昨日トリカブト(附子)による食中毒症例が来院した。なんでも2日前に
山菜を食べた数時間後に、吐き気・手の痺れ・硬直などが出現して暫く
続いたらしい。来院時はその症状がかなり軽快していたので急性毒性が
消失していると思われた。山菜が取れるこの時期に、ヨモギ・ニリンソウ・
ゲンノショウコなど食べられる野草に類似しているため誤食することがある
らしい。トリカブトはキンポウゲ科の植物で日本では約30種類が存在して
いるが、特にヤマトリカブトが毒性が強いらしい。その毒性は植物界では
最強とされており、フグ毒と並んで致死的な猛毒であり、毒キノコより数段
毒性が強い。ちなみにその主成分はアルカロイド系アコニチンである。
その致死量は約2mg(0,2g)程度とされており、青酸カリに匹敵する猛毒
である。食べたときに”ピリッ”とした舌の痺れを感じるらしく、そう感じた時は
即中止すべきである。その急性中毒症状は悪心・嘔吐・胸痛(灼熱感)そして
不整脈(心室細動)⇒心停止・呼吸停止に至る。つまりは即効性の猛毒である。
残念ながら現在解毒剤がなく、保存的治療(胃洗浄・吸着剤や不整脈治療)が
主体となる。漢方薬にも弱毒化した成分(附子)が使用されており、真武湯や
八味地黄丸・牛車腎気丸などが代表的である。いずれにせよ、山菜を食する時
は厳重な注意が必要であります!!