ジンベエザメが水深2000mで過ごせる秘密は?…微弱な青い光キャッチ、視覚独自に進化か
2023年04月23日 11時15分読売新聞
ジンベエザメ視覚独自進化か
2023年04月22日 13時25分読売新聞
微弱な光を活用できるよう視覚が進化したとみられるジンベエザメ
=海洋博公園・沖縄美ら海水族館提供
世界最大の魚類ジンベエザメは、深海にわずかに届く青い光を感じ取れる目を持つことが分かったと、国立遺伝学研究所や大阪公立大などのチームが発表した。海面付近と深海を行き来する生態に合わせて視覚が独自に進化した可能性があるという。論文が米科学アカデミー紀要に掲載された。
ジンベエザメは最大で体長10メートル以上に成長する。海面近くでプランクトンを食べる一方、水深約2000メートルまで潜ることが知られているが、光が届きにくい深海でどう過ごしているかはほとんど分かっていない。
チームは、暗い場所で働くセンサーの役割を担う網膜のたんぱく質に着目。このたんぱく質をDNAの情報をもとに合成し、どんな光に反応するか実験した。その結果、深海に最も届きやすい青い光を効率良く受け取れることがわかった。
チームの工樂樹洋(くらくしげひろ)・同研究所教授(動物分子進化学)は「他の生物にはない方法で深海の光を活用しているようだ。今後もDNAの情報を駆使し、謎の多い生態に迫りたい」と話す。
河村正二・東京大教授(進化遺伝学)の話「ジンベエザメの目のセンサーには、暗くても暖かいと適切に働かないような変化が起きている。暗く低温の深海に適応した結果と考えられる。進化の柔軟さを示す興味深い成果だ」