花冷えやカップに残る紅のあと
桜鯛看とってもらうはずの人 雲水
春昼の庭のどこかで蟇の声
骨壷を作る会の皆さま