ヒューマントラストシネマ有楽町で、「COLD WAR〜あの歌、2つの心」を観た。
ポーランドのパヴェウ・パヴリコフスキ監督。ポーランド、イギリス、フランス合作の、寡黙で美しい映画である。モノクロ画面の光と影のコントラストが、闇や影があった当時の時代背景を感じさせ、それと対比するかのような素朴な自然のありのままの風景を描き、ヒリヒリするような切ない情感を醸しだしている。まさに、“心と五感を刺激する”音楽と映像美で綴る心が震えるラブストーリーだ。
「COLD WAR」とは、1949年から1989年のベルリンの壁崩壊まで続いた冷戦時代のこと。
1949年の冷戦の渦中にあるポーランドで出会ったヴィクトルとズーラが、数年ずつの時を移してはベルリン、ユーゴスラビア、パリと場所を変え、引き裂かれてなお求め合う2人の15年に渡る激しい愛のお話だ。
導入部で繰り広げられるポーランドの民族音楽・民族ダンスのおおらかで力強い明るさ、にまず感動!
舞踊団の公演を通して何度も歌われる『2つの心』が、ズーラによってパリのライブハウスでジャズにのせて歌われるのだが、同じ曲でもまったく違う曲想にその心の切なさが重なり、胸を締め付けられるよう。。
紆余曲折の後にヴィクトルはポーランドに戻り、服役を経たヴィクトルがズーラと巡バスに乗り、延々と畑がひろがる田舎の十字路で降りるラストシーンも印象的だ。広大なポーランドの田舎道の十字路のベンチに座る2人。「あちら側に行きましょう。眺めが良さそう。。」という言葉で映画は終わる。。。。バスを降りて、2人が次に乗るバスは来るのだろうか。。。結末はない。余韻が残るだけ。。
音楽への思いとお互いを求める心は時にヒリヒリと痛く、”冷戦”という時代に流されながらも、『2つの心』で結ばれ、互いへの燃え上がる愛だけは貫こうとする二人。
ズーラを演じたヨアンナ・クーリクは、民族服を着て舞踊団で歌う若い時代と、その後年をへてパリで再会した時の様子がそれぞれに素晴らしい演技で、この作品でヨーロッパ映画賞女優賞を受賞している。
見終わって、こんなにも強く心の底から求めることが、自分にはあっただろうか。。と思う。
映画の中でヨアンナ・クーリクが歌うポーランドの民族歌「2つの心」は、ポーランド語とフランス語バージョンでジャズ風に歌っているもの(「Dwa Serduszka」と「Deux cœurs」)がしみじみと心に響く。。。即購入!で繰り返し聴いている。
https://coldwar-movie.jp/index.html
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