











南に傾いた太陽光線は見るものの陰影を深くしていた。
小高い場所にバイクをとめ。
草むらに寝そべって高く澄んだ空を仰ぐ。
無数のトンボが飛び交い
高く伸びたススキは白い穂を揺らし
心地よい爽やかな風が吹くと
暖かい陽射しにつつまれて
ひとりノンビリと過ごす時間のなかで
ついうとうとと昼寝でもしたくる。
下界に目を転じると
山あいに広がる刈り取りを終えた田圃を縫って
民家や樹々に見え隠れしながら
音もなく列車がゆっくりと走り抜け
大きくカーブして森の中へと消えて行った。
ここから見る世界は
時間がゆっくりと流れているようにも思えた。
秋の景色を求めて来てはみたが
本当の秋の情景とは
こんな時間なのかもしれない。
