1986年9月1日(月)
-カシュガル脱出の日-
朝飯代 4元8角
昼飯代 15元
スイカ 1元
ノート・歯磨粉 1元8分
宿泊10日分(新賓館) 260元
喫茶代 7元4角
夕食代 11元4角
(レート 1元=約42円)
ついに来た、カシュガル脱出の日。
まだ薄暗い9時前(北京時間ですよ)に目が覚めた。
嬉しくてウキウキ気分である。
今日を無事に迎えられたことを、神や仏に、清らかな心で感謝し、祈りを捧げた。うるさいな・・・と思うこともあったドンキーの鳴き声も、今日は何とも穏やかに響く・・・まぁ、いい加減なものだよね。
何事も規則正しい生活からと、いままで抜くことが多かった朝食を、今朝は食す・・・粥、ザーサイ、玉子焼き、カフェオーレに茶水。部屋に戻って荷造り・・・備品を調達し不用なものを捨てる。
午後2時、賓館での最後の食事はちょっと豪華に・・・と、いっても、相変わらずの没有メニューではあるが・・・少し臭い米飯、スープ、トマト&卵の炒め物、フライドチキン、肉じゃが風な物、勿論,ビールは断ってます。
午後4時、賓館に残る宿泊者の羨望の中、ウハウハと最高の気分でチェックアウト。
街で、偶然にも、カラクリ湖でお世話になった、解放軍トラックのお兄さんに出会った。
本当に奇遇だ。
良い前兆かも・・・きっとOさんにも出会う事が出来る・・・神様、ありがとうございます。エイティガール寺院に向かい、更に念を入れてお願いする。
木陰にまどろみ、そこはかとなく漂う馬糞の匂い、遠く、近くの馬齢の音・・うーん、カシュガルも悪くないな・・・なんて思ったりする
午後6時半、民航事務所前にバスが停車している。
あれに乗るのかと近づいてみるが、ドアが閉まっている・・・どうして開けて置かないの。
例の石段の座り込んで待つ。
日本人兄さんが、銀輪輝く最新スポーツタイプの自転車に乗って現れた。
自転車で旅をしてるのかなぁ・・・ボーっと眺めていると、彼は私に自転車を見ていてくれと言う。
鍵を掛けておけば良いじゅないの・・・と思いつつ頷く。
人民が一人、二人とやってきて、じっと見ているが、そのうち手が出て、足が出て・・・さわらないの!・・・だめ!・・・を繰り返して防戦する私・・・彼の読みは正しかったのだ。
そんなこんなで時間も経つ・・・のに、バスには変化なし。
どうしたんだろう、嫌な予感がしてくる。
日本人兄さんが帰ってきて言う「今日は飛行機が飛ばないんだって」。
グゥワ~ン!・・・余りのことに口も塞がらず、Wさんと顔を見合わせるだけ・・・もう、中国なんて大嫌い、民航なんて潰れてしまえ、あの親父、絶対に許さないから(民航の職員。とても態度のでかい人で、この件に関しては彼には何の責任も無いのだけれど、怒りをぶつけるには格好の人材)と罵詈雑言・・・但し、心の中だけれど・・・。西洋外人が「ウルムチが Bat Weather だそうだ」と教えてくれた。
神様、あんなにお願いしたでしょ・・・どういうことなの!ああ、ボンマイダー!
派手に別れを告げてきた賓館に再び戻る。
部屋は片付けもされずに、我等の戻ってくるのを知っていたかのようだった。
今日は絶対にビールを飲むぞ。