アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(10月25日)は、10:00~16:30に新潟県自治会館で県庁職員29名を対象に

勇気づけのリーダーシップ

のタイトルの研修を行ってきました。

研修が終わって、17:00前後に県庁の18界の展望コーナーに行ったら、新潟市が360度見渡せました。

さて、10月24日(火)に日光市の教頭対象の講演を行った際に、改めて学校での「教頭」というポジションについて考えてみました。

結論からすると「黒衣(くろこ)」です。

小学校1年生から高校3年生までの教頭のことを思い出そうてしても誰もイメージも名前も出てきません。

担任は全員、校長は半分以上思い出すのに、私の中では教頭の存在感が希薄です。

しかし、私の下の息子が通った小学校のT教頭だけは異色です。

そのT教頭にまつわるリーダーシップのエピソードを3回くらいで紹介します。

このことは『勇気づけのリーダーシップ心理学』(学事出版、1,600円+税)に書いているので、お読みになった方もいらっしゃると思いますが、転載します。

勇気づけのリーダーシップ心理学
岩井 俊憲
学事出版

第1回目は、うちのカミさんが書いたエピソードです。

オレたちの卒業式         岩井美弥子

体育館での卒業式が終わり、在校生のつくる花のアーチをくぐり抜けて6年生が正門へと向かった。

PTAの仕事でその場に居合わせた私達も正門近くでこみ上げるものを感じながら拍手を送っていたその時、アーチを抜け終わった男子生徒6、7人が突然、荷物と靴を放り出して「急げ!」の声と共にバタバタと放送室へ駆け込んで行った。

私には目の前に散らばった、すっかり大きくなった靴を感慨深く揃えながら、「いったい何事かしら」と思った。

「うちの子どうしたの?」
と聞くある母親の声にクラスメートは「いえ、ちょっと?」と歯切れが悪い。

「何してんのかしら、まったく」

その時だった。「みんな! 校庭の真ん中に集まってくれ!」
という絶叫に近い放送が学校中に響き渡った。
他にも何か叫んでいるが聞き取れない。
私たちは廊下の窓にへばりついて校庭を見た。

すでに教室に戻っていた生徒や先生が何事かと窓から顔を出したり、靴を履くのももどかしく校庭へ出てきたりする。

「みんな校庭に出てくれ! 先生達も校庭に出てください!」

私の後ろで「まさかお礼まいり?」の声。
そんなことない。
この学校の暖かさ、この6年生のさわやかさを私は知っている。

でも、でも、この聞き取りにくい割れた声はただ事ではない感じがする。
何? 2年生の私の息子も校庭に出て来た。
校庭が生徒と先生でいっぱいになった頃、彼らはこう言った。

「オレたちの卒業式はまだ終わってない!!」

「みんな、屋上を見てくれ!」

みんなが一斉にまぶしそうに屋上を見上げたとき、屋上から大きな白い布がふわりと舞い降りてきた。
そして、それは翻りながら校舎を這い、地面近くまで届く垂れ幕となった。

私たちは、そこに書かれた少年らしい荒っぽさのある文字を見た。

「T先生、Y先生、S小の方々ありがとうございました」

校庭に在校生の大きな手から小さな手までの感激の拍手と、「わーっ」という歓声が沸き上がった。

風で舞い上がる幕を一生懸命おさえる教頭先生、その頃やっと校庭へ連れて来られた袴姿の担任2人の驚きの表情・・・・。

「これが僕たちからみなさんへのプレゼントです!」

式の間も終始にこやかだった2人の担任の先生がハンカチで目頭を押さえる姿が私の目の中で揺れていた。

「先生方、知らなかったの?」と聞かれて「うん。誰も」と口数少なく静かに満足気に答えた彼らは、屋上から仲間が駆け降りてくると歓声を上げて抱き合った。

式典に続くS小学校の、オレたちの卒業式が終わった。

<お目休めコーナー>新潟県庁の玄関の錦鯉

 

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