昭和46年公開「男はつらいよ」奮闘篇の
冒頭シーンで集団就職で旅立つ若者達を見送る場面で
登場するのが、ここ越後広瀬の駅である。
まだ蒸気機関車のC11が走っていた時代でもあった。
駅舎も列車も周りの様子も変わってしまったが、
遠くに見える山や田園風景は変わらない。
前から気になっていた
あのシーンで駅のホームから見える
JAの倉庫が今と変わらずに建っていることに気づき訪ねてみた。
農具や肥料が積まれた倉庫の裏扉が開け放たれ
まるで額に収められた一枚の絵の様に、
すぐ近くを只見線が抜けて行く姿が
一瞬流れていった。
映画の公開から40年以上たった今
あの時この駅から旅立った若者達は
日本の経済成長を支え
今日の日本を作り上げたと言ってもよいだろう。
まだ、日本と言う国が輝き
人々は皆等しく貧しかったが
希望をもてた時代。
あれから、便利な世の中にはなったが
その対価に何かを失いもした気がする。
シリーズで作られた「男はつらいよ」の
どの作品にもあの時代が映し出されていて
映画としてのエンターテインメントもさることながら
貴重な時代の記録ともなっている気がする
大好きなこのシリーズは
折り有れば繰り返し鑑賞し
新たな発見と人々の暮らしの機微を垣間見させてくれる。
映画や写真にはそんな役割もある
今しかないこの時をきちんと残しておきたいものだ。
Posted by I.Tachi at July 5, 2016