一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1057  俵編む木槌置きたる骨董屋  若磯

2013年10月15日 | 

(たわらあむ きづちおきたる こっとうや) 

新聞を読まない私に、友人が10月13日の日経新聞俳壇の記事を持って来た。この句は、黒田杏子選の中の一句。

  現代の稲刈りはすごい。最新式のコンバインは、刈り取り、脱穀、藁を裁断して田んぼに撒くところまでやってしまう。例えば、1反を手作業でやると、4,5人で1日掛かっていたのが、たった一人1台で1時間程で終ってしまうのだ。稲架に掛けて干す必要も、脱穀する必要もない。それに、籾(もみ)は丈夫な麻袋に入れるから、藁で編んだ俵に入れたりはしない。

 さて、俵を編むためには、藁を濡らしてから均等に木槌で叩き、柔らかくする必要がある。作者は、その使われなくなった木槌が骨董品として並んでいるのを発見したのだ。おかしな話ではあるが、とにかく作者はそれが俵用の木槌であることを知っている日本でも数少ない一人に違いない。

ザクロ(石榴)

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