ニュースなはなし

気になるニュースをとりあげます

米国で密かなブーム、「幻覚キノコ」入り食品の実態

2024年06月28日 15時06分06秒 | 社会のことなど

米国で密かなブーム、「幻覚キノコ」入り食品の実態(Forbes JAPAN) - Yahoo!ニュース 




米国で密かなブーム、「幻覚キノコ」入り食品の実態
5/15(水) 18:00配信


Forbes JAPAN
Photo credit should read Yurii Rylchuk / Ukrinform/Future Publishing via Getty Images


2020年のある日、カリフォルニア州オークランドのアパートで、アサンカ・ウィクラマラッキと彼の2人の兄弟は、精神作用のあるキノコを使った食用品の製造工程を考えていた。マジックマッシュルームに含まれる成分のシロシビンは連邦政府によって違法とされているが、兄弟が実験していたのは、赤いカサに白い水玉模様が特徴的な毒キノコとして知られるベニテングタケから抽出される「ムシモール(muscimol)」と呼ばれる化合物を用いたものだった。


彼らがベニテングタケを選んだ理由は2つある。その一つは、このキノコには精神作用があることで、さらに重要なのは、他のサイケデリック・ドラッグのように米国麻薬取締局(DEA)によって禁止されていない点だ(ルイジアナ州だけがこのキノコを禁止している)。


2023年までに、兄弟は他の数人の友人とともに、ポルカドット(PolkaDot)と呼ばれるブランドを立ち上げてハリウッドに会社を構え、ムシモール入りのグミやチョコレートを全米に販売するようになった。彼らのサイケデリック製品は、全米5000以上のガソリンスタンドやスモークショップで販売されており、メキシコやタイなどの国にも出荷されている。


「これは完全に合法です。マリファナよりも合法なのです」と、ポルカドットCEOで37歳のウィクラマラッキは話す(彼はカリフォルニア州で2つの大麻販売店も経営している)。「アメリカではどの街角にもスモークショップがあり、人々はそこに入ってキノコを体験することができるのです」


■月に数百万ドルの売上


月間売上高が数百万ドル規模というポルカドットは、ベニテングタケ入りの食用品を販売する多くの企業のひとつだ。ここ数年のCali Sober(カリ・ソーバー)と呼ばれるムーブメント(ハードドラッグやアルコールには手を出さないが、大麻や幻覚剤などのソフトドラッグは嗜むという健康意識が高い人たちのトレンド)にも後押しされて、このカテゴリは、合法的にトリップできるリーガル・ハイ製品を扱うグレーゾーンのマーケットとして花開いた。


この分野の企業には、「ギャラクシー・トリート」や「ファン・ガイ」、「エックスヘイル」などのヒッピー風の名前を持つものが多い。しかし、DEAがベニテングタケを禁止していないからといって、これらの製品が100%合法だったり、100%安全であったりはしない。


法律事務所Vicente LLPの設立パートナーで、大麻と精神薬を専門とするジョシュ・カッペルは、ベニテングタケのグレー市場の繁栄は、法の抜け穴を利用したものだ話す。「ベニテングタケを所持することは違法ではありませんが、米国食品医薬品局(FDA)の規則では、人体に接種させる目的で提供することは合法ではありません」


「錯乱状態」に陥る危険
FDAの広報担当者は、フォーブスに次のように述べた。「ベニテングタケとその化学成分であるムシモールやイボテン酸、ムスカリンは、FDAの認可を受けた食品添加物ではありません。これらの物質が食品成分として使用されることについては、毒性に関する懸念が報告されており、眠気や昏睡を伴うせん妄を含む深刻な副作用があるため、安全性に懸念があります」


さらに、この状況に警告を発しているのは弁護士や政府職員だけではない。世界的に有名な菌類学者でサイケデリックな菌類の「責任ある薬用利用」を提唱しているポール・スタメッツは、このキノコを摂取する際には注意が必要だと説いている。スタメッツは、低用量のベニテングタケには、何の問題もないが、グミのパッケージ記載されているような量を摂取すべきものではないと指摘した。


■「錯乱状態」に陥る危険


「大量に摂取すると、錯乱状態や強烈な酩酊状態、特異な反復運動症候群を引き起こします」とスタメッツは言い、制御不能な痙攣や衝動的な行動を引き起こす場合があると説明した。「つまり、このような製品を、危険な副作用をきちんと説明せずにに、一般大衆に販売することは危険だと思います」と彼はは語った。


皮肉なことに、マムシモールよりも強いサイケデリック効果を持ち、連邦レベルで禁止されているシロシビンには、ベニテングタケのような毒性はなく、安全性も高いという。


しかし、カリフォルニア大学アーバイン校で経営学と工学の学位を取得したウィクラマラッキは、このような懸念があるにもかかわらず、ポルカドットの製品については何の心配もしていない。「リスクはゼロです。私たちは、栄養補助食品に関連する連邦法や規制に従っているので、法的に何の問題もありません」と彼は述べている。


■アマゾンでは「偽物」が販売中


一方、ポルカドットが抱える別の大きな問題は、市場に出回る偽物の存在だ。ウィクラマラッキによれば、シロシビンとその関連物質を含むポルカドットの偽物がニューヨークやカリフォルニアの店で発見され、フロリダでは子供たちを中毒にしたとさえ報告されている。


「アリババやアマゾンでも、ポルカドットのパッケージの偽物が出回っています。これは非常に厄介な問題です」


また、低容量のTHC(テトラヒドロカンナビノール、大麻に含まれる成分)製品を除いて大麻が違法とされているジョージア州スワニーのネルソン・ビグルス夫妻は、2018年にCBD(カンナビジオール、大麻に含まれる成分)が含まれる製品を扱うショップをオープンしたが、最近、ブリスというブランド名でムシモールを配合したグミとチョコレートのラインを立ち上げた。


ネルソンによれば、このグミを1粒食べれば気分が高揚し、2粒食べればハイになり、4粒なら本当に面白くなるという。「言わばシロシビンの弟分のようなものです」とネルソンは言う。


ビグルス夫妻は、FDAがムシモールを食用として認可していないことを理解しているが、それはCBD製品やその他のヘンプ食品についても同じことが言える。「この分野には明確な規制が存在しないのです」と夫妻は述べている。


しかし、DEAは定期的に禁止薬物リストをアップデートしており、現状ではグレーゾーンのベニテングタケが将来的にそこに加わる可能性は十分にある。それでもウィクラマラッキは、犯罪化されるような未来はないと考えており、少なくとも今はキノコの「ブーム」を楽しんでいる。


私たちの製品は、人々に癒しを与えるためのものです。私たちはこのようなオーガニックな薬効を持つソリューションを長いスパンで人々に提供していきたいと考えているのです」と彼は語った。


Will Yakowicz





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本は高血圧の基準値が「厳... | トップ | 慶応の特待生制度 “最大で総... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

社会のことなど」カテゴリの最新記事