一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

901  十年を掛けて親友四月馬鹿   花合

2013年04月12日 | 

 いわゆる「一目惚れ」一瞬にして意気投合し、恋に落ちた夫婦もあるだろう。反面、一瞬にして虫唾が走るような、まあそこまで極端ではないにしろ、お互い全く興味を持てない二人もあるだろう。

 さてこの句、例えば貧乏育ちにとって、お金持ちの我儘な御坊ちゃまは、虫が好かないかもしれない。しかし、長年付きあってみると、これが意外と、口が悪い割には面倒見が良かったり、優しい部分を発見して、少しづつ仲良くなったのかもしれない。

10年も付き合っているのだから、嫌な面を見せられても昔のように腹も立たず、許せるようになったのだろう。いづれにしろ、親友と断言しているのだから、今後この二人が仲違いすることはなさそうだ。めでたしめでたしの四月馬鹿。

スノードロップ( ヒガンバナ科ガランサス属スードロップ属、マツユキソウ属)

ガランサス、マツユキソウ(待雪草)とも

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900  筍を掘るや関東ローム層

2013年04月11日 | 

(たけのこを ほるや かんとうロームそう) 

 テニス仲間に、「もう筍が出ているよ」と聞いて驚いた。たぶん、例年より半月は早い。桜も早かったから、当然と言えば当然。そこで早速、早朝行ってみたら、もう掘った跡があちこちに。それでも、なんとか4本発見。

 「関東ローム」は、関東地方の台地や丘陵をおおう火山灰層で、「関東ローム層」とも呼ばれる。地質学的には、現代に近い第四紀更新世(約258万年前から約1万年前までの期間)に、箱根・富士・赤城・男体・榛名・浅間の諸火山から噴出したもの。風化を受けて堆積し、粘土質になっており、鉄分が酸化して赤色を呈し、,乾燥すると微細な粒子となる。関東ロームは毎年0.1mm、100年で1cm、1万年で1m積もるそうである。

楤の芽(たらのめ)

タラノキ(楤木、桵木) ウコギ科の落葉低木。

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899  花冷やハイブリッドという煙

2013年04月09日 | 

 「ハイブリッド」とは、2つ(またはそれ以上)の異質のものを組み合わせ、一つの目的を成すものを言う。ガソリン車にバッテリーを組み合わせた自動車が有名。

  その他、様々な商品名に「ハイブリッド」は使われているが、最近、煙草にも「ハイブリッド」が登場した。禁煙している私は、勧める知人から貰って吸ってみたが、別にどうということのない代物だった。

 さて、話は変わるが「プレミアム」とは、保険の掛け金、ハイオクガソリン(主にアメリカ)、割増金(奨励金)、景品・賞品などを言うらしい。

 しかし、最近の日本では、高級の意味で「プレミアム」を付ける場合が非常に多い。ビール、クラッカー、アダルトビデオ、ゲーム、プロレス、携帯端末、ガソリン、軽油、などにやたらと無節操に用いられているらしい。

 更に、NHKまで「BSプレミアム」である。今までのBS2を廃止したうえ,変える必要がないのに、BS3を「BSプレミアム」に改名したのである。そんなNHKに、私は腹を立てている。

ヒメオドリコソウ(姫踊り子草) ヨーロッパ原産の越年草

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898  仏生会今日もどこかで終末論

2013年04月08日 | 

 お釈迦様の父は釈迦族の王、母は磨訶摩耶(マカ・マーヤ)。摩耶夫人は35歳の時、ある夜六つの牙を持つ白像が天より降りて右脇より体内に入る夢を見た。

バラモンの夢占師に聞くと、インドでは象は聖獣とされているため、まさに吉夢で世継ぎ誕生の兆しと告げられた。

 摩耶夫人はまもなく懐妊し、出産のため里帰りの途中に立ち寄ったルンビニ園の庭で休息中、無憂樹の花を手で折ろうとしたところ、右脇の下からお釈迦様がお生まれになったそうである。

 お釈迦様は、生まれた直後に周囲を見わたし、七歩あるいて右手を天に指し左手を大地に向けて「天上天下唯我独尊」と言った。その時、天竜が天から下って甘い露を潅(そそ)いだ、という説話が伝わっている。「人間一人ひとりは、宇宙に唯一つしかない命をいただいている尊い存在だ」という意味だそうである。

ヤマブキ(山吹) バラ科ヤマブキ属の 落葉低木。

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897  池の面に着かず離れぬ桜かな   康子

2013年04月07日 | 

 確かに傾斜地の桜は、傾斜に沿って桜の枝は下がってゆく。それは、枝先に眼が付いているのではないか、と思われるほど正確だ。

だから、池端の桜の枝は、上に伸びるものは上に、横に伸びるものは横に、そして下に伸びるものは水面すれすれまで、我が意を得たりとばかり、自由闊達に伸びる。池面の上に、邪魔者は一切ないのだから。

それにしても、今年の桜はひどかった。花芽をウソやヒヨドリに食べられたから、去年の夏が暑かったから、マグマの活動が活発で地熱が高いから、という説。色々あって、どれが本当やら・・・・・

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896  ふらここは漕ぐべし愛は奪ふべし  三橋鷹女

2013年04月06日 | 

一句を書くことは 一片の鱗の剥奪である。四十代に入って初めてこの事を識った。五十の坂を登りながら気付いたことは、剥奪した鱗の跡が、新しい鱗の芽生えによって、補われている事であった。
 だが然し 六十歳のこの期に及んでは、失せた鱗の跡は、もはや永遠に赤禿のままである。今ここに その見苦しい傷痕を眺め、わが躯を蔽ふ残り少ない鱗の数をかぞへながら、独り呟く・・・・・・

一句を書くことは 一片の鱗の剥奪である。一片の鱗の剥奪は 生きてゐることの証だと思ふ。一片づつ 一片づつ剥奪して全身赤裸となる日の為に「生きて 書け・・・」と心を励ます

三橋鷹女の句集『羊歯地獄』自序より

シバザクラ(芝桜)

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895  朝焼けに全身染まり種を蒔く   洋子

2013年04月04日 | 

 1年中ある朝焼けや夕焼けは、夏の季語。やはり1年中ある種蒔きは、春の季語。では、どちらの季語が強いかと言えば、やはり「種まきの春」であろう。「そんなこと、どうでも良いではないか」と言われれば、全くその通りで、季重ねなどと、あまり気にすることはない。

 いづれにしても、そろそろ八重桜の咲く頃で、野菜の種、花の種・・・・・どんな種でも蒔いて大丈夫な季節になった。

 

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894  2013年3月  岩戸句会

2013年04月03日 | 

 

旧友の握手握手や花吹雪      歩智

翁媼ら終活ばなし桜狩

 

アルプスのアンモナイトや春の海  炎火  

菜の花やシーラカンスの解剖図

 

佐保姫の裳裾に触れて山笑う     侠心

同じ道今年も逢えて濃菫

 

夜桜の湿りを秘めし香かな     洋子

朝焼けに全身染まり種を蒔く

 

佐保姫やけさ機嫌よき膝頭     章子

われ生きる箱根連山花ざかり 

 

独り居の媼温める夫婦雛      豊春

佐保姫は潮風に乗り通りけり

 

暖かいのが好きだったのよね貴方  遊石

タンポポの好きな女の一人言

 

鶯を復音と聞く馬返し       鼓夢

花冷えや厚手のシャツの綾模様

 

LED淫靡に光る萬愚節      薪

春愁や白粉ブラシ円を描く

 

匂い立つなべの潮目の新若布    正太

沈丁の香にモノクロの風孕む

 

今時はマスクにメガネ鳥打帽    空白

男体山囲む麓の黄色くも

    

佐保姫の木々に優しき小糠雨    稱子

花冷えやカップに残る紅のあと

 

桜鯛看とってもらうはずの人    雲水

春昼の庭のどこかで蟇の声

骨壷を作る会の皆さま

 

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893  佐保姫の裳裾に触れて山笑う   侠心

2013年04月02日 | 

  佐保姫とは、奈良・平城京の東の佐保山(現在の奈良県法華寺町法華町)に宿ると考えられている春の女神のこと。白く柔らかな春霞の衣をまとう若々しい女神と考えられているそうである。

  佐保姫は、少しづつ暖かい風を吹かせ、冬眠していた動物たちや植物達を目覚めさせる春の女神である。この句、桜を咲かせ、新緑に芽吹かせる佐保姫の裳裾に触れて、山が笑ったとか。勿論それは男神の山だったに違いない。

 

ツルニチニチソウ(蔓日々草)  キョウチクトウ科の常緑蔓性植物。

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892  アルプスのアンモナイトや春の海   炎火

2013年04月01日 | 

 ヨーロッパのアルプスは、モンブラン(4810m)を最高峰とし、オーストリア、スイス、イタリア、ドイツ、フランスにまたがる大山脈。

先日のNHKで、矢で殺されてアルプスの氷河に埋もれていた、5300年前の人間がそのままミイラ化された「アイスマン」として発見されたそうだ。彼は、焼いた肉やハーブも食べていたそうである。

 さてアンモナイトは、3億5千万年前後に生息していて絶滅し、化石として発見されている貝類。数センチから大きいものでは2メートルのものまであるという。海中に生息していたアンモナイトが、アルプスの山中で発見されたということは、当然昔海だったわけだ。つまり地殻変動によって大陸が移動したのだ。

 そんなことに思いを馳せながら、作者は穏やかな春の海を眺めているのだろう。「私のいるこの海岸は、数億年後には何処にあるのだろうか」と、未来にも目を向けているかもしれない。

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