評価:★★★★[4/5]
全体のイメージが、イタリアン・ネオリアリズムみたいだ。
その貧しさ。障害を持った息子。 それでも逞しく生きようとする母子。
◇
静かな田舎町。トジュンは子どものような純粋無垢な心を持った青年。
漢方薬店で働く母にとって、トジュンの存在は人生の全てであり、
いつも悪友のジンテと遊んでいることで心配の絶えない毎日だった。
そんなある日、女子高生が無惨に殺される事件が起き、
容疑者としてトジュンが逮捕されてしまう。
唯一の証拠はトジュンが持っていたゴルフボールが現場で発見されたこと。
しかし事件解決を急ぐ警察は、強引な取り調べでトジュンの自白を
引き出すことに成功する。 息子の無実を確信する母だったが、
刑事ばかりか弁護士までもが彼女の訴えに耳を貸そうとしない。
そこでついに、自ら真犯人を探すことを決意し行動を開始する母だったが…。
<allcinema>
◇
冒頭、
広い草原の真ん中で、バラードなメロディに乗って不思議なダンスをする母親がいた。
(物語りと関係あるの?)そうそれは、主人公となる母親です。
でもなぜか、メロディとダンスがズレまくっていて一瞬見せる、泣いてるようなしぐさに
ん?となりますが映画を最後まで見ると、その意味がすべて理解できます。
懐かしいイタリア映画。ネオリアリズム。
ロベルト・ロッセリーニ、ヴィットリオ・デ・シーカ、ルキノ・ヴィスコンティと
他にも監督はいますが『無防備都市』『靴みがき』『自転車泥棒』
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』この辺りの雰囲気にこの本作もどことなく
通じるものがあるように感じたんです。
この映画は、ひとつのシーンが必ず何らかの伏線となっており
そういう意味では、無駄なシーンが一切ないんです。
もちろん人物設定に抜かりのないことは当然ですね^^
悪友と道路を隔てた向かいで遊んでいるトジュンを心配そうに見ている母。
その手には、漢方薬の葉をカッターで切り刻んでいる。
こんな小さなシーンにも緊張感を持ってくる監督はなんという緻密さなんだろう!
と感心してしまう。
そこにいきなりのひき逃げ事件を目撃する母。トジュンと犬が高級車に轢かれたのだ。
車はアクセルを踏み逃走する。
体がかすった程度なのか?起き上ったトジュンと犬に命の危険はなさそうだ。
道路に飛び出していく母親。悪友ジンテが「ベンツに復讐だ!」と言い放ち車を追う。
もちろん徒歩でですが、こんな町に高級車で来ることはあそこに行くしかない。
そうです、ゴルフ場なんですね。
さて、ここからすべてのシーンが一切の無駄もなく絡み合っていくので
一瞬でも睡魔に襲われたらアウトです。
◇
女子高生殺人事件。その事件現場の異様性にも注目しなければいけない。
この辺りは『チェイサー』のあのシーンが脳裏に浮かんでしまう。
ある人物が「この事件も変だが、この町も変だよな~」。
そうか~台詞にも意味深なものが多くて片時も目を離すことができないんですね。
簡単な状況証拠だけで重要参考人として逮捕された息子。
虫も殺せない純粋無垢なことを知る母にとってそれは誤認逮捕と確信するが、
釈放するには真犯人を探すしか手がないことを悟るのだった。
ここから、この母親の物凄いパワーが画面に伝わってきます。
観てるものは、この母親目線で事件の解明をしていき隠された真実が
少しずつ解き明かされていく。
ラストのそこには体が震えあがるような衝撃があり一瞬、
呼吸すら忘れてしまったワタシが居ました。 とにかく、脚本がすばらしい。
映画ってこういう作り方もアリなんだと認識させられた。
ここからは何を書いてもネタバレになるのでとても神経を使います(←そこまで言う?)^^
純粋な心を持った少年ならぬ青年をウォンビンが好演。
そして彼の唯一の親友であるジンテ(チン・グ)がこれまた素晴らしい。
この俳優は今後、要注目になりそうだ。
おまけ)
・事件現場を訪れた警察の会話がツボだった。
そういえば、本作にも「ツボ」発言が頻繁に出てきたのは
ある意味、当然と言えば当然か。
・針治療の針って、消毒はどうしてるの?
・あの大金はどうしたの?
一瞬見逃したシーンがあったのだろうか?
いまだに、あの大金の出所がわからないんです。
------------------------------------------------------
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ/パク・ウンギョ
撮影:ホン・クンピョ
音楽:イ・ビョンウ
出演:キム・ヘジャ/ウォンビン/チン・グ/ユン・ジェムン
『母なる証明』
全体のイメージが、イタリアン・ネオリアリズムみたいだ。
その貧しさ。障害を持った息子。 それでも逞しく生きようとする母子。
◇
静かな田舎町。トジュンは子どものような純粋無垢な心を持った青年。
漢方薬店で働く母にとって、トジュンの存在は人生の全てであり、
いつも悪友のジンテと遊んでいることで心配の絶えない毎日だった。
そんなある日、女子高生が無惨に殺される事件が起き、
容疑者としてトジュンが逮捕されてしまう。
唯一の証拠はトジュンが持っていたゴルフボールが現場で発見されたこと。
しかし事件解決を急ぐ警察は、強引な取り調べでトジュンの自白を
引き出すことに成功する。 息子の無実を確信する母だったが、
刑事ばかりか弁護士までもが彼女の訴えに耳を貸そうとしない。
そこでついに、自ら真犯人を探すことを決意し行動を開始する母だったが…。
<allcinema>
◇
冒頭、
広い草原の真ん中で、バラードなメロディに乗って不思議なダンスをする母親がいた。
(物語りと関係あるの?)そうそれは、主人公となる母親です。
でもなぜか、メロディとダンスがズレまくっていて一瞬見せる、泣いてるようなしぐさに
ん?となりますが映画を最後まで見ると、その意味がすべて理解できます。
懐かしいイタリア映画。ネオリアリズム。
ロベルト・ロッセリーニ、ヴィットリオ・デ・シーカ、ルキノ・ヴィスコンティと
他にも監督はいますが『無防備都市』『靴みがき』『自転車泥棒』
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』この辺りの雰囲気にこの本作もどことなく
通じるものがあるように感じたんです。
この映画は、ひとつのシーンが必ず何らかの伏線となっており
そういう意味では、無駄なシーンが一切ないんです。
もちろん人物設定に抜かりのないことは当然ですね^^
悪友と道路を隔てた向かいで遊んでいるトジュンを心配そうに見ている母。
その手には、漢方薬の葉をカッターで切り刻んでいる。
こんな小さなシーンにも緊張感を持ってくる監督はなんという緻密さなんだろう!
と感心してしまう。
そこにいきなりのひき逃げ事件を目撃する母。トジュンと犬が高級車に轢かれたのだ。
車はアクセルを踏み逃走する。
体がかすった程度なのか?起き上ったトジュンと犬に命の危険はなさそうだ。
道路に飛び出していく母親。悪友ジンテが「ベンツに復讐だ!」と言い放ち車を追う。
もちろん徒歩でですが、こんな町に高級車で来ることはあそこに行くしかない。
そうです、ゴルフ場なんですね。
さて、ここからすべてのシーンが一切の無駄もなく絡み合っていくので
一瞬でも睡魔に襲われたらアウトです。
◇
女子高生殺人事件。その事件現場の異様性にも注目しなければいけない。
この辺りは『チェイサー』のあのシーンが脳裏に浮かんでしまう。
ある人物が「この事件も変だが、この町も変だよな~」。
そうか~台詞にも意味深なものが多くて片時も目を離すことができないんですね。
簡単な状況証拠だけで重要参考人として逮捕された息子。
虫も殺せない純粋無垢なことを知る母にとってそれは誤認逮捕と確信するが、
釈放するには真犯人を探すしか手がないことを悟るのだった。
ここから、この母親の物凄いパワーが画面に伝わってきます。
観てるものは、この母親目線で事件の解明をしていき隠された真実が
少しずつ解き明かされていく。
ラストのそこには体が震えあがるような衝撃があり一瞬、
呼吸すら忘れてしまったワタシが居ました。 とにかく、脚本がすばらしい。
映画ってこういう作り方もアリなんだと認識させられた。
ここからは何を書いてもネタバレになるのでとても神経を使います(←そこまで言う?)^^
純粋な心を持った少年ならぬ青年をウォンビンが好演。
そして彼の唯一の親友であるジンテ(チン・グ)がこれまた素晴らしい。
この俳優は今後、要注目になりそうだ。
おまけ)
・事件現場を訪れた警察の会話がツボだった。
そういえば、本作にも「ツボ」発言が頻繁に出てきたのは
ある意味、当然と言えば当然か。
・針治療の針って、消毒はどうしてるの?
・あの大金はどうしたの?
一瞬見逃したシーンがあったのだろうか?
いまだに、あの大金の出所がわからないんです。
------------------------------------------------------
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ/パク・ウンギョ
撮影:ホン・クンピョ
音楽:イ・ビョンウ
出演:キム・ヘジャ/ウォンビン/チン・グ/ユン・ジェムン
『母なる証明』
あれは手抜き捜査の見本のようなもんですよね^^;
>「事件が解決していないと思わせるため、あのしとが同じ手口で次々と事件を起こす」
お!それは、なかなか良いかもしれませんね。
警察を動かすための知恵だとしたら、かなりの切れ者。
別バージョンでもう1本作ってくれないかな~^^
>ウォンは「×0.07」で円換算できるようなので、そんなに高額でもないようです。
あの札束!わかりやすく言えば、全部千円札と思えばいいですね。
そうか~、車も相当古い中古車だったのかな~^^;
韓国警察の捜査がプア過ぎて、ビックリでした(×_×)
私的には・・
「事件が解決していないと思わせるため、あのしとが同じ手口で次々と事件を起こす」
って展開を予想してたんだけど、それは考え過ぎでした(=^_^=)
ウォンは「×0.07」で円換算できるようなので、そんなに高額でもないようです。札束の分厚さは確かにスゴかったけど。
さすがにアレを頭金にしてローンは組まないだろうとは思いますので
あの高級車をキャッシュで購入できる札束だったんでしょうね。
ワタシはてっきり借入したと思ってました!
つまり、そのシーンを見逃したんだと後悔してたんですが
kiraさんのコメントでホッと安心しました(見逃してなかったから)^^
また針に関しては“火であぶり”消毒だったのかもしれませんね。
そうか~!それも伏線になったのかも(爆)
ウォンビンくんも今回のような特殊なキャラでアイドル脱皮したと思います。
今後の俳優人生に於いても彼の眼差しは最高の武器になりそうですね^^
・隠してあった大金(闇治療で得たへそくり?)
と、私も気になったのでした(^^;
キム・ヘジャありきでこの作品が作られたということなのですが、
ウォンビン君の母親というよりおばあさんの年齢っていうのが気になりました
どんな作品に出てもアイドル的な騒がれ方をしてしまうイメージを、
彼(ウォンビン)は壊したかったのだな~と、そしてそれは成功したのだと思いますね。
皆さんの作品の評価が高いことで♪
オープニングは本当に意味が分かりませんでした。
あの薄汚れた服にダサい踊り。
お母さんはもしかしたら意識障害で逝っちゃってるのかと思ってました(こらこら)
バスの中のシーンは秀逸でした!
>母の指先まで彼女の心情が感じられました。
ほんと!そうですよね。
細部まで緻密に計算されてて、辻褄も完ぺきに合うし
ワタシとしては本作の企画からの製作期間とやらを知りたいところです(笑)
それにしても不思議な親子関係でしたね。
普通、立ち○○○を覗き込むかな~(爆)
オープニングから引き込まれました。
音楽と合わないどこかダサい変な踊り…
ラストのバスの中は秀作だわぁ。
あのアングルありですよね!!
母の指先まで彼女の心情が感じられました。
嬉しくても涙が出るように、悲しくても笑ってしまう。
何だか自分の感性を問われているような、そんな印象も受けました。
俳優さんたちも皆さん自然で上手でしたね。
キャラでいえば”町のゴロツキ”ジンテが後半のあるシーンから
怒涛のごとく手強い助っ人に豹変してましたね。
観覧車(?)で吐かせるところは、まさに刑事!
自分でも言ってましたね^^
この俳優さんは、そのフェイスも含めほんとうによかった。
確かに、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』のひなびた空気に通じるモノがありましたね。
ジンテ役のチン・グは善悪つかないような雰囲気で演じていて存在感ありましたね。
やはり採点方式がもうちょっとシビアの方が良いということがわかり
来年からそうすることにします(って勝手にせい)^^;
>お母さん役は・・吉行和子さんではないんですね(・ω・)
お!日本映画なら彼女に決定です^^
キムさんの実年齢は68歳らしいです。
これはもう、千葉チャンの元妻と良い勝負かも。
観終わったら思いっきり引っ張ってしまうでしょう!
でも、意外とスッキリするかも^^
驚愕のラストは韓国映画の十八番ですね。
お母さん役は・・吉行和子さんではないんですね(・ω・)
んでも観終わったら・・その日じゅう「引っ張る」んだろうなぁ・・(×_×)