ブナの林が広がる里山の山裾に
ひっそりと佇む名刹。
言葉少なに家内とともに歩く静かな境内は
雨で潤わされた樹々の緑が美しい。
そういえば山門には金剛力士像が
「阿」「吽」の形相で迎えていた。
我が夫婦も「阿」を聞き「吽」を知る。
そんな域にはまだまだではあるが
ここまで人生の中のお互いに長い時間を過ごして来た。
言葉ではなかなか言えないが
家内には感謝をしている。
すべてのことに「阿」を聞いて「吽」と応えられはしないが
これからも、私の我がままや無茶を許しながら
人生を共に歩んでくれることを願う。
もうすぐ家内の誕生日であるが
毎年とくだん何かを催すということもなく
きちんと感謝の意を述べたこともない。
それは、
お互いにどこかで気持ちが通じ合えていると信じているから
と思うのは私の思い上がりだろうか。
しかし、今年は何か贈り物でもしようかな。
家内が何を喜ぶかわからないが
独り合点の「阿」と「吽」と・・・