古来より福徳の神として祀られている七福神は、大黒天・恵比須・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋。
大黒天は、大きな袋を背負い、打出の小槌を持ち、米俵を踏む。大国主命とも言われている。台所に祀られることが多いようだ。
さて、この句からは、寒々とした冬の座敷の床の間だろうか、大黒天と向き合っている作者の心の内が見えてくるようだ。
「ひっそりとひとり」という表現から、私には住み慣れた旧家の座敷に座り、一家の主人として又は主婦として堂々と暮らしている作者の存在感を感じる。それは、大黒天の歴史と信仰に支えられているからだろう。
しかし、私たちの生活は豊かになったのかもしれないが、堂々と大地に根付いて生きることが難しい時代になってしまった。「ひっそりとひとり」には、そんな現代的孤独感を読み取るのが、素直な解釈かもしれない。