(「河北新報」令和6年10月9日付け記事より引用)
建設資材レンタルの日建リース工業(東京)が、宮城県名取市に障害者就労農園「はーとふる農園名取」を開所した。企業が障害者と雇用契約を結んで農園で働いてもらう「サテライトオフィス型」で、外部雇用の農園は東北初という。障害者の働く場確保と、企業の障害者法定雇用率(2・5%)の達成につながる新たなサービスだ。
企業の法定雇用率達成にもつながる
名取市下増田で4月に始まった農園は、約1・2ヘクタールにビニールハウス14棟を設置。地元など5社が雇用する17~64歳の障害者32人がベビーリーフを栽培し、飲食店などに卸す。仙台市青葉区の泉山丈さん(20)は「やりがいがあって力仕事も率先してやっている」と笑みを浮かべる。
サテライトオフィス型はまず農園が働きたい障害者を募り、農作業を実習後、障害者雇用を希望する企業と直接雇用契約を結んでもらう。企業は障害者に一般雇用の賃金、就労者を受け入れる農園に施設利用料を払う仕組みだ。
企業には障害者に担当してもらう業務が見いだせない業種も少なくない。4月から7人を雇用する建設業の人事担当者は「現場には出せず、事務職もDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでコピーなども減った。法定雇用達成に向けてありがたい取り組みだ」と話す。
日建リース工業によると、こうした農園型の障害者外部雇用サービスは全国約120カ所と増えており、雇用する企業は1000社を超える。同社は2018年に参入し、名取市が5カ所目となった。
8日に現地で開所式があり、テープカット後、支援学校関係者ら50人が視察した。生産設備は腰をかがめず作業できる高床式で、汚れやすい土の代わりに砂栽培を導入する。スタッフにジョブコーチや精神保健福祉士をそろえて就労をサポートしている。
日建リース工業の金子弘副社長は「地域に根ざして貢献できる事業にしたい。名取で受け入れる就労者は最大120人まで増やしたい」と語った。連絡先は、はーとふる農園名取022(384)7052。