毎朝、NHKの朝ドラを見ながら朝食をとり、片付けを済ませたあと、二階の自分の部屋へ、揚句のような時を過ごしております。
「毎日何をしているの?」
「テレビばかり見ていてはだめよ」
と言われますが、これでもなかなか忙しく、ボーとしていることは余りありません。
深夜放送だったと思いますが、「歳をとったらキョウヨウとキョウイクが大事」という言葉を聞きました。キョウヨウは教養ではありません。「今日の用事」です。キョウイクは教育ではなく「今日行くところ」です。この言葉を自分に言い聞かせて生活しております。
新聞を隅から隅までじっくりと読んだ後は、毎月最終土曜日の「岩戸句会」に提出する俳句を考えます。そうこうするうちに、お昼の準備(妻は殆んど出かけて留守)、昼食、片付け、そしてお昼寝。目覚後は、お天気ならば自然農法の家庭菜園の畑仕事、読書(主に小説)、夕方にはノルディックウオーキングによる散歩一時間。とざっとこんな具合いであります。
寒林をけものの如く突き進む
寒林を透けて現る大甍
春めくや水面に挑む二羽の鳶
初島の灯影煌めく実朝忌
夕東風や利島新島近寄りぬ
五ミリほど蓬の芽にも葉の形
仄暗き露地に散り敷く紅椿
竹の秋霧雨烟る無職かな
鵜篝の照らす水面や翁の目
瘦せ裸十針くっきり手術痕
只管に壁よじ登る毛虫かな
車内みなケイタイ覗く夏の昼
炎昼や読経野太き尼導師
送り火や赤き脚爪うずくまる
畑隅の自ずと生れし唐辛子
遊石氏夜露言祝ぎ旅立ちぬ
秋の蝶雲の流れに乗りにけり
秋麗喪服きりりと若き嫁
秋の日や虎猫眠るボンネット
秋時雨伊豆の山々鎮まれり
海辺よりビルの重なる秋の空
尖塔の鴉一声冬来る
冬服の電車に混じる半ズボン
寝床にてラジオ体操今朝の冬
野良猫の抜け道示す石蕗の花
(岩戸句会第五句集「何」より 関谷豊春)